ロワとカラス城の魔女
7
宿を出る時、色々と用意して来たのだ。
さばの缶詰めに、スイートコーンの缶詰めに、モモの缶詰めなどなど、ろくな物はないけれど。
非常用のお湯で作るご飯だってちゃんと用意した。
まぁ、用意したというか、テントも食べ物も無理を言って(必死で頼み込んで)宿屋の亭主に貰った(借りた)物だ。
最後はあんなに泣いて(勘弁してくれと言われた気がするけれど、聞き間違いだろう)見送ってくれたことが、もう懐かしく思える。
でも。
「お湯かぁ」
やかんは貰って(借りて)きたけれど、火がない事に気が付いてしまった。
魔女に頼んでみようか。無謀な事を考えて、すぐに諦めた。馬鹿な事は考えずに、仕方なく雨の中で小枝を探す。
今日も防水スプレーをかけ忘れ、マントは雨を吸って重たい。ああ、なんだか悲しくなってきた。
「ふふふふんふふんふふん」
雨が振る中、マントのフードを深くかぶり、地面にしゃがみこんで陽気な歌を歌うだなんて。はたから見たら、おそらく異様な雰囲気なんだろうと思う。ましてや、カラス城の前なんだから余計にそうだろう。
小枝を集めると、テントのそばで火をおこした。木の葉のおかげで、雨も入り込まないから。
「ライター、ライター……っと」
けれど、地面も小枝も湿っていてなかなか火がつかない。
「ダメだ。全然火がつかないなー。やっぱり魔女にお湯もらおうかなぁ」
黒魔術専門のカラス城の魔女にお湯を貰うなんて。その代償に体の一部分でも持っていかれそうだと、身震いした。
諦めかけている時、なにやら嫌な予感がした。予感というか、直感というか。
そんな神がかり的なことではなく、私の臭覚というやつが何かを察知していた。何か異様な臭いがする。例えるなら、何か、燃やしてる?
「いや、燃やしてるっていうか、燃えてる!?」
なんだか焦げ臭い。けれど、手元の枝は全く燃える気配すらない。それなのに、どこかから黒い煙まで上がっている。
さばの缶詰めに、スイートコーンの缶詰めに、モモの缶詰めなどなど、ろくな物はないけれど。
非常用のお湯で作るご飯だってちゃんと用意した。
まぁ、用意したというか、テントも食べ物も無理を言って(必死で頼み込んで)宿屋の亭主に貰った(借りた)物だ。
最後はあんなに泣いて(勘弁してくれと言われた気がするけれど、聞き間違いだろう)見送ってくれたことが、もう懐かしく思える。
でも。
「お湯かぁ」
やかんは貰って(借りて)きたけれど、火がない事に気が付いてしまった。
魔女に頼んでみようか。無謀な事を考えて、すぐに諦めた。馬鹿な事は考えずに、仕方なく雨の中で小枝を探す。
今日も防水スプレーをかけ忘れ、マントは雨を吸って重たい。ああ、なんだか悲しくなってきた。
「ふふふふんふふんふふん」
雨が振る中、マントのフードを深くかぶり、地面にしゃがみこんで陽気な歌を歌うだなんて。はたから見たら、おそらく異様な雰囲気なんだろうと思う。ましてや、カラス城の前なんだから余計にそうだろう。
小枝を集めると、テントのそばで火をおこした。木の葉のおかげで、雨も入り込まないから。
「ライター、ライター……っと」
けれど、地面も小枝も湿っていてなかなか火がつかない。
「ダメだ。全然火がつかないなー。やっぱり魔女にお湯もらおうかなぁ」
黒魔術専門のカラス城の魔女にお湯を貰うなんて。その代償に体の一部分でも持っていかれそうだと、身震いした。
諦めかけている時、なにやら嫌な予感がした。予感というか、直感というか。
そんな神がかり的なことではなく、私の臭覚というやつが何かを察知していた。何か異様な臭いがする。例えるなら、何か、燃やしてる?
「いや、燃やしてるっていうか、燃えてる!?」
なんだか焦げ臭い。けれど、手元の枝は全く燃える気配すらない。それなのに、どこかから黒い煙まで上がっている。
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