俺の人生設計に幼馴染みが居た結果・・・

ノベルバユーザー244497

俺と彼女のハッピーエンド?

「着いたな」

「ここって......街が一望できる展望台じゃない!」

「そうだ。俺と有栖川の思い出の場所。いるならここしかないと思う......」

「どうしたの、急に弱気になって? 私はたとえ世界中の人が敵に回ったって、私だけは輝夜の味方だから......。輝夜はイヤ......?」

咲良は俺の顔を覗き込んだ。儚く揺れる双眸に目を奪われそうになる。

「いや、とかそういうんじゃなくて......。咲良がずっと俺の傍にいてくれたように......有栖川も俺といっしょに笑いあってくれたり、喜んだりするのかな......って。......あぁまあ、急にそんな歯の浮いた話されても困るよな、すまん......今のは忘れてく──」

「ばかっ。するに決まってるじゃん!」

「え?」

「じゃなきゃ私が輝夜と一緒にいる意味ないし......輝夜は私の気持ちに全然気付かないし、そういうところで女泣かせだよね!! 輝夜って!」

「は? は? 何言ってんの? お前......?」

「もういいじゃん! 早くいこ!」

「怒ってる、よね?」「怒ってないし」「いや怒ってますよね?」「怒ってない!」「咲良さん?」

「怒ってないって、言ってるじゃない! ......しつこい男は嫌われるわよ」

「それ前にも同じようなこと言われた気がする」

「ふふっ変なの」咲良はにこやかに笑う。

「本当だな......」俺もそんな咲良を見て堅かった表情を少しだけほころばせた。

「よし......そろそろ行こうぜ」

まだ事は終わってない。覚悟を決めて足を踏み出した。とそこで咲良が不思議そうに首をかしげた。

「なーに言ってんの~? あんた一人で行くに決まってるじゃない。寝ぼけたこと言わない、ほら!」

不意に背中を押されつんのめりそうになったがすんでのところで歯をくいしばった。

なんだ、咲良はこないのか。

「幼馴染みだからっていつまでも甘えたこと言わないのっ!」

咲良が付き添ってくれないことで一人で出来るか不安になりつつも、目を見開いて天を仰ぐ。

「じゃあ、行ってくる」

そうして展望台の近くまで来て、有栖川がいないか辺りを見回した。

───いた。

青く透き通った空を見つめながら、潮風になびく髪をおさえている。

俺は、有栖川の居る場所に駆け寄って昔のことを話題にもちかけた。

「ここでのこと覚えてるか?」

驚嘆にもくれず、手すりをつかんでいる少女がふりむく。俺は彼女の横につき続けざまに言葉を紡ぐ。

「お前、今日みたいに怒ったのにもかかわらずこの展望台で待ってくれたんだよな」

不思議とその時のことは覚えていた。さっきまで有栖川と逢うのが二回目だったってことも忘れていたのにな......。いったい何で忘れていたのか、そんなことまで......忘れてしまっている。

有栖川は戸惑ったように、そしてはにかんだ笑顔で言った。

「思い出して......っ......くれたのね......!......うれしい」

「なんで泣くんだよ!? 俺、なんか変なこと言った!?」

「......え? どう、して......?」

有栖川は頬を伝う雫にきづいて声を詰まらせた。

「違うの......これはっ! ......かーくんにまた嫌われたと思ったから......っ! 面倒な女だと思われたくなくって......。私、また変な癇癪おこしちゃったよね......ごめんね」

「なんで謝るんだよ。謝らなくちゃいけないのは俺の方だってのに......」

有栖川は自分が傷つくのを厭わない。ばかりか、他人が傷つくのを恐れる傾向にある。何が彼女をそうさせてしまったのか何故彼女がそうしなければならないのか、俺は酷くその現実に憤りを感じていた。

だから、変えなければならない。彼女を取り巻くあらゆるものを取り除かなければならない。その呪縛から一刻も早く解放してやらなければならない。

さもなくば、香坂輝夜という人物と、有栖川アリスという人物の関係が終わってしまう。このままではいられなくなる。そんな予感さえしたのだ。そんなのは絶対嫌だ。

意を決し、心中に募った有栖川への不満を打ち明ける。

「有栖川はなんでそんなに必死なんだ? ......いや、今の俺が簡単に訊いて良いことじゃないのはわかっている。その上でお前は俺にどうしてほしい?」

有栖川はキョトンとした。まるで意表を突かれたみたいに固まった。だがそれも一瞬のことで後にはここぞと言わんばかりに唾をのみこみ熱意のこもった眼差しをちらつかせる。

やがて有栖川はその水分で潤みきった口を開き、その深層をのぞかせた。

「わ、たしは......わたしはあなたに......」

──そのとき、彼女の時は音を立てて動き始めた。

「あなたにそばにいてほしい!」

「......え?」本日二度目の驚き。

「ずっと私だけを見て! 私だけのダーリンになって!」

「そ、それって......!?」

「うん......私、かーくんのこと......好き。......ずっと前から好きだったの!」

やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいや!......あれ、いま俺何回やばいっていったんだ?ほんとやばい......動揺しすぎて近くに穴があったら入りたいわ!

それからというもの、有栖川もといアリスは俺から視線をはなしてはくれなかった。じっと待って、ただひたすらに待ち続けてくれた彼女の心を融かすにはもう充分すぎたのだ。

時間は止まったまま動かない。いや、世界の時間は正常通り動いている。ここだけ時間が止まっているのだ。俺と彼女を取り囲むこの静寂が、時間もろとも制止したように感じさせている。

俺は次に出すべき言葉をさがした。

─もうどれくらいの時間がたっただろうか? 
何て返せばいいのかわからないまま、時間だけが通りすぎていく。

かといって、ここで誤魔化そうものなら即ごみ処理場行きだな......だから素直に──

「ありがとう」

「それだけ?」

(あれ......なんか俺、選択肢ミスった?)

「えっと......じ、じゃあ俺はこれで......」

「待ちなさい......かーくん?」

さっきまで温厚で純真無垢なうら若き乙女が今は、憎悪に勝る勢いで戦々恐々な声音を俺に向けている。うーん......あの選択で間違ってなかったと思うんだけどな-?

試しに後ろを振り返ってみると、闇のオーラで敵を討ち滅ぼさんとする悪の化身の姿がそこにはあった。俺、死ぬのかな......? 最後に俺を好いてくれた子に殺されるのも悪くはないな、うん。......よーし、じゃあいっちょ歯を食いしばって──

「この世はギャルゲーじゃないわよ~~!!!!」

バチンッ──!

青く澄み渡る空に鳴り響いた。











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