プリンセスセレクションー異世界からやってきたお姫様は王様を目指す
27話 そのサイズ、AAにて
潮風が吹き上げる甲板で怒声が上がった。
何が起こったのか? 叩かれた頬を抑え、困惑する俺は事件の犯人である目前の少女を伺う。
蜂蜜色の緩やかにウェーブがかかった長髪の少女は強気な印象を与える目に涙を浮かべて肩をいからせながら立っている。
その怒りを込めて睨む様は、痴漢にでもあったかのようだ。
「はぁ?」
思わず口をついて出た呆れ。
俺の記憶に誤りがないなら、目の前の少女が海に落ちそうになっていたところを助けたはずだ。それ以外には面識もない初対面の人間のはず……それなのに何故に殴られなければならないのか。
「あ、あんた自分が何やったか分かってるの? どう落とし前つけてくれるのよ!」
「いや、落とし前って……何の?」
「しらばってくれてるんじゃないわよ! わ、私の胸に触ったじゃない!?」
少女は自分をその細腕で抱きしめる。
その言い分をまとめると、どうやら助けた拍子に胸を揉んでいたようだ。
そういえば少女が海に落ちないように支えた際に胴体を掴んだ覚えはあるが……。
「待て、俺が仮にお前の胸に触れていたとして、それは海に落ちそうになってたところを助けた際に気づかすに触れただけだ。間違っても邪な思惑なんてない」
「こ、この私の胸に触っておいて詫びもしないどころか言い訳するつもり? あんたそれでも男なの? 恥を知りなさい!」
弁明するも人の話を聞くつもりもない態度に、流石に眉間の皺が寄った。
こんなことなら助けずに海へ叩き落とせば良かったか?
思わず助けてしまったことに少しだけ後悔が浮かぶ。
「あ、アリスちゃん駄目だよ。助けてもらったのにそんな言い方」
そんな時、横から少女をなだめる声があった。それは海に落ちそうになっていた少女の片割れだ。かけていたサングラスは海に落ちていってしまったようで、素顔が白日の下にさらされている。その顔立ちや体形、髪型などは怒り狂っている方とそっくりなのだが、目元が柔らかく悪い言い方をすれば少し頼りない印象を受ける。
(あれ? でもこいつどこかで)
初対面のはずだが、何か既視感を受ける。
俺はどこかでこいつとあったことがあるんじゃないだろうか?
「甘いわよ三つ葉? 男なんてね、おっぱいのことしか考えてないのよ? 隣にいる女がいい証拠よ。見なさい、あの服の上からでもわかる膨らみを。毎日揉んで育ててもらったに違いないわ!」
「はぇ? 完全にとばっちりです?」
頭に血が上っているのか相方の制止にすら聞く耳も持たない様子だった。ズビシと豊かに実った胸を指差されて、ナニィは頬を染めながら腕で胸を覆い隠す。
「え? えっと……毎日、揉まれると胸って大きくなるの?」
「ふっ、勉強不足ね三つ葉? 伝え聞くところによると、豊胸マッサージというものがあって揉まれれば揉まれるほど大きくなるらしいわ。だってそうじゃないとこの圧倒的戦闘力の差が説明できないもの」
「へ、へぇ~、毎日揉んでもらうんだ……。み、みんなやってるものなのかな? で、でも確かにすごいかも。背丈は私達とほとんど変わらないはずなのに。うぅ……」
そういって少女は自分の胸をさすさすと撫でて、その抵抗力の低さにガックリと肩を落とした。
「おっぱいの大きい奴らはみんな自分の男に揉ませてるのよ、その点私達は清純派だから慎まやかでもしょうがないのよ。言い換えるならこれは品というものなの、毎日いかがわしいことをしてるビッチ共とは格が違うってわけ」
「い、妹にしか揉まれたことないのに……言いがかりですよぉ」
そのあまりな言いようにナニィは涙ぐむ。その様子を見て俺の中で許容量の限界が突破した。
「お前のは品じゃなくて貧の方なんじゃないか? このまな板野郎」
俺は高笑いする少女の胸を指差す。そこには高くそびえ立つ絶壁があった。
「ま、まな板ですって? 貴方は今、全ての女子を敵に回す発言をしたわ。土下座して謝りなさい! 泣きながら許しを請えば安らかな死を約束してあげるわよ?」
「はっ、だーれが謝るか! 小太郎じゃなくてもお前の胸サイズなら分かるぜ? 偽・魔眼発動!! 見えたぁあ、Aが二つ並んでのダブルエーサイズでファイナルアンサーだ!」
「な、な、ななな!?」
図星を突かれたのか、狼狽する。その手が視線を隠すように胸に当てた。
「偉そうに胸張ってみてもぺちゃぱいじゃ虚しいばかりですなぁー。俺がお前の胸を触っただぁ? 悪い悪い、小さすぎて分かんなかったわー、めんごめんご。さーせんでした」
「殺す……コロスコロスコロスコロスコロスコロスゥウウウウウウ!!」
怒髪天を衝くというのはああいうのだろうか? 怒りで髪が逆立ち、執念のような気迫が伝わってくる。
「上等だ、助けたあげくに連れまで悪し様に言われて引き下がると思うなよ? 真の男女平等ってやつをてめえの身体に叩き込んでやる!」
がっぷり四つに組み合って喧嘩になる俺たちと、それをあわあわと見守るお互いのパートナー。それを止めたのは……第三者だった。
「おい! そこの馬鹿ども、今すぐに喧嘩止めろ!」
大地を割るような大声に、しかし頭が沸騰した俺達は喧嘩を止めもせずにいると気づけば屈強なガタイの大男が割り込んできて、俺達はあっけなく取り押さえられていた。
何が起こったのか? 叩かれた頬を抑え、困惑する俺は事件の犯人である目前の少女を伺う。
蜂蜜色の緩やかにウェーブがかかった長髪の少女は強気な印象を与える目に涙を浮かべて肩をいからせながら立っている。
その怒りを込めて睨む様は、痴漢にでもあったかのようだ。
「はぁ?」
思わず口をついて出た呆れ。
俺の記憶に誤りがないなら、目の前の少女が海に落ちそうになっていたところを助けたはずだ。それ以外には面識もない初対面の人間のはず……それなのに何故に殴られなければならないのか。
「あ、あんた自分が何やったか分かってるの? どう落とし前つけてくれるのよ!」
「いや、落とし前って……何の?」
「しらばってくれてるんじゃないわよ! わ、私の胸に触ったじゃない!?」
少女は自分をその細腕で抱きしめる。
その言い分をまとめると、どうやら助けた拍子に胸を揉んでいたようだ。
そういえば少女が海に落ちないように支えた際に胴体を掴んだ覚えはあるが……。
「待て、俺が仮にお前の胸に触れていたとして、それは海に落ちそうになってたところを助けた際に気づかすに触れただけだ。間違っても邪な思惑なんてない」
「こ、この私の胸に触っておいて詫びもしないどころか言い訳するつもり? あんたそれでも男なの? 恥を知りなさい!」
弁明するも人の話を聞くつもりもない態度に、流石に眉間の皺が寄った。
こんなことなら助けずに海へ叩き落とせば良かったか?
思わず助けてしまったことに少しだけ後悔が浮かぶ。
「あ、アリスちゃん駄目だよ。助けてもらったのにそんな言い方」
そんな時、横から少女をなだめる声があった。それは海に落ちそうになっていた少女の片割れだ。かけていたサングラスは海に落ちていってしまったようで、素顔が白日の下にさらされている。その顔立ちや体形、髪型などは怒り狂っている方とそっくりなのだが、目元が柔らかく悪い言い方をすれば少し頼りない印象を受ける。
(あれ? でもこいつどこかで)
初対面のはずだが、何か既視感を受ける。
俺はどこかでこいつとあったことがあるんじゃないだろうか?
「甘いわよ三つ葉? 男なんてね、おっぱいのことしか考えてないのよ? 隣にいる女がいい証拠よ。見なさい、あの服の上からでもわかる膨らみを。毎日揉んで育ててもらったに違いないわ!」
「はぇ? 完全にとばっちりです?」
頭に血が上っているのか相方の制止にすら聞く耳も持たない様子だった。ズビシと豊かに実った胸を指差されて、ナニィは頬を染めながら腕で胸を覆い隠す。
「え? えっと……毎日、揉まれると胸って大きくなるの?」
「ふっ、勉強不足ね三つ葉? 伝え聞くところによると、豊胸マッサージというものがあって揉まれれば揉まれるほど大きくなるらしいわ。だってそうじゃないとこの圧倒的戦闘力の差が説明できないもの」
「へ、へぇ~、毎日揉んでもらうんだ……。み、みんなやってるものなのかな? で、でも確かにすごいかも。背丈は私達とほとんど変わらないはずなのに。うぅ……」
そういって少女は自分の胸をさすさすと撫でて、その抵抗力の低さにガックリと肩を落とした。
「おっぱいの大きい奴らはみんな自分の男に揉ませてるのよ、その点私達は清純派だから慎まやかでもしょうがないのよ。言い換えるならこれは品というものなの、毎日いかがわしいことをしてるビッチ共とは格が違うってわけ」
「い、妹にしか揉まれたことないのに……言いがかりですよぉ」
そのあまりな言いようにナニィは涙ぐむ。その様子を見て俺の中で許容量の限界が突破した。
「お前のは品じゃなくて貧の方なんじゃないか? このまな板野郎」
俺は高笑いする少女の胸を指差す。そこには高くそびえ立つ絶壁があった。
「ま、まな板ですって? 貴方は今、全ての女子を敵に回す発言をしたわ。土下座して謝りなさい! 泣きながら許しを請えば安らかな死を約束してあげるわよ?」
「はっ、だーれが謝るか! 小太郎じゃなくてもお前の胸サイズなら分かるぜ? 偽・魔眼発動!! 見えたぁあ、Aが二つ並んでのダブルエーサイズでファイナルアンサーだ!」
「な、な、ななな!?」
図星を突かれたのか、狼狽する。その手が視線を隠すように胸に当てた。
「偉そうに胸張ってみてもぺちゃぱいじゃ虚しいばかりですなぁー。俺がお前の胸を触っただぁ? 悪い悪い、小さすぎて分かんなかったわー、めんごめんご。さーせんでした」
「殺す……コロスコロスコロスコロスコロスコロスゥウウウウウウ!!」
怒髪天を衝くというのはああいうのだろうか? 怒りで髪が逆立ち、執念のような気迫が伝わってくる。
「上等だ、助けたあげくに連れまで悪し様に言われて引き下がると思うなよ? 真の男女平等ってやつをてめえの身体に叩き込んでやる!」
がっぷり四つに組み合って喧嘩になる俺たちと、それをあわあわと見守るお互いのパートナー。それを止めたのは……第三者だった。
「おい! そこの馬鹿ども、今すぐに喧嘩止めろ!」
大地を割るような大声に、しかし頭が沸騰した俺達は喧嘩を止めもせずにいると気づけば屈強なガタイの大男が割り込んできて、俺達はあっけなく取り押さえられていた。
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