異世界で目立ちたい!

紫 ヤタガラス

杭VS杭

「これがわたしの過去だよ。現バーラッシュ君」


 吸血鬼はアルカルナ撃退の話をヴラドリオに話した。


「なぜその話を今するんだ?わたしには全く関係ないではないか」


「うん。関係ないね。でも君の娘のご褒美だからね。これが妥当じゃないのかな?」


 吸血鬼は軽く笑う。


「それじゃ改めて、君の身体をもらうよ!」


 吸血鬼はヴラドリオに襲いかかり、牙を立ててヴラドリオに噛み付こうとする。


「ふん!」


 ヴラドリオは杭を地面から出現させ、吸血鬼から距離をおく。


「やはりバーラッシュ家は代々杭の異能力を受け継いでいるのか。嬉しいよ」


「何が嬉しいんだよ!」


 ヴラドリオは杭を吸血鬼に向ける。しかし、吸血鬼に当てる前で杭を止める。


「なぜ攻撃を止める?もっとお前の力をわたしに見せてみろ!現バーラッシュ!」


「うるさい!それにもうバーラッシュ王国は滅んだわ!わたしの名はヴラドリオ・バーラッシュ!現バーラッシュなどというのはやめろ」


 ヴラドリオは吸血鬼から距離をおく。しかし、間髪入れず吸血鬼は襲いかかる。


「ほら!わたしに攻撃を少しでも当てないと身体いただいたちゃうぞ!」


「くっ!離れろ!」


 ヴラドリオは吸血鬼に牽制の杭攻撃、もしくは吸血鬼の放つ攻撃を杭攻撃で打ち消すことしかしなかった。


「全く。何もしないなら大人しく身体を渡さぬか」


「ごめんだよ。私は娘を。マリアルを救って貴様を必ず殺してみせる!」


「そうか。ならばはやくそうするといい」


 吸血鬼は両手を上にあげて降参するというようなポーズをとる。


「なんの真似だ!」


 ヴラドリオは怒りながら吸血鬼に言う。


「なーに。君にサービスだよ。ほら好きなだけ攻撃するといい」


 ヴラドリオと吸血鬼の睨み合いが続く。


「どうした。睨んでいても私は倒せぬぞ。早く攻撃せぬか。サービスタイムだぞ。ほらほら」


 吸血鬼はヴラドリオを挑発するが、ヴラドリオは全く攻撃をしない。


(できるわけがないだろう。吸血鬼の入ったいる身体がマリアルじゃなくて他のやつならすぐにやれるのに・・・)


 ヴラドリオが苦悩している間、吸血鬼は先程理人と戦った時に吸血兵士としたゲンをヴラドリオの背後に忍ばせる。


(クックック。だいたい攻撃してこないのに関しては予想はつくがこれほどいい状況はなかなかないな。全く、腹から笑いがこみ上げてくるぜ)


 なんともバカなやつだと思いながら吸血鬼は笑う。ヴラドリオにはバレないように。
 そして背後から吸血兵士にヴラドリオを襲わせる!


「もらった!」


「な、なに!」


 ヴラドリオは振り向く。吸血兵士はヴラドリオに噛み付こうと襲いかかる!


 ガブ!

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