異世界で目立ちたい!

紫 ヤタガラス

もう1人の切り裂き魔

ダーラスは切り裂き魔との戦闘を楽しんでいたが、チリンのがそばにいたのを忘れていた。切り裂き魔は撤退するために、チリンを狙おうと考えた。


「オマエウシロイタヤツリヨウスル‼︎」


そう言って切り裂き魔は負傷してない手の方に能力を使ってチリンを攻撃しようとした。


「クラエ‼︎イトランス‼︎」


 切り裂き魔の出した糸の先っぽがとんがり、その先っぽがチリンに向けて放たれた。


「全く面倒臭いことするわね。そりゃ‼︎」


ダーラスは自分の持っていた杖を糸の方向に向かって投げた。糸はうまく杖に刺さり、そこで止まった。


「全く面倒かけて、、、。まぁそろそろ糸もほどけたでしょ。早くアルダスの元に、、、あれ?」


 後ろを振り向いた時、チリンはすでにもういなかった。


「やっと逃げたのかしらあの子。ほどけたのならほどけたと言って欲しかったのに」


 ダーラスが前を振り向くと切り裂き魔は既に逃げていた。


「しまった。逃してしまったわ、全くなんのためにこんな作戦したのかわからないわねこれじゃ。とりあえず入り口に戻りましょうかね」


 ダーラスは入り口の方へ向かい、アルダスと合流することにした。






 その頃、実里は違う場所から商店街に潜入していた。


「私が今着いたってことはもう作戦も始まっているわよね。早く秋月さんを探さなきゃ」


 実里はチリンを探すために商店街のなかを走っていた。そこに急に何かがとんできた。


「危な‼︎何これ?独特な形のしたものだけど?」


 石の塊的なものが実里の前にとんできたので実里はそれを見ていた。すると次に小さなナイフがとんできた。


「次はナイフだと?誰だ‼︎誰かいるなら出てこい‼︎」


 実里はそのとんできたナイフを拾いとんできた方向へと投げた。その投げた方向から人が現れ、投げたナイフはその人によって止められた。


「はじめまして。私はベルナと申します。仲間の不始末のために馳せ参じました。貴方がたの言い方をすれば切り裂き魔?と言われる部類の人です。以後お見知り置きを」


 実里は驚いていた。切り裂き魔には仲間がいたこと、そしてベルナと名乗ったやつの片方の腕には人が抱えられていた。そう秋月チリンが抱えられていた。


「お前‼︎秋月さんをどうするつもり?」


 実里はベルナに聞いた。ベルナはこう答えた。


「いやそんなこと教えるわけないでしょう。まぁ切り裂き魔のやることなんて大抵想像できると思いますがね〜」


 ベルナはそう言ってチリンを抱えて逃げようとした。


「逃すわけないでしょ‼︎その人を離しなさい‼︎」


 実里は逃げようとしたベルナを追いかけて止めようとしたが、実里はすぐに止められた。そう腹部にナイフが刺さっていた。


「逃げさせてもらいますよ。私たちは誇りを持って切り裂き魔をやっているんです。一回狩りに出たら1人しか狩らないことが我々の誇りだ。よかったな。生きていたらまた会いましょう。では失礼」


「ま、、、て、、、その子を、、、はなしてくれ、、、ぇ」


 そう言って実里の意識は途切れた。チリンはもう1人いた切り裂き魔によって奪われてしまった。今それを知る者は誰もいなかった。



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