ロワとカラス城の魔女
19
さっきまで暴れていたカエルはぐったりとしている。
「これは、悪魔の血と呼ばれるものよ。実際は血じゃないんだけどね。あなたを支配しようとしたちからの一部。高く売れるの。あの木の価値の何十倍にもなるわ」
魔女は注射器を目の高さに上げて、満足したようにため息をつく。そしてカエルの悪魔に言った。
「契約をしましょう。体力が回復するたびにちからをよこしなさい」
「そんなばかな契約、誰が……」
カエルは息も絶え絶えにそう言い返した。魔女はカエルを掴むのをやめる。悪魔はいつでも逃げ出せる状態だ。
「これは、私の親切心よ。自ら望めばお互いのためになると思ったんだけど」
それは、悪魔が私に言った言葉だ。私は魔女に聞こえないようにディアに囁く。
「どうしよう。魔女が悪魔に乗っ取られたんだわ」
魔女の話はまだ続いていた。
「瓶に閉じ込めておくこともできる。けど、あなたを探してる悪魔に差し出すほうが面白いかもね」
それを聞くとカエルはぶるぶると震えだし、即座に返事をした。
「契約をする!あいつらから守ってくれ」
魔女は首を横に振る。
「バカなことを言わないで。私が出来ることは、あなたを他の悪魔に売らないってことだけ」
悪魔は口をぱくぱくとして、何か言いたそうにしている。けれど、「わかった。それで契約をする」と言っただけだった。
魔女はいつのまにか契約書らしき紙を持っていて、それをカエルに差し出した。カエルはゆっくりその紙に乗ると、何度も躊躇しながら、指で文字を書いていく。
書いていくたびに、その文字からは黒い煙が細く立ち上がった。
ディアは小さな声で私に言った。
「残念だけど……、安心しろっていうべきか。あれが、いつものガレットだ。あいつは時々、金に目がくらむんだ」
ディアの言うことに、私は安心するべきなのか、よく分からなかった。
「これは、悪魔の血と呼ばれるものよ。実際は血じゃないんだけどね。あなたを支配しようとしたちからの一部。高く売れるの。あの木の価値の何十倍にもなるわ」
魔女は注射器を目の高さに上げて、満足したようにため息をつく。そしてカエルの悪魔に言った。
「契約をしましょう。体力が回復するたびにちからをよこしなさい」
「そんなばかな契約、誰が……」
カエルは息も絶え絶えにそう言い返した。魔女はカエルを掴むのをやめる。悪魔はいつでも逃げ出せる状態だ。
「これは、私の親切心よ。自ら望めばお互いのためになると思ったんだけど」
それは、悪魔が私に言った言葉だ。私は魔女に聞こえないようにディアに囁く。
「どうしよう。魔女が悪魔に乗っ取られたんだわ」
魔女の話はまだ続いていた。
「瓶に閉じ込めておくこともできる。けど、あなたを探してる悪魔に差し出すほうが面白いかもね」
それを聞くとカエルはぶるぶると震えだし、即座に返事をした。
「契約をする!あいつらから守ってくれ」
魔女は首を横に振る。
「バカなことを言わないで。私が出来ることは、あなたを他の悪魔に売らないってことだけ」
悪魔は口をぱくぱくとして、何か言いたそうにしている。けれど、「わかった。それで契約をする」と言っただけだった。
魔女はいつのまにか契約書らしき紙を持っていて、それをカエルに差し出した。カエルはゆっくりその紙に乗ると、何度も躊躇しながら、指で文字を書いていく。
書いていくたびに、その文字からは黒い煙が細く立ち上がった。
ディアは小さな声で私に言った。
「残念だけど……、安心しろっていうべきか。あれが、いつものガレットだ。あいつは時々、金に目がくらむんだ」
ディアの言うことに、私は安心するべきなのか、よく分からなかった。
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