もふもふを探しています。

小狐

第2話

私がいまいる世界は
《花と歌、音楽が奏でる恋の道しるべ》
音楽学園が舞台の乙女ゲーム。

このゲームのタイトルは王子と初めて会た時に思い出した。

丁度15歳その音楽学園に入る直前だった。
話があるとお父様に呼ばれて部屋へ行くと

「素敵な王子様に会ってみたくはないか」

王子と聞き私はすぐさま

「会いたいです、お父様」

お父様の言葉に釣られて来てしまった王城。
そしてドキドキしながら待っていた
どんな素敵な王子様に会えるのだろうと……

「やあ、君がダルーテの娘カルノ嬢かな」

「はい、ご機嫌様。ダルーテ公爵の娘、カルノ・ダルーテですわ」

「俺の名前はマクーレ・ラルテだ。よろしく」

マクーレ王子サラサラな青い髪、琥珀色の目、いい声の王子様!?


あれっ、でも、どこかで見たことが……ある…


私、この、王子に見覚えがある…
初対面なのに、この王子を見たことがある。

『素敵、マクーレ王子様』

いい声だしイケメン、いつ見ても眼福だわこの王子、その時に脳裏に浮かんだ…

床に寝っ転がって、ニヤニヤゲームをする私の姿!?

そう思った次の瞬間、ズキッと頭に痛みが走り
走馬灯のように映像が脳裏をかけて行った。

(ああ、これはあのゲームだ、花と歌、音楽が奏でる恋の道しるべだ)

そして私の名前はカルノ・ダルーテ悪役令嬢だ。
悪役令嬢と言えば
いま私の目の前にいるマクーレ王子に公の場で…

『婚約破棄を言い渡す』

なんて事を言われて婚約破棄をされる。

そして最後に王子は……

『最初から俺はお前など…なんとも、思って居なかった』

マクーレ王子に鋭い目と冷たい声で言われるんだ…

いま私の前で爽やかに笑うマクーレ王子

でも彼は私の事など、なんとも思ってない

『最初から』だと、彼は言う。

「カルノ嬢行こうか」

「はい」

「お城を案内するよ」と笑顔でマクーレ王子様に手を手を繋いでるけど…

あなたの事を思い出した、いまとなっては…
どうでもいい

最初から彼は私の事なんて、なんともお待ってもいないんだから…

マクーレ王子に繋がれた手を熱く感じるほど、私の心が冷えていった。

優しく笑い、お城の中を色々と案内をしてくれる王子の声も全く入ってこない。

ただ思い出すのは、婚約破棄の時だ。

大勢の前で、婚約破棄を言われた彼女は、笑い…

『さすがね、マクーレ殿下は演技力も高くてらっしゃる』

最後に王子に向けて言った、悪役令嬢カルノの言葉…

彼女は本当に王子を愛していた…
震える手を握り締めて、涙を一つも見せず優雅に広場を去って行く。

去った後って…この後って悪役令嬢はどうなったの?

ヒロインをいじめたからって、牢屋?磔?最後は確か死んでは無かったはず。

確かこのゲームって遊んでいて「へえーっ、こんな終わり方もあるんだ」って思ったような気がする。

うーん、なんだっけ?

ここまで出てきてるのに…
あっ、そうだ、彼女は森で獣人の彼と出会い、その後、仲良く暮らすんだ。

そのスチルを見て、私は彼の事を好きになった…

あくせく動物園に会いに通ったじゃない

彼に会いたい気持ちが溢れてきた。

会いに行こう!!

学園に通って婚約破棄を待つだけなんて嫌だ。

私は彼をその獣人さんを探そう

彼に会えるかな?

獣人さんてどんな匂いがする?

獣臭い?

それとま甘い香り?

悪役令嬢が連れて行かれる森にいるって事は…いまからそこに行って、獣人さんを探せば会える。

王城から屋敷に戻った直ぐに、着の身着のまま[探さないでください]と書いた手紙を残し

屋敷を飛び出したのは昨日だったはず…

テンション高く探し回ってようやく見つけ歩き回った森。
昨日は日が落ち暗くなったから、木の幹にしがみ付いて寝ていたはずなんだけど…

「どこだろう、ここ?」

目が覚めれば木の上ではなく洞窟の中?服は昨日歩き回って、汚れてたドレスのまま

ヒールは木に登る前に脱いだんだけど…何故か綺麗に並べられて私の足元に置いてある。

それに散々歩き回ったし木にまで登ったから、汚れていたはずの素足は綺麗になっていて
捻って怪我をした足は丁寧に手当までされてる。

「誰かが治療してくれたんだ」

洞窟の中を探索しょうと起き上がると、体の下からガサガサと音がする。

「葉っぱ?」

よく見ると私は葉っぱや木の葉の上で寝ていた。

「こんなに沢山の落ち葉や葉っぱ?」

木の葉や枯葉がどっから集めたのってくらい、
私の体の下や上にかけてある……

「これのおかげて寒くなく、ぐっすり眠れた…誰?」

誰が私をあの木から下ろして、ここまで連れて来た

「何のために?」


ガサッ……ガサッ……

足音だ…洞窟の外から葉っぱを踏む音が近づいてる……

「ここの持ち主が帰ってきた」

その足音はどんどん近づいてくるけど…その足音は洞窟に入る手前で足を止めた。
私が起きている事を気が付いた?

緊張が走る…向こうも警戒をしてる?

緊迫した空気の中、突如鼻がムズムズ…

「ヘッ……へショッ…あっ…」

「ふふっ」

私の変なくしゃみで、お互いの緊張が溶けた。

「君、起きたの…結構グッスリ寝ていたね…もうお昼すぎだよ」

それは優しく洞窟の中によく通った、低音のいい声が聞こえてきた。

コメント

  • ノベルバユーザー347105

    (・ω・,,)もふ、もふ

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