神無日ーかんなにちー

アルナ

神王会議

ミズガルズ。
それは神々の住むアースガルズの世界の下に形成された
人間の住む世界の事を示す。
そんなミズガルズの地が今まさに崩壊の危機を迎えていた。


「第三百二十回、神王会議を現時刻をもって開始する。」


重々しく口を開いたのはこの会議の司会を務める(というか、なすりつけられた)ゼウスである。


「今回の議題はずばり『ミズガルズの存在意義について』です。」


普段のおちゃらけたゼウスとは違い、今日のゼウスは真面目そうだ。
と、この神王会議の書紀を務める白ウサギはそう思っていた。やっと神々らしい所が見れそうで、内心、心を踊らせていた。会議は粛々と進んでいく。


「異教徒は消えろ。」と、ヒンドゥー教代表の三代神ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァは口を揃えてそう言った。


「正直言えば、人間がいなくても、私達、何ら変わりはないからねぇ、どっちでもいいね。」と、日本神代表の
天照大神アマテラスが言う。


「人間は争いしか生まぬ。醜い種族よ。」と、『旧約聖書』の最高神、ユダヤ教の万物の創造主であるヤハウェ。彼はミズガルズに存在するある言葉を知らない。




―――――親も親なら子も子だ―――――




「ううむぅ、そうだな・・・・。」


ここまで黙っていたゼウスは他の神々の意見を聞き、そうして判決を下した。


「うむ、俺も人間嫌いだし、第一この会議早く終わりたいし、判決は滅亡ってことで今日の会議終了おつかれーッ!!」


そうして、会議の終了とともに会議室から出ていく神々を白ウサギは黙ってみていたが、思い返すとかなりまずい状況だということに気付かせられた。あまりにスムーズに会議が進んでいたので何も問題はないものと思い込んでしまっていた。
白ウサギは言った。


「いや、アンタら私情入れすぎでしょおおおおっッッ!!」


「何だよ、判決に文句でもあんのかよ!」
「おおありだよ!むしろ文句しかねェよ幾ら
神様の思い通りって言ったって、もう少し考えて下さいよ!!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ウサギが五月蝿いので再判決します。オーディンと・・・そうだな、ラーはこちらへ。」


呼ばれた二柱は立ち上がり、ゆっくりと歩を進める。会議室に漂う頬を刺すような空気が、白ウサギに緊張を与える。


「二人共、分かってるね?」


「「おう」」二柱は同時に頷きあう。


白ウサギは生唾を飲んだ。


そして――――――――。


「最初はグー!じゃんけんポンっ!」


オーディンはグー。ラーはチョキ。
片方は歓喜し、また片方は崩れ落ちる。判決は下された。


「滅亡決定、おつかれーーー!!」


「いや、オカシイだろぉ!テメェらぁ!!」


こうして一度、ミズガルズは滅ぼされようとしたのだった。

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