Another World

ゆうママ

第1話〜転校生〜

ー雨が、降っている。
殺した。何人殺したかはわからない。とにかく殺したのだ。
目の前には無数のしたい
そして、仲間を失いそれでもなお戦い続けたルイはとうとう1人になり絶望し、また終わったという感情と共に目を瞑り、自分の腹を切ったー

ーだるい、疲れた。
そんなことを思いながら担任の話をぼーっと聞いているのは桜川ルイ。彼は母と二人暮らし。父は彼が生まれる前にガンで亡くなったと母から聞いている。高校二年生ー17歳である。割と顔は整っており、告白されることも珍しいことではない。
そんな彼も、青春真っ只中。だから漫画とか小説のように屋上に行って授業をサボってみたりしたい。だがこの学校はそれは許されない。屋上が立ち入り禁止なのだ。
そしてルイの斜め前に座っているのが本田トオル。トオルはルイの幼馴染で、小さな頃から常に2人でいるのでお互いに相棒であり、親友であり、また家族でもあるといった関係。彼は父と3人で暮らしてはいるものの、彼の父は出張でよく家を空ける。
ルイの父とトオルの父もまた幼馴染だったのでその関係で今も桜川家と本田家は一緒に食事したりだとか、仲が良いのである。
そしてもう1人、この2人の幼馴染がいる。
齋藤飛鳥。彼女は彼らが小学校の時からの付き合いで、しょっちゅう3人で遊んだりしている。トオルの後ろの席で、またルイの隣の席に座っている。席替えの時には本当にたまたまこの組み合わせになった。
「なあ、ルイ。今日転校生が来るらしいぜ?」
トオルが後ろを向いて話しかけて来る。
「あんたいつもいつも、どこでそんな情報手に入れて来るのよ」
呆れたように飛鳥が言う。
「あははは、いやぁー、おれってすんげぇ耳いいだろ?だから、結構聞こえちゃうんだよなぁあ」
「あんたの耳は象みたいに大きいもんね」
「あ?象?お前バカだろ、象は鼻がデケェんだぞ?」
「いやあんた流石にバカすぎ象は耳もでかいでしょうが」
「あ?そうだ…」
「おいお前ら!静かにしろ!朝礼中だ!」こいつらはいつもこんな感じで先生が話してるのなどお構い無しに話している。
仲が良いのはいいがここまで来るとおれも迷惑だ。そう思いながらルイが欠伸をしようとした途端、教室が急に湧き始めた。
どうやら転校生の入場らしい。なんで朝礼始まる時に教室に入れないんだよ。と思いながら入ってきた転校生に目を向けるー
ー早速彼と目が合った。

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