異世界で目立ちたい!

紫 ヤタガラス

柳とチリン

「それにしてもカルナクまだ来ないのかな?そんな酷い状況なのかな?どう思う鏡?」


 戻ってくるのが遅いカルナクを心配していた実里は理人に相談した。


「カルナクは強いんだからそんな簡単にはやられていないと思う。多分来ないということはきっとヴラドリオに加勢していて戻って来ないんだと思う。ここで待っていてももしモンスターに襲われたら今のミノじゃ相手にできないし、俺もミノをかばいながらじゃ多分守りきれない。だから皇国の中へ入ったいないか?」


 理人はそう言った。自重しているところから少しは本当に成長したんだなと思った実里だった。そして、理人の言う通り、カルナクを信じて余計な心配をかけないように皇国の中で待つことにした。






 その頃、アワルディア帝国に捕まって牢屋にいるチリンは未だに自分の正体が信じられなかった。


「だいたい私がこの帝国の女王だとすれば私は鏡くん達にどう接すれば、、、。でも今まで知らなかったんだし鏡くんなら説明したら聞いてくれるかもしれない」


 チリンは悩んでいた。その時、牢屋に誰かが来た。


「おい。チリンいるか?」


「貴方は、、、柳!助けに来てくれたの?」


 牢屋に来たのはチリンが昔異世界召喚で巻き込みアワルディア帝国側にいる柳だった。


「今はまだ無理だ。俺はある命令を受けてアワルディア帝国にいる。いいか、必ず俺がお前を助けてガイアラン皇国に送り届けてやる。だがまだ準備ができてないから来たるべき時まで待ってくれ。後アワリオから言われたことは信じるんじゃないぞいいか?」


「でも私が元々異世界の住人だとすれば全て納得がいくんだよ?貴方が異世界召喚に巻き込まれたこと。私たちがこの世界に来たことも」


 そう、チリンは自分のせいで異世界召喚に成功し、柳達を巻き込んでしまったのではないかと考えていた。そうすれば全て納得できると。
 しかし、柳はばかばかしいと思いながら


「全く。いいかいチリンはそんなこと気にしなくていいんだ。それにチリン達が来た時の異世界召喚は、他の人が望んでやったことだろう?なら深く考えなくていいさ。それに俺はこの世界に来て感謝してる。もしチリンのおかげならありがとうと言いたいくらいだよ。だから深く考えなくていい。私が助けに来るからそれまで待っていてくれ」


 柳はチリンを無理やり納得させようとした。チリンも柳の言葉を信じることにしてアワリオの言葉を忘れようとしていた。
 柳は出来るだけチリンを励ました後、牢屋がある部屋から出て行った。この行為が後に柳の素性がバレて大変な状況になるのだった。


「何?柳君が怪しい行動をしていた?牢屋の監視の術式の映像少し見せて」


 アワリオは柳が怪しい行動をしていたと部下から聞き、ダーランマが牢屋にしかけた術式の映像を見ていた。


「なるほど、これは決定的な映像だね。少し泳がせて見ますかな。ふふふ、もし本当に裏切り者ならあの実験の実験台になって貰おうかな」


 アワリオは研究室で映像を見ながら不気味に笑っていた。

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