俺の人生設計に幼馴染みが居た結果・・・

ノベルバユーザー244497

尾行と追跡

〈Side story〉

私たちはとある商店街の一角に来ていた──

「お姉帰ろうよ~」

「せっかくいいところなんだから邪魔しないの!」

「邪魔ってひどくない!? お姉が強引に誘ってきたんでしょ」

「それはそうだけど......」

ここにきているのは他でもない、最近転入してきたばかりの有栖川アリスって子に私の幼馴染み(香坂輝夜)を賭けた戦いを挑まれたからだ。

今日は先行の有栖川さんが輝夜とデートする日。

私と私の妹・不知火瀬奈しらぬいせなは、その偵察と下見にきたのだ。

瀬奈にそのことを話すと、「私、お姉の好きな男の子とあってみたいな~」「しりたいなー」と半分茶化すような言い方をされたが、私も最初からその気だったのでつれて行くことにした。(さすがに私がデートする日にはしなかったが)

だから前日の有栖川さんの番にしたのだけど、瀬奈はここにきて帰宅願望を吐露し始めた。

「私が輝夜の話をしたときは満更でもなさそうだったのに、どうして本番になって駄々をこねるのかしら......」

「それはお姉が不甲斐ないからじゃない?」

「(なっ!?)......そんなわけないじゃない!?」

「ほんとかな~? ......ま、いいけどさ。......ところでお姉、二人とももう行っちゃったよ?」

「え? そ、それをはやく言いなさいよ~っ!? ほ、ほら行くわよっ!」

「も~! 言ったそばからこれじゃん......」

私たち二人はそれから輝夜たちの尾行を再び開始した。ふたりはそんなに遠くへは行っておらず、比較的見つけやすい位置にいたため見つけるのに大して時間はかからなかった。

「はぁ」というため息を漏らし一時的にとはいえ安堵する。

妹もまたそんな私の動向をうかがってか、少しだけ顔をほころばせた。

とその時、輝夜たちが建物の中に入っていくのが見えた。建物の外観を一望すると、そこは昔ながらの喫茶店のようだった。

「お姉、先輩たち店の中にはいってちゃったよ?」

「ええ......わかってるわ。私たちも入りましょ」

「えぇ~、入るの~?」と言う瀬奈をよそ目に輝夜がいる店のほうへ淡々と歩き出す。瀬奈も泣く泣く私の後についてきた。

店内へ侵入すると、そこには古さを感じさせぬ趣とどっしりとした抱擁感で満たされていた。
店の雰囲気からも外からでは計り知れない独特の優雅さをたずさえているような気もする。

けれど今はそんなのどうでもいいこと。私と輝夜の仲をひき裂こうたってそうはいかないんだから!

「俺と彼女の二人だけです」

「二名様でいらっしゃいますね。ではご自由に空いている席におかけになってお待ちください」

輝夜が受付との対応を済まし終わった後、妹の瀬奈が真っ先にカウンターへと向かった。

「いらっしゃいませ。何名様でございますか?」

すると、後に続いてきた私たちを客と勘違いしたのか手際よく応接される。

「あ、いえ。わたしたちは客じゃなくて......」

あわてて間違いをただそうとしたが店員は一歩も退かない勢いで、そしてなぜだか一昔前の悪徳商法みたく意地をとおされ、結局その押しの強さに屈した。

その後、私たちは輝夜たちの監視もかねて二人とは少し離れた場所に座り(輝夜たちにみつからないか内心ヒヤヒヤものだったが)、軽食を挟みながら不審な動きをしてないかチェックする。......別に、輝夜とあの女がどうなろうと知ったことじゃないけどねっ!私はただ学生にあるまじき不誠実な交遊はしてほしくないだけよ!......そうよ、それだけ、なんだから......!

......だけど、ここは仕切りが何一つ無いから見つかるのもそう遅くないかも。

(時間の問題ね......)

輝夜たちの動きを観察しながら先ほど頼んでおいたブラックコーヒーをすする。

「苦っ......!」

「お姉......なぜにそれをチョイスしたのだね......?」

「う、うるさいっ! 私だって大人よ、これくらい飲めるわ!」

「うぅ......、無理して背伸びしてるのバレバレだよぅ。まさか、これも先輩のためだったりする?」

「ち、ちがうわよ! そんなんじゃないわ!」

「なんだろう......、お姉がすごく可愛く見える......!」

瀬奈が小声で何か言っているような気がしたが訊くのも面倒なので輝夜たちへと視線を戻す。

「なんだか変ね......」

二人の様子を見て、さっきまでの雰囲気とはちがうおびただしさを肌に感じ始めた。

そして───、突如として鳴り響く声。怒りとも悲しみともとれない弱々しい声。

有栖川さんの声だ。

切なくて今にも失くなっちゃいそうな......、そんな声。

それは、輝夜に向けて放たれた訴えのようなものだったのかもしれない。

有栖川さんは泣きながら外に走り去っていった──

輝夜は一時放心状態だったがやがて我に返ったかのように、急いで会計を済ませ店を出ていく。

「私行くから! 瀬奈は先帰ってて」

「ちょ、お姉!?」

それに見かねた私は妹の必死な呼びかけにも応じず、お代を机に置いて自分だけ店を後にする。

「あぁあ、もうっ! あのバカ、なにやってんのよ......っ!」

そう、───輝夜を追って。






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