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カイカイカイ…

霜月 秋旻

壊、改、開

「考えを改める…?」
「そうです。下にある建物を利用している者は、その岩をものともせず持ち上げています。それは、持ち上げる誰もが、その岩を持ち上げられることを当然だと認識しているからです。自分の力に自信を持っているからなのです。まあ、その岩の正体を知っているということもありますがね。たしかにみなさん、最初はあなたのように無理だと決め付けていましたよ」
たしかに僕は、この岩を持ち上げろといわれたとき、すぐ心の中で『無理だ』と決め付けた。僕の大きさの何倍もある岩だ。筋力もさほどない僕には到底無理だと、決め付けていた。それは、この岩に限ってのことではなかった。
いままでの生活の中でも僕は、何に対しても、不可能だと決め付けていた。中間テストで学年首位なんてなれるわけがない。学校一の美女と付き合うことなんて、できるわけがない。徒競走で一位になれるわけがない。就職なんて、できるわけがない。いずれも、僕が自分に自信がないからだ。自分の能力を、この程度だと決め付けてしまっている。自信がないから、何もかもが無理だと諦めていた。最初から諦めていて、自分を鍛える努力もしない。僕は、自分が無力な人間だとはじめから決め付けていて、何もしてこなかった。逃げていたのだ。<不可能>という壁をこしらえて。
「安藤快さん、あなたはまだ、なにもしていない。あなたは今まで、自分自身の考えで自ら動くということを何一つしていない。今まであなたはただ、諦観してきただけだ。あなたはまだ、何も始めてはいない。改めるのです。自分を無力だと思わないことです。今までの、見てくれに囚われた考えは壊すのです。あなた本来の生き方を見つけてください。その岩を持ち上げることが出来た瞬間、あなたの進むべき道が開かれる」
僕は再度、岩に手をかけた。こんな岩、持ち上げられて当然。僕には出来る。僕はいままで、逃げてきただけだ。遠慮してきただけだ。これからは、遠慮などいらない。僕は何もかもを壊された。失うものなどない。改めるんだ。道を開けるんだ。自分本来の力で!
僕は全身に力をこめ、思いっきり岩を持ち上げた。すると岩は、今までの重さが嘘のように、軽々と持ち上がった。
「こんな簡単に………」
「言ったでしょう。この岩は、持ち上げる人間の心によって重さが変わると。あなたが心から、自分は持ち上げられる、そう信じたから、この岩は軽くなったのです」
岩が持ち上げられると、その下には直径二メートルほどの広さの穴が開いており、地下へと続く階段があった。
「おめでとうございます、安藤快さん。あなたは自らの力で、道を開いた。さあ、行きましょう」

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