俺の人生設計に幼馴染みが居た結果・・・

ノベルバユーザー244497

担任教師ロリ化事件

「痛ってえぇ~」

「痛いわけないでしょ? あれから何日たってると思ってるのよ」

「そんなこと言われてもあのヒリヒリした感覚がまだ頬に残ってる気がすんだよ......」

ここ白凰高校2年E組の教室。
あの有栖川の一件から、連休明けのゆううつでかったるい授業を受けていた。今はその休み時間。
俺とアリスはあのあと、初っ端から出鼻を挫かれることになったデートの続きを、旧交を温める形で昔話を交えながらかわした。それから、この騒動の発端となるデート勝負の行方については咲良の方から降りるという結果に終わったらしい。グダグダだった俺とアリスのデートを見たらなんだか馬鹿馬鹿しくなったんだとよ。必死のストーカー行為も無駄じゃなかったわけだ......ほんといい性格してるぜ......。ともあれ、なんだかんだで一連の事件は尾を見せることなく幕を引いたのだが......

「かーくんが悪いんだからね。私の純潔を無理やり奪っておいて!」

「人聞きのわるいこと言うなっ! 誰がいつお前の純潔を奪ったんだよ!?」

「言い様はもっと他にある気がするけど......アリスの言うことも一理あると思うな。輝夜だって必ずしも自分のせいじゃないって言い切れる?」

「それはそうだが......」

「でしょー?」

「あら、意外と素直なのね? てっきりもっと強情に否定するものだと思ってたわ」

「さっきから俺を何だと思ってやがるッ!? 咲良も、「でしょー?」だけでかたづけるな! ......つかなんでいつの間に仲良くなってんだよ、お前ら......?」

ついこの前までいがみ合ってたとは思えない仲の良さだ。

「輝夜のしらないところで色々あったんですぅー! 知りたかったら女の子の一人や二人、口説いてみることね! いこ、アリス」

あのあと何があったっていうんだよ~~!?

一方的に話が中断され、咲良とアリスがその場を離れようとしたとき、唐突に黒板側の扉が開け放たれた。

「みなさ~ん、席についてくださーい!」

この人はこの学校の女教師だ。

「美森先生じゃん!」
「みもりんがどうしてこのクラスに......?」

美森先生と呼ばれる人は、このクラスとは無縁の他クラスの担任を受け持っている。だからこそ、この場にいるのがおかしいとされる所以なのだ。ちなみに担当科目は国語。うちの担任は数学だ。

「ごめんね~みんな、橋倉(仮)先生は急な用事でこの学校......いいえ──この町から出て行ってしまわれたの」

「えぇえー!? 先生、風邪じゃなかったのか!? なんだよ、それっ!? それじゃ、先生にはもう会えないってことか? んなコト、ひと言も言ってなかったじゃんかよー!!」「そうよっ! 先生が町を出ていかれたって言うのなら、せめて理由を開示してほしいわ!」

「「美森先生!(みもりん!)」」

何も知らされてなかったとはいえ唐突すぎる先生の解任に、みな憤りを禁じ得ないよう。
俺はそれが迷える子羊のように見えた。

「みなさん静しゅくに! 落ち着いてください。......何もみんなを教え導く指導者がいなくなったわけではないのよ? だから安心し──」

ちがうぞみもりん。こいつらは替えがきく人材を欲してるんじゃない。......たった一人、心から信じあえる俺たちだけの先生が必要なんだっ! だから──

「みもりんのバカっ! そんなんだからいつまでたっても身よりがないのよっ!」
「それは関係な......っ!」
「美森先生ってー、実はそういうひとだったんですねー? 初めて知りましたー! あ、でもー? 生徒の気持ちをまるで理解できてない大人には最初から無理な話でしたよねー?」
「それは......うぅ」

あぁ......泣いちゃったよ。あの人もあれでけっこう苦労してるんだなー。
常人には到底計り知れないほどの悩みを抱えてそうだ......。
今度、道行く先で見かけたら優しくしてあげよう......。

美森先生は生徒たちの激しい攻撃になすすべもなく、ただ床に這いつくばって涙ぐんでいた。

みもりんの圧倒的劣勢に、救いの手をさしのべる者は誰一人いないというのか......っ!
こうなったらクラス総勢の反感を買ってしまった以上、板挟みになっている子たちのためにも、平穏平和をモットーとする俺自身のためにも、いままでニュートラルをかかげ中立宣言をしてきたがこの際どうっなってもいい! ここでやらなきゃ男が廃るっ! 武力をもってこれを制す! 少数精鋭だがそれも致し方ないっ!!

と、正義の鉄槌を下そうとしたその時。後方の出入口から一人の女生徒の姿がみえた。

「美森先生は悪くないんですうぅぅぅう!!!!」

その生徒の名前は霧崎華恋きりさきかれん。たしか、俺たちとは一個下の後輩に当たる。

「美森先生は私のためにみんなの前に立ってくれてるんですっ!」

君のいう先生はもう立ってすらいないけどな。生徒たちからの罵詈雑言で瀕死状態だよ。

「たしかに美森先生はそそっかしくて、頼りなくて、いざというときに役に立ってくれないけど......」

やめて! 彼女のライフはもうゼロよ!

「でも、......私はそんな先生を誇りに思いますっ!」

どういうとこが!?
......なんかいろいろ内容をすっとばしてるような気がするのは気のせいか?

「えっ......えとえと......っ、ですからっ! 美森先生はわるくないんです! 悪いのは私の方なんです」

あぁもう、見てらんないな......っ!

席をたち、観衆の目線が一点に集中してるところを、立ち並ぶ生徒たちの合間を縫って近づいていく。やがて目標を定めると、肩を震わして涙ながらに訴えていた一年生の目前にふさがった。

「えっと......初めまして。俺は香坂輝夜。2年生のクラスに堂々と入ってきた、ってことは......ここが上級生のたまり場で、それでいて今君の目の前にいるヤツが先輩だってことは、わかるよな?」

ふるふると首を上下に動かす下級生。とそこで幼馴染みの咲良が横から急に割り込んできた。

「ちょっと、なに一年の女の子いじめてんのよ? この子、怯えて声も出せないみたいじゃない!」

「ちげぇーよ!! いじめてねぇ! 単にここは下級生がくるような場所じゃねぇって言ってるだけだ! それにお前の二言目もじゅうぶんヤバイやつじゃねぇかっ!」

「あんたがそれ言う? その証拠にほらっ! この子もぽかんとしちゃって呆れてるじゃない! これがいじめてるって言わないでなんて言うのよ、このあんぽんたんっ!」

「はぁ!? それお前にいちばん言われたくない台詞だわ。なにが怯えて声も出せない──だ! だとしたら俺じゃなくお前がこわくて何も言えないんじゃないのか? ──このオニババァ!」

「誰がオニババァですってぇ~!! そこになおりなさいっ! 矯正してあげるからっ」

五十歩百歩。どんぐりの背比べ。同じ穴のムジナ。とまあ挙げればキリがないような二人のやり取りをみて、霧崎は緊張が解けたように肩の荷を下ろして笑った。

「あ、ごめんなさい! つい......。その、お二方の言いあいが面白くて......ぷっ! あはっ、ははは! ごめんなさいっ、オカシくて笑っちゃいました......」

まるで痴話喧嘩みたいですねと言う彼女に、咲良は赤面しつつも全力で否定していた。

──それから(橋倉)友代先生が担任をやめ町を出ていった等の経緯を、場所を一年生の教室がある1階と俺たち二年生がひそかに安住の地としてある2階をはさむ、階段の踊り場にうつし、事の発端を含め霧崎から訊くに至った。

「それで? ともちーに何があったっての?」ここに来てから均衡状態だった沈黙を咲良が破る。

「俺も気になるな。友代先生に何があったんだ?」

「それは──」

霧崎はそれ以上言うのをためらってるのか唇を噛み締めて口ごもる。
どうしても言えない理由があるなら、と諦めかけたそのとき。

「驚かないでくださいね──?」

不意に発せられた一言に背筋がピンとなり、反射的にあいづちを打った。

「単刀直入にいいます」

ごくりと生唾を飲み、霧崎を見つめる目に力が入る。

「実は──」

霧崎はおもむろに口をあけた。

「先生が小さくなっちゃったんですっ!」

「は?」

「だからっ、先生が小さくなったんです!」

「いやそれは分かるが......」

「だよねー? そんな、先生がちいさくなるなんてことは......?」

「無い、はずだ......」

それが事実なら一度先生に会ってたしかめないとな......

──一難去ってまた一難。
俺と俺の幼馴染みは、またもや面倒なのにアタマを抱えることになりそうだ。

「もう、どうにかしてくれ......」

裏にとりまく陰謀とか策略とかが見え隠れする今回。その真相はいかにっ!












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