冒険者が女主人公でも良いじゃない。

十徒

忙しい一日の終わり

ご飯を食べ終え食器を片付ける。
食後だからか眠そうなロイ。
今日一日で起こったことを考えると無理もない。
シャワーは明日にして今日はもう寝よう。
「ご飯も食べたし今日はもう寝ようか」
とろんとした目でゆっくり頷くロイ。
少しでも目を離したら寝てしまいそうなので、
手早く寝仕度を済ませる。
ロイをベッドの壁側に運び、そのとなりに私も横になる。
「ランタン消しても大丈夫?」
と私は言ったが、返事をするロイはあどけない顔で眠っていた。
おやすみと小声が漏れながらロイの頭を撫で、ランタンの火を消す。
慣れない添い寝で眠れないかと思っていたが、
私が眠りに着くのに時間はかからなかった。




その日の夜中。
何か胸元で動くのを感じる。
それは私の上を通ろうとするような動き、
しかしそれはものすごく不器用に感じる。
少し目が覚めてくるとそれはロイだとわかった。
「どうしたの?」
寝ぼけた声で話しかける。
私の目にはロイが慌てているように見える。
私が体を起こすとロイは首を横に振っているのがわかった。
なんだろうと考えているうちに目が覚めてきて気がついた。
「トイレに行きたいの?」
ロイは少し間を開けたあと遠慮がちに頷いた。
「なんだ起こしてくれれば手伝ったのに。夜中に来るから夜這いだと思っちゃった」
と少し茶化すとロイは顔を赤くして首を横に降った。
「ハハハッ、冗談だよ。さトイレ行こっか」
そう言ってランタンに火をつけ、ロイをトイレに連れていく。
終わったら声をかけるように伝え、トイレにランタンを置いて扉の前で待つ。

待ってる間にふと思った。ロイって可愛い。
これが母性本能というものなのだろうか。
この歳になって彼氏もいない私にとっては縁遠いものだと思っていたが、こんな形で体感するとは思ってもみなかった。
そんなことを考えているとトイレから物音が聞こえる。
考え事をしていて声をかけられたことに気づいてなかったようだ。
「ごめんごめん今開けるよ」
そう言ってロイにランタンをもってもらい、
ロイを抱えベッドに腰かける。
ランタンを受け取りテーブルに置き、ロイを私の隣に寝かせる。
ランタンの火を消し布団を被る。
「寝られそう?」
ロイは頷いたがそこには少し間があったような気がした。
おやすみと声をかけ目を閉じる。
とは言え中途半端に寝てしまったためあまり眠くなかった。
少し経ちなんとなくロイが気になって目を開ける。
すると少し不安そうなロイが私の目に映った。
そう思ったときには自然と手がロイの胸元に伸び、軽く心音のように叩いていた。
ロイは驚いたように見えたが、だんだんと肩が下がっていったような気がした。
そうしているとなんとなく私も落ち着き、いつの間にか眠っていた。






日本語上手になりたい(切実)

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