Azurelytone【2】~アズレリイトオン~

羽兼

001 迷宮建築



「……なんだか気味悪いよね」

「怖いなら帰れ」 


「いやだよ……」

「でも……」

「人が住んでる感じはしないよね」 


依頼はごく簡単なもののはずだった……。 

マンションに狂暴な野犬が住み着き、
中に住人が取り残された。 

問題は
この街の野犬には
ダストを取り込んでいる場合がある……。

つまり、ダーザイン(死なない)の獣……。 

ダーザインを死なせる事ができるのは、
その血に侵入できるミヅキだけ……。

家族を救出して欲しいとの
依頼をレヴィンは受けた。 

「……それにしても暗すぎる」

「いや………この建物は、
   ダストが濃すぎる…」 


「見ろ……俺が握っているのに
    結晶が紅くなっている
    ………こんな現象は初めてだ」


<ダーザイン(Dasein)の犬が住み着いたからといって、建物内のダスト(Dast)濃度が上がる……?>

一階のそれぞれの部屋に、住人はおらず行方不明………。



<いや……そんなこと…… >


中には食事の途中かの様な状態の部屋もあった………。


<気配が拡散している……>


二階の部屋も同様………。
避難しているのか?


  < いや……むしろ、
       気配の中に入り込んだ感覚…… >

三階も異常はない………人がいない以外は。


「……? あれ?」


「どうした?」


「今、三階から上がってきた
   はずなのに、
   二階ってかいてある」 




最後尾にいたミヅキが、階段の踊り場から叫ぶ。



「逃げろ  」

「うォォおおおお! 」



壁に次々と犬が湧き出、
ミヅキを襲う。 


(量が多すぎる)


「お前ら、建物から出ろ!」


「真理化する! 」



アレーテウェイン! 


「ぅおぉぉらぁ!」


ドッ  

ミヅキの拳は一気に壁にめり込んだ。 

「……!?」

ミヅキが違和感を感じた瞬間っ。


ベッ!!


「………な…?」


一瞬にして、ミヅキは建物の外に弾き飛ばされた。 



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