ある夏の怪談!

内野あきたけ

最終決戦2

幼い悟一は、自分がホラー映画の主人公の如く、無様に殺されるのではないかと考えた。


そして、それは避けなくてはならない。いや、そんな格好の悪い事にはなりたくないと直感したのだ。


次の日だった。


悟一は、見える世界が変わっていた。
時間という概念は存在しなかった。


これは実のところスピリチュアル的に覚醒したと、いうことだったが、無神論者であった幼い頃の悟一には理解できぬのであった。


「恐怖」という概念もまた人間が作り上げてしまった妄想、あるいは非合理的な思考であるとも、必然的に知っていた。


全ての事象に生死を超越した絶対の境地を手にいれていたのである。


が、しかしこれは少し問題であった。
想像すらしなかった、絶望的な罠が仕掛けられていたのである。


悟一が手に入れたこの境地は、このクオリアの情景の裏に、新たな悪霊を産み出してしまったのである。


それは、悟らねばならぬという強い思考が産み出した、煩悩を越えた固定観念、ともいうべきか、ニューエイジのもっとも排除すべきとするモノだった。


それは詰まるところ、悟一の生き霊だった。
悟一のその膨大な霊力がそのまま裏の世界へと現れた。


彼がそれを知るきっかけができたのは、自分の黒い影が現れる夢を見たり、金縛りにかかるとき、必ず自分の生き霊が自分自身を襲って来るからであった。


が、今のところ誰かに危害を加えるなどという悪事が無いため、この10年、ほおっておいたのであった。


しかし、その霊力を怖れていたのは事実である。



















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