もふもふを探しています。

小狐

第1話

森の中を歩く1人のドレス姿の女性。彼女は纏わりついてくるスカートを持ち上げ、脇目も振らず森の奥へと歩いていく…

だがしかし暫くして声を上げた。

「歩きにくい…ドレスなんか脱いで、ワンピースに着替えて来ればよかった…」

文句を言いながらも森の中、彼女は落ち葉を踏み進んでいく。

私の名前はカルノ…さっきまで公爵令嬢で悪役令嬢でした。でもいまは普通の女の子

今日王子に出会って前世の記憶を思い出しました…そう私は悪役令嬢なんだ。

どれだけ王子と仲良くしても…最後は婚約破棄が待っている。だったら私が一番会いたい人。

「彼に会いたい」

乙女ゲームをプレイ中、私はヒロインで王子との恋愛は良かった。でも、いまは違う私は悪役令嬢カルノだ。

婚約破棄の後に悪役令嬢が出会う獣人さん…彼に会いたいと屋敷を飛び出した。

もちろん両親には[ごめんなさい…カルノは王子とは婚約者になれません]と手紙を残しました。

どうせ3年経てば乙女ゲームの様に最後には王子に婚約破棄される。

お父様にだって

「『出て行け、二度と帰ってくるな』なんて言われて屋敷を追い出されるんだから、いまから出て行ってもいいはず」

彼の事で頭の中はいっぱい、半日をかけてようやく見つけた彼がいそうな大きな森。

その森の中を歩き始めてから数時間経過をしたけど…

ヒールはすでに両方とも踵が折れて歩きにくい…でも虫がいそうな、葉っぱの上を裸足で歩きたくない

「虫さんは出てこないで……」

だから脱がずに踵が折れたまま歩く羽目になったのだけど…歩きにくい…右のほうが少し高いような気もする…

「…きゃっ」

いまグギって足を捻った……「いててっ…」スニーカーか厚底ブーツが欲しい…

おかしいな、私の感だとすぐに会えると思っていたのに彼はどこにいるんだろう?

「もふもふさん、もふもふの獣人さん……お願いします。いますぐにあなたから…会いに来てぇぇぇっ」

静かな森の中、私の声が響くだけだ…

「本当にいるなかな?」

早くあなたに会いたい。会いたい…よ…

会いたい、会いたい…だなんて、これではまるで駄々をこねる子供のよう…

動物園の虎さんも好きだけど、ゲームに出て来た虎の獣人さんの彼が好き。

そしてリアルな虎さんがいる、動物園で妄想してる時間が好き…だったな…

「夏休みなんて、特に最高だった」

毎日の様に虎さんに会いに行けた。

余りにも通いすぎてお小遣いが無くなって…バイトもしたけど、動物園に行くためだから頑張れたんだよね。

彼のグッズも欲しかった、まあ彼のグッズは少なくて、虎さんのぬいぐるみやリアル虎さんの人形が増えちゃったけど…

バイトが休みの日には動物園で一日中見て朝から夕方まで妄想タイム。

虎さんの檻のド真ん前のちょうどいいベンチ。そこの端を陣取って妄想していたわ。

丸い耳に黄色に黒の模様が素敵。可愛いムフッフフ。顔のもふもふをこうね、わしゃわしゃ撫でまくりたい。

所詮ゲームの世界なんて行けないもの妄想で充分だ。

そんなキラキラな日々を送っていたのだけど、動物園の帰りに信号無視の車が何故だか私の方へと…そして彼のいる…乙女ゲームの世界に転生って

「なんでなの?」

でもこうなってしまったら仕方がないわ

「会いに行こう」

スチルの彼がここにいるはず。あの優しい獣人さんがいるって私は知ってるから…

「『必ず見つけ出す』そして一緒にいたい。彼のお嫁さんになって、あなたの子供を沢山産むわ」

そしてあなたと子供達と一緒に仲良く楽しく暮らすのよ!!

歩くのが疲れてほぼ半分は、立ったまま妄想にふけっちゃったけど…

日が落ちて辺りが暗くなってきた…今日はかなり歩いたので足が痛いし、今日はこの辺で寝ることにしょう。

都合よく目の前に大きな木も見つけました。下で寝るのは虫が怖いので…

ヒールを脱いで木に登って、「よし」今日さここで、コアラの様に木にしがみついて寝よう。

「おやすみなさい……」






〇〇side

……

………

私が木につかまり寝静まった頃、闇夜に光る目があった。

「グルルル、グルルル」

低い鳴き声、ガサガサ下の茂みが揺れていた。

誰かが森に入ったのはわかっていたが……

「女の子の匂いだ。なんて甘い、甘い、いい匂いがする」

鼻を鳴らし茂みを歩き…そこか…

「若い女の子?」

どうしてこんな所に……若い女の子が一人で寝ている?

「なんだあの変な寝方は、木の幹に座りしがみついて寝ている」

その女の子はしっかり熟睡していて、何か寝言まで……聞こえる…

「待って逃げないで……うふふっ、待って」

楽しそうだな…寝ながら楽しそに笑ってる?

「はははっ変な奴だ」

でも俺の好みの匂いだ……

「連れて行ってもいいかな?いいよね、こんな所で寝ていたら風邪をひくしな……」

その子を俺は脇に抱えて連れて帰った。

「軽い…こいつちゃんと食ってんのか?」

「……うにゃゃ」

こいつまだ笑ってる…大丈夫か?

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