恋愛委員会!

紫 ヤタガラス

025

「お、鬼島さん。そんな風に俺を見ていたのかい?」


 ちょうど話しているところで太と和美が2ー6に到着する。
 太は辺りを見回すが、先にここに向かった雅の様子が見えない。


「あれ?雅ちゃんは?」


「え?雅ちゃんならここに・・・あれ?」


 時夫は先について話を聞いていた雅がさっきまでいた場所を指差すがそこには雅はいなかった。


「あれ?どこいったんだろう?」


「どこって、そこにいるだろうが」


 剛が指を差す方向は掃除用具などが入っているロッカーだった。


「なんで隠れるのマイシスター?さぁお兄ちゃんに愛のある抱擁を」


 そう言ってロッカーを開けた時、雅はすでに拳を構えて


「少しは自重しろバカ兄貴!」


 と言った後に太に腹パンをかます。
 もちろん太はそれをくらう。そしていつも通りの感想。


「さ、流石マイシスター。完ぺきな腹パンだったぜ・・・」


 腹を抑えうずくまりながら親指を立てる。


「だから私は隠れていたかったんだよ。こんな身内恥ずかしいよ・・・」


 雅は恥ずかしさのあまり、軽く泣いてしまう。


「なぁ太、もうそういうのは家出だけにしてやりな。学園でこんなことばかりしてたら雅ちゃんの悪い噂ばかりたつぞ」


 時夫が真顔で太に言う。
 しかし太は昼飯を抜いていたため腹パンを食らったあとまた少しの間気絶していた。


「全く。気絶するくらいならあんなことするなよ。まぁ雅ちゃん、太には俺から言っておくから今は泣き止んでくれよ」


 と雅の顔を時夫は見ると、雅はもう泣いておらず逆に怒っていた。


「安心して、時夫さん。私家帰ってから母さんに相談するから」


 お気の毒に太、だがお前が悪いんだぞこれは。
 時夫は太の前で合掌していた。


 太が気絶している間に、鬼島が今回の集まりについて話し始める。


「えと、今回は自己紹介しとけだって。担当の先生が」


「担当って誰だよ?」


 剛が拳子に言う。拳子は


「恋愛委員会の担当は・・・」


「どうも〜。私で〜す」


 まるで呼ばれるタイミングを狙っていたかのように豊臣先生が入ってきた。


「私が恋愛委員会を担当させてもらいます。豊臣 日向です!よろしくね」


 無理に若作りしている感じで入ってきたので剛は


「気持ちわりーな!そのキャラやめろよ!年にあってねぇぞ!」


 というと、豊臣先生が


「歳の話はするんじゃねぇよ。次に私の前で歳の話をしたらどうなるかわかってんだろうな?」


「どうなるんだよ?参考に聞かせてくださいよ先生」


 背後にドス黒いオーラのようなものを出しながら剛の背後に立つ、豊臣先生。


「テメェのぶら下がってるアレを使い物にできなくしてやるよ」


 指をハサミのような形にしてチョン切るぞというような雰囲気を出し、剛は舐められないようになんとかビビらないでいようといたが、怖すぎて内心汗だくだった。
 恋愛委員会のメンバーは豊臣先生の前では歳の話はなしと暗黙のルールが生まれた瞬間であった。

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