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カイカイカイ…

霜月 秋旻

ヒカリへ

僕はかつて、何のために生きているのか、わからない日々を過ごしていた。
毎日が、同じことの繰り返しだった。毎日をただ消費している。消費し続ける毎日だった。生きているのか死んでいるのかわからない、生きる屍。
しかしいざ、自分が死と直面すると、恐い。死にたくないと思う。生きていたいと思う。
死にたくない、生きたい、生きたい…
「生きたい!!」
僕がそう叫んだその瞬間、僕の口元に巨大なメガホンが出現した。<覚醒の拡声器>だ。僕の声は<覚醒の拡声器>を伝って、森全体に響き渡った。すると、僕と喜与味を締め付けていた枝は、しぼんだ風船のように力を失って、元の状態へと戻った。
『もう、終わりにするんじゃ…』
今度は、どこからか声がした。聞き覚えのある声。その声は、森全体に鳴り響いた。
さっきまで怒りをあらわにしていた夏目宗助は、呆然とその場に立ち尽くしていた。
「末…永…さん?」
すると宗助の目の前に、死んだはずの末永弱音が立っていた。
『おぬしもそろそろ、この森から去るべきじゃ。おぬしも前へ進むべきじゃ。わしと共にな…』
「なにを言っているんだい?あなたの霊能力は、ボクには及ばないはずだ。それにまだまだボクにはやるべきことがあるんだ…」
『いいや、わしは命を落としてから、どうやら生前の倍以上の霊能力を発揮したようじゃ…。そしてそれは、おぬしの死後の霊能力を超えておる…』
「なん…だって…?」
『冷華…、今だ』
末永に呼ばれると、志摩冷華がその場に現れた。彼女は、毛布で包まれたものを抱えていた。彼女はその場に座り込み、毛布を広げ、中身をあらわにした。毛布に包まれていたのは骨。白骨だ。
「それは…まさか」
『おぬしの骨だ。やっと見つけたぞ。わしとシロウ、冷華の三人でおぬしに内緒で探していたのじゃ。そしてついに見つけることができた。あの防空壕の近くの茂みに隠れておった』
宗助は、うろたえていた。自分の遺体を目の当たりにして、自分が死んだことを改めて認識させられたのか、目を逸らそうとしていた。
『死んだものは、いつまでもこの世に執着してはならない。この世に依存しているおぬしを、これから解放してやろう。なに、一人ではない。わしも一緒に同行してやる。あの世へな…』
「やめろ…」
志摩冷華は、経文を唱え始めた。末永弱音は、宗助を包み込むように押さえつけている。
「やめろおおおおおおお!!」



一瞬だった。温かい光が、宗助と末永を包み込んだ。そして瞬く間に、二人の姿は無くなっていた。
さっきまで暴れるようにざわついていた木々は、遊びつかれた赤子のようにおとなしくなっていた。
「さようなら…末永さん…さようなら、キヅキの森…」
志摩冷華は、そうつぶやいていた。

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