プリンセスセレクションー異世界からやってきたお姫様は王様を目指す
69話 再会のプリンセス
獣を彷彿とさせる獰猛な笑みを浮かべながらこちらを見下している少女に、HR中であるとかクラスメイトの目があるとかそんなことを無視して俺は席を立ち上がっていた。
「んなっ!? ちょっ、おまっ? こんなとこで何してんだよ?」
初日にナニィと争ったプリンセスが学校に堂々と来ている事実に内心で戦慄する。
どうやって転入生として入って来たのかは知らないが、どう考えても穏やかな理由ではないだろう。
「あん? このヒラヒラスカートが目に入りませんかってつーんだよ」
俺の気も知らず、いやあえて気づいていない振りをしているのか?
とにかくメチアと名乗った少女は、星見ヶ原学園の女性徒みんなが履いているスカートをピラッとめくりながらアピールしてくる。
その見えそうで見えない角度に男共が机に顔をへばりつけていた。
「おっ? なんだ神無! お前メチアと知り合いなのか? ガハハ! それは好都合だ、おい新入り! 何か分からないことがあるならこいつに聞いてやるといいぞ! 出血大サービスで今なら席も隣にしておいてやろう!」
大声で笑いながらきんにくんが転入生の案内役をこっちに押し付けてくる。
「え? 今そんなこと言ってる場合じゃ――」
ないと言おうとして口を紡ぐ。
スタスタと近寄ってきたメチアがずいっと顔を近づけて俺の耳元で息を吐いた。
(いいのかよ? 俺様はこの場で暴れても――別にいいんだぜ?)
女の子特有の甘い香りを匂わせながら、その台詞は実に血生臭いものだった。
(くそっ!? マジかよ?)
俺は奇異の目でこちらを見ているクラスメイト達を見回した。
誰もここにいるのが檻の外に出たライオンであることに気づいていない。
今まさに自分たちがその餌になりそうなことさえ気づいた様子はなかった。
もしも仮に目の前の少女がこの場で暴れるような事態になれば止められるかどうか。
(ケケッ、慌てるなよ。お前が何もしなきゃ今は何もしねえ――ま、信じるかどうかはお前が決めろや)
メチアはそれだけ呟くと、ツカツカと俺の横を通り過ぎて乱暴に椅子を引くとドカリと音を立てて着席した。
「どうした神無? お前もさっさと座れ! HR続いてるぞ」
きんにくんが着席を促すが、それどころではなかった。
ここでは何もしないと言ったメチアを信用するのか否か。
いっそここで先手を打って襲い掛かるか?
(――いや、ダメだな)
男がいきなり女の子に襲い掛かったなら取り押さえられるのは目に見えている。
そして悲しいかな、このメチアという少女はおしとやかでもなければ弱くもない。
取り押さえられた俺を嘲笑いながら殺しに来るのは目に見えていた。
そう、あの日の夜の校舎で戦った時のように……。
(俺はもしかしたら死なねえかもだが、他の奴らはそうじゃない)
試したことはないが、俺はもしかしたら再生されるかもしれない。
だが、あれはやられてすぐに行動できるものじゃない。
痛みは普通に発生するし、再生したとしても次に動けるのは痛みがある程度引いた後の話なのだ。
痛覚に囚われて蹲ってる間に他の無防備な人間がどれだけ犠牲になるかは考えたくなかった。
「あ、はい、どうもすんません」
結局俺はこの場は何もせずにやり過ごすことにきめた。
最悪、俺の席はこの少女の隣である。
もしもメチアが心変わりしてこの場で暴れたとしても俺が身を挺してでもこいつを足止めする。
(くそっ、腹が痛くなってきやがった……)
夜の校舎で俺がこいつに貫かれた腹がうずく。
「ふふーん♫ ふふーん♫」
そんな俺を尻目に、ニヤニヤ笑いながらメチアは鼻歌を奏でていた。
「よーし、じゃあ話を続けるぞー」
緊張が走る中、きんにくんの野太い声が教室に静かに響いたのだった。
プリンセスセレクションは予選が終わって本選に備えての準備期間に入った。
プリンセス同士の戦いが禁じられたこの束の間の平和が、仮初めとなって崩れていく。
(はー、ナニィ――今頃何してるかなぁ?)
俺は無性に家に置いてきた少女に会いたくなっていた。
「んなっ!? ちょっ、おまっ? こんなとこで何してんだよ?」
初日にナニィと争ったプリンセスが学校に堂々と来ている事実に内心で戦慄する。
どうやって転入生として入って来たのかは知らないが、どう考えても穏やかな理由ではないだろう。
「あん? このヒラヒラスカートが目に入りませんかってつーんだよ」
俺の気も知らず、いやあえて気づいていない振りをしているのか?
とにかくメチアと名乗った少女は、星見ヶ原学園の女性徒みんなが履いているスカートをピラッとめくりながらアピールしてくる。
その見えそうで見えない角度に男共が机に顔をへばりつけていた。
「おっ? なんだ神無! お前メチアと知り合いなのか? ガハハ! それは好都合だ、おい新入り! 何か分からないことがあるならこいつに聞いてやるといいぞ! 出血大サービスで今なら席も隣にしておいてやろう!」
大声で笑いながらきんにくんが転入生の案内役をこっちに押し付けてくる。
「え? 今そんなこと言ってる場合じゃ――」
ないと言おうとして口を紡ぐ。
スタスタと近寄ってきたメチアがずいっと顔を近づけて俺の耳元で息を吐いた。
(いいのかよ? 俺様はこの場で暴れても――別にいいんだぜ?)
女の子特有の甘い香りを匂わせながら、その台詞は実に血生臭いものだった。
(くそっ!? マジかよ?)
俺は奇異の目でこちらを見ているクラスメイト達を見回した。
誰もここにいるのが檻の外に出たライオンであることに気づいていない。
今まさに自分たちがその餌になりそうなことさえ気づいた様子はなかった。
もしも仮に目の前の少女がこの場で暴れるような事態になれば止められるかどうか。
(ケケッ、慌てるなよ。お前が何もしなきゃ今は何もしねえ――ま、信じるかどうかはお前が決めろや)
メチアはそれだけ呟くと、ツカツカと俺の横を通り過ぎて乱暴に椅子を引くとドカリと音を立てて着席した。
「どうした神無? お前もさっさと座れ! HR続いてるぞ」
きんにくんが着席を促すが、それどころではなかった。
ここでは何もしないと言ったメチアを信用するのか否か。
いっそここで先手を打って襲い掛かるか?
(――いや、ダメだな)
男がいきなり女の子に襲い掛かったなら取り押さえられるのは目に見えている。
そして悲しいかな、このメチアという少女はおしとやかでもなければ弱くもない。
取り押さえられた俺を嘲笑いながら殺しに来るのは目に見えていた。
そう、あの日の夜の校舎で戦った時のように……。
(俺はもしかしたら死なねえかもだが、他の奴らはそうじゃない)
試したことはないが、俺はもしかしたら再生されるかもしれない。
だが、あれはやられてすぐに行動できるものじゃない。
痛みは普通に発生するし、再生したとしても次に動けるのは痛みがある程度引いた後の話なのだ。
痛覚に囚われて蹲ってる間に他の無防備な人間がどれだけ犠牲になるかは考えたくなかった。
「あ、はい、どうもすんません」
結局俺はこの場は何もせずにやり過ごすことにきめた。
最悪、俺の席はこの少女の隣である。
もしもメチアが心変わりしてこの場で暴れたとしても俺が身を挺してでもこいつを足止めする。
(くそっ、腹が痛くなってきやがった……)
夜の校舎で俺がこいつに貫かれた腹がうずく。
「ふふーん♫ ふふーん♫」
そんな俺を尻目に、ニヤニヤ笑いながらメチアは鼻歌を奏でていた。
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緊張が走る中、きんにくんの野太い声が教室に静かに響いたのだった。
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