ある夏の怪談!
圧倒的怨念
「先ず、お二人に尋ねたい事があるのですが」
藤四郎が言った。
「何かな?」
と、悟一。
「どうして悪霊を退治しているのですか?そのきっかけを聞きたいのですが」
「……はっきり言って、趣味かなあ。悪霊は邪心に捕らわれているからそれを解放してあげたいという俺の慈悲でもあるのさ」
「麗之助さんは、なぜ悪霊退治に命を掛けるのですか?」
「俺もだいたい悟一と同じように趣味でやっているっていうのも大きいけど、一番は父さんを倒すためかな」
「亜死ですね。四大心霊の」
「確かにあの強さは異常だった」
「藤四郎くん。君はなぜ、今になって自ら危険な悪霊の居場所へ、俺たちと踏み込もうと考えるんだ?」
悟一が聞く。
麗之助の部屋は和風だった。
畳の香りがとても心地よい。
「類は友を呼ぶ。ということわざがあるように、俺たちのように悟りを開き、超越した永遠の喜びを得た者達と、邪心と煩悩に埋め尽くされ、世を呪う悪霊達は、決して偶然に会いまみえる事はありません」
藤四郎は語った。それからこう続ける。
「自惚れるなと言っている訳ではありません。俺たちなら四大心霊と恐れられてきた奴らを、邪心と煩悩から救えるはずです!いや、そいつらの起こす霊現象から人々を守る為にも、ぜひ成仏させてやりましょう!楽しもうではありませんか!」
「さすがだな。俺たちから踏み込まない限り、奴らは俺たちの前に姿を現さず、延々と人々を恐怖与え続けるだろう」
麗之助は呟いた。
「……今まで、四大心霊の存在は知っていた。だが、長期戦になることは目に見えていたから、後回しにしていたんだ」
悟一は申し訳なさそうに言った。
ボランティアで徐霊を行ってきた彼だが、さもそれが俺に定められた運命だと言わんばかりの表情だ。
しかし、三人は楽しんでいた。
使命とは思っているものの、それが嫌だとは微塵も感じてはいないのだ。
それどころか、自分が感じる恐怖すら楽しんでいた。
上部ではない。
その心境に持つ偉大なものの差が、彼らと普通の霊能力者との違いなのだ。
四大心霊との戦いは、始まった。
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