ロワとカラス城の魔女
2
それはあの日、黒猫とカラスが城に入り込んだ時の事だった。
「俺の名前はディア、あのカラスはアカ!あの魔女の名前はガレットだ!一回で覚えろ、いいな。今日から俺様がお前の教育係りだ!」
ディアと名乗る黒猫は尻尾を右へ左へと揺らしながら言う。魔女が私にくれたコップに頭を突っ込んでは、何かの尻尾や何かの目玉をコップから出し、美味しそうに食べている。吐き気をもよおしながら、 くしゃくしゃにした請求書を荷物の底に突っ込んで、ついでにノートとペンを探りだした。
私は必死になって、黒猫の声を追いかけてメモをとる。だって、黒猫とカラスは魔女の使い魔だ。優秀な魔女は、猫やカラスに魔力を分けて使い魔にできるし、魔物を封じ込めて解放することもできる。
ーーあれ?魔女って悪魔と契約をするんだっけ。
一瞬、そんな事が頭をよぎった。
「おい!落ちこぼれ!聞いてんのか!?」
黒猫の言葉に我に返って、メモに書き込む。
「ははい!ディアにアカに……ガレット」
「よし!城内の見回りに行くぞ。ただし静かにだ。いいな、魔女はうるさいのが嫌いだから、こっそりやるぞ」
黒猫は何かの目玉をくわえたまま、薄暗いカラス城を闊歩する。黒いのにアカという名のカラスは、今や姿を消していた。上のほうでゴソゴソと動く音だけは聞こえている。
「あの!魔法はあまり出来なくて……私で役に立つか」
ごにょごにょと言葉を濁す。あまり出来ない。なんて、……全然出来ないのに。
そう言う私に、黒猫はため息をついた。薄暗くて見えないけれど、黒猫は軽々と近くの棚らしきものに飛び乗る。そして私の目線と同じ高さで腰を下ろした。まん丸の黄色の目が暗闇に浮かび上がる。
「なあ、お前が魔法を怖がっていることは知ってるよ」
黒猫は落ち着きはらったような声で言う。
「それ、どうして?!」
魔女にしか言っていないことなのに、黒猫は知っている様子だった。使い魔というのは、人の心も読み取れるようだ。
「俺の名前はディア、あのカラスはアカ!あの魔女の名前はガレットだ!一回で覚えろ、いいな。今日から俺様がお前の教育係りだ!」
ディアと名乗る黒猫は尻尾を右へ左へと揺らしながら言う。魔女が私にくれたコップに頭を突っ込んでは、何かの尻尾や何かの目玉をコップから出し、美味しそうに食べている。吐き気をもよおしながら、 くしゃくしゃにした請求書を荷物の底に突っ込んで、ついでにノートとペンを探りだした。
私は必死になって、黒猫の声を追いかけてメモをとる。だって、黒猫とカラスは魔女の使い魔だ。優秀な魔女は、猫やカラスに魔力を分けて使い魔にできるし、魔物を封じ込めて解放することもできる。
ーーあれ?魔女って悪魔と契約をするんだっけ。
一瞬、そんな事が頭をよぎった。
「おい!落ちこぼれ!聞いてんのか!?」
黒猫の言葉に我に返って、メモに書き込む。
「ははい!ディアにアカに……ガレット」
「よし!城内の見回りに行くぞ。ただし静かにだ。いいな、魔女はうるさいのが嫌いだから、こっそりやるぞ」
黒猫は何かの目玉をくわえたまま、薄暗いカラス城を闊歩する。黒いのにアカという名のカラスは、今や姿を消していた。上のほうでゴソゴソと動く音だけは聞こえている。
「あの!魔法はあまり出来なくて……私で役に立つか」
ごにょごにょと言葉を濁す。あまり出来ない。なんて、……全然出来ないのに。
そう言う私に、黒猫はため息をついた。薄暗くて見えないけれど、黒猫は軽々と近くの棚らしきものに飛び乗る。そして私の目線と同じ高さで腰を下ろした。まん丸の黄色の目が暗闇に浮かび上がる。
「なあ、お前が魔法を怖がっていることは知ってるよ」
黒猫は落ち着きはらったような声で言う。
「それ、どうして?!」
魔女にしか言っていないことなのに、黒猫は知っている様子だった。使い魔というのは、人の心も読み取れるようだ。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント