プリンセスセレクションー異世界からやってきたお姫様は王様を目指す
44話 あんたは嫌い
ナニィ達が外で応対に出ている頃。
俺はアリスと医務室に残っていた。
四葉に扮して負傷したアリスを衆目に晒す訳にいかないため、四葉とアリスはお互いに着ていた服を交換して、本来の役割を元に戻していた。
「……あんまこっち見んなし」
ベッドの上から布団を顔まで被っているアリスが目だけ出しながらジト目で睨んでくる。
「見なきゃ見張れないだろ」
負傷を感じさせない口調で無茶を言うアリスに肩を竦めて見せた。
「ちっ、しょうがないわね。虫唾が走るけど、我慢してあげるわ。私の尊顔を拝めることを神に感謝なさい!」
「そんな神様は願い下げだ」
何が悲しくてこんな女の看病を進んでせにゃならんのか。
「何よ、私に魅力がないっての?」
「魅力は知らんが、少なくともお前に足りないものは3つある。
人に物を頼む態度、社会通念上当然とされる常識――最後に……仲間に対する信頼だよ」
俺の詰問にアリスはバツの悪そうな顔を作った。
「で? これはどういうことだ? お前と四葉が入れ替わってるなんて俺達は何も聞いてないぞ? 弁明があるなら言え」
「あ、あんた達が仲間になった保証がある訳じゃないでしょ!?」
「ナニィのカードはお前が持ってるだろうが、裏切れるか!?」
「これはエミィの妹には有効かもしんないけど、即時送還できるってだけで裏で情報をリークされたりしても感知できる訳じゃないし、第一ジャウィンが送り込んで来た奴なんて簡単に信じられる訳ないじゃない!」
「ジャウィンがどんな奴かは俺も直接あったことがないから何とも言えんが、お前の目にはナニィがそんな腹芸を出来るような奴に見えたか? 言っちゃなんだが、あいつただのアホだぞ?」
「あ、あんた……自分の相方に容赦ないわね」
「事実だからな」
もしもナニィがそんな器用なことが出来るならもっと楽だったろうに。
その時は多分――俺もここにはいなかっただろうけど。
「ナニィは……お前の大切なものを蔑ろにするような奴じゃない。それだけは信じてやってくれないか?」
俺がそう言うとアリスはぐぬぬと唸ると、やがてーー観念したように息を吐いた。
「分かってるわよ、実際は私だったけど……四葉が怪我した時も真っ先に駆けつけてくれたし……四葉も、あの子のことは気に入ってるみたいだし――しょうがないから二人が戻ってきたら話してあげるわ」
不承不承ながらも、アリスはナニィを認める旨を呟き……。
「あ、でもあんたは別だから……男とかどうせみんな性欲の権化でしょ? 汚らわしいったらないわね……いい?私の半径50mに近寄るんじゃないわよ? このクズ!」
舌の根の乾かぬ内に毒をまき散らした。
「……お前もブレねえなぁ本当に」
「うっさいわね。これが私、アリス・ガーネットの生き様よ! 文句ある?」
「別にぃ」
べーっと舌を出すアリスを、俺はついに無視することにした。
ナニィ達――早く戻ってこないかな。
俺はアリスと医務室に残っていた。
四葉に扮して負傷したアリスを衆目に晒す訳にいかないため、四葉とアリスはお互いに着ていた服を交換して、本来の役割を元に戻していた。
「……あんまこっち見んなし」
ベッドの上から布団を顔まで被っているアリスが目だけ出しながらジト目で睨んでくる。
「見なきゃ見張れないだろ」
負傷を感じさせない口調で無茶を言うアリスに肩を竦めて見せた。
「ちっ、しょうがないわね。虫唾が走るけど、我慢してあげるわ。私の尊顔を拝めることを神に感謝なさい!」
「そんな神様は願い下げだ」
何が悲しくてこんな女の看病を進んでせにゃならんのか。
「何よ、私に魅力がないっての?」
「魅力は知らんが、少なくともお前に足りないものは3つある。
人に物を頼む態度、社会通念上当然とされる常識――最後に……仲間に対する信頼だよ」
俺の詰問にアリスはバツの悪そうな顔を作った。
「で? これはどういうことだ? お前と四葉が入れ替わってるなんて俺達は何も聞いてないぞ? 弁明があるなら言え」
「あ、あんた達が仲間になった保証がある訳じゃないでしょ!?」
「ナニィのカードはお前が持ってるだろうが、裏切れるか!?」
「これはエミィの妹には有効かもしんないけど、即時送還できるってだけで裏で情報をリークされたりしても感知できる訳じゃないし、第一ジャウィンが送り込んで来た奴なんて簡単に信じられる訳ないじゃない!」
「ジャウィンがどんな奴かは俺も直接あったことがないから何とも言えんが、お前の目にはナニィがそんな腹芸を出来るような奴に見えたか? 言っちゃなんだが、あいつただのアホだぞ?」
「あ、あんた……自分の相方に容赦ないわね」
「事実だからな」
もしもナニィがそんな器用なことが出来るならもっと楽だったろうに。
その時は多分――俺もここにはいなかっただろうけど。
「ナニィは……お前の大切なものを蔑ろにするような奴じゃない。それだけは信じてやってくれないか?」
俺がそう言うとアリスはぐぬぬと唸ると、やがてーー観念したように息を吐いた。
「分かってるわよ、実際は私だったけど……四葉が怪我した時も真っ先に駆けつけてくれたし……四葉も、あの子のことは気に入ってるみたいだし――しょうがないから二人が戻ってきたら話してあげるわ」
不承不承ながらも、アリスはナニィを認める旨を呟き……。
「あ、でもあんたは別だから……男とかどうせみんな性欲の権化でしょ? 汚らわしいったらないわね……いい?私の半径50mに近寄るんじゃないわよ? このクズ!」
舌の根の乾かぬ内に毒をまき散らした。
「……お前もブレねえなぁ本当に」
「うっさいわね。これが私、アリス・ガーネットの生き様よ! 文句ある?」
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ナニィ達――早く戻ってこないかな。
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