その日、僕は初めて自分を知りました。
プロローグ①
みんなだいたいどこかで聞いたことがあるかもしれない言葉。
「あいつ、休みの間に少し変わったよね」
あれは、僕が中学1年になった日だったと思う。
その日はとても天気が良くて、風が暖かくて桜が散って...僕自身が中学に入学したということ以外はなに1つ変わらない「日常」だった。
そう、ただの「日常」。
学年のみんなは小学校からの持ち上がり。みんなが僕にとっては顔慣れた存在だった。
なのに...
あの日、僕は人生最大の過ちを犯し、後に人生最大の後悔をすることになったのだ。
3月8日中学入学約一ヶ月前。
その日、僕は珍しく寝坊した。
目覚ましをかけ忘れたわけでもない。朝が苦で二度寝したわけでもない。学校へ行くのが楽しみ過ぎて目覚ましがなったら飛び起きるのがいつもの自分なのに、その日はなぜか寝坊をしてしまったのだった。
昔から遅刻、忘れ物、知らない人だらけの人混み
その場面に直面するととてもおどおどしてしまう。
だからその日もかなりおどおどしていた。
目の前には布団、目覚まし時計、壁、天井、自分のパジャマ姿...
でも僕にはそれらが目の中に入っていて入っていない。
頭の中で
早くしなくては!
早く着替えなくては!
先生に怒られる!
みんなに笑われる!
と頭の中でそれらの言葉が駆け巡った。
そして無我夢中で着替え、無我夢中でランドセルを背負い、勢いよく外へと出た。
背後で母親が自分に大声で何か言ったが、僕には聞こえなかった。
僕が学校についたのはチャイムと同時だった。
教室の扉は開きっぱなしで、外から恐る恐る中を覗くと、どうやら先生はまだ来ていないようだった。
僕は息をハアハアしながら自分の席に着くと、隣の席の木村が僕を見てくすくすと笑った。
「おはよう。珍しいねお前が遅刻するなんて」
「おはよー。そんなに珍しいか??」
「珍しいさ。だってお前、いっつもくるの早いからさ、風邪かなんかになってきょう休みなのかと思ったさ」
木村は半ば僕が休むという滅多にない出来事を期待していたらしい。ただでさえ卒業間近で学校好きな僕が今日休むというのはよっぽど大変な病気かものすごく重大な緊急事態にでもなったか...木村がそう考えるのも無理はなかったと思う。
「でもお前だったら...よく考えたらそんなに珍しいことでもないかもな」
朝顔を洗うのを忘れて目をこすっている僕に木村が言った。
「どういうことだよ」
「お前さ、本当にちょこちょこおかしなところがあるんだよ。この間の体育の時間もさ、お前が好きな科目で誰よりも気合い入ってるくせに持ってこなきゃいけないもの忘れたりとかさ自転車教室で自転車で登校できるの嬉しがってたくせに自転車自体忘れたりとかさちょこちょこおかしいんだよお前」
「......」
「今日も卒業式の歌の練習...お前の気合が入る時間だぞ。歌詞ファイル忘れてこなかっただろうな??」
「そんなわけ...」
その時、先生が教室に入ってきた。
「みんなおはよう。今日は一時間目から音楽だから体育館へ移動するように。」
僕はハッとなってランドセルの中を手で探った。しかし、歌詞ファイルを見つけることができなかった。朝の混乱のせいで忘れてきてしまったのだ...慌てふためく僕を見て「ほーらな」と、木村が笑いながら囁いた。
「あいつ、休みの間に少し変わったよね」
あれは、僕が中学1年になった日だったと思う。
その日はとても天気が良くて、風が暖かくて桜が散って...僕自身が中学に入学したということ以外はなに1つ変わらない「日常」だった。
そう、ただの「日常」。
学年のみんなは小学校からの持ち上がり。みんなが僕にとっては顔慣れた存在だった。
なのに...
あの日、僕は人生最大の過ちを犯し、後に人生最大の後悔をすることになったのだ。
3月8日中学入学約一ヶ月前。
その日、僕は珍しく寝坊した。
目覚ましをかけ忘れたわけでもない。朝が苦で二度寝したわけでもない。学校へ行くのが楽しみ過ぎて目覚ましがなったら飛び起きるのがいつもの自分なのに、その日はなぜか寝坊をしてしまったのだった。
昔から遅刻、忘れ物、知らない人だらけの人混み
その場面に直面するととてもおどおどしてしまう。
だからその日もかなりおどおどしていた。
目の前には布団、目覚まし時計、壁、天井、自分のパジャマ姿...
でも僕にはそれらが目の中に入っていて入っていない。
頭の中で
早くしなくては!
早く着替えなくては!
先生に怒られる!
みんなに笑われる!
と頭の中でそれらの言葉が駆け巡った。
そして無我夢中で着替え、無我夢中でランドセルを背負い、勢いよく外へと出た。
背後で母親が自分に大声で何か言ったが、僕には聞こえなかった。
僕が学校についたのはチャイムと同時だった。
教室の扉は開きっぱなしで、外から恐る恐る中を覗くと、どうやら先生はまだ来ていないようだった。
僕は息をハアハアしながら自分の席に着くと、隣の席の木村が僕を見てくすくすと笑った。
「おはよう。珍しいねお前が遅刻するなんて」
「おはよー。そんなに珍しいか??」
「珍しいさ。だってお前、いっつもくるの早いからさ、風邪かなんかになってきょう休みなのかと思ったさ」
木村は半ば僕が休むという滅多にない出来事を期待していたらしい。ただでさえ卒業間近で学校好きな僕が今日休むというのはよっぽど大変な病気かものすごく重大な緊急事態にでもなったか...木村がそう考えるのも無理はなかったと思う。
「でもお前だったら...よく考えたらそんなに珍しいことでもないかもな」
朝顔を洗うのを忘れて目をこすっている僕に木村が言った。
「どういうことだよ」
「お前さ、本当にちょこちょこおかしなところがあるんだよ。この間の体育の時間もさ、お前が好きな科目で誰よりも気合い入ってるくせに持ってこなきゃいけないもの忘れたりとかさ自転車教室で自転車で登校できるの嬉しがってたくせに自転車自体忘れたりとかさちょこちょこおかしいんだよお前」
「......」
「今日も卒業式の歌の練習...お前の気合が入る時間だぞ。歌詞ファイル忘れてこなかっただろうな??」
「そんなわけ...」
その時、先生が教室に入ってきた。
「みんなおはよう。今日は一時間目から音楽だから体育館へ移動するように。」
僕はハッとなってランドセルの中を手で探った。しかし、歌詞ファイルを見つけることができなかった。朝の混乱のせいで忘れてきてしまったのだ...慌てふためく僕を見て「ほーらな」と、木村が笑いながら囁いた。
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