ある夏の怪談!
『東尋坊にて』の怪
気づけば外は蒸し暑く、蝉の鳴き声が聞こえ始めたある夏の日の事だった。
悟一と麗之介は東尋坊について調べていた。
パソコンの画面を開き、幽霊たちが集まっていそうな場所を見つけ、悟一は麗之介に話しかける。
「ここなんかどうだ?」
「おおっ。いいんじゃない」
見るとその写真には霊が沢山へばりついていた。
普通の人では目に見えないほどの心霊も彼らは見ることができる霊感の持ち主だ。
「こいつら、人に危害を加えるようなら、今から成仏させに行ったらどうだ?悟一」
「一緒にいくか?」
「めんどくせぇ」
「分かった。じゃあ俺が全滅させてくる。その代わり、交通費をくれよ」
「しょうがねぇな。結構高けぇんだよ。ここから坂井市まで。じゃあ証拠と土産を兼ねて写真でもとってきてくれ」
「オーケー。分かった」
そういうことで、悟一は霊の沢山集まる東尋坊へ行くこととなった。
新幹線に乗って数時間、まずは福井県に着く。
そこからさらに歩いた所に目的の東尋坊があった。
かなり時間がかかったので、日はすっかり暮れて空は紺碧になっていた。
「うん。これが日本海か」
そう言って写真を何枚か撮った。
そのうちの全てに、霊が映ってしまっている。
「おおっ。こりゃ間違えなく心霊写真だ」
悟一は笑みを浮かべ断崖絶壁に立つ。
夏の夜の風が彼の首筋を撫でる。
その時だった。
ばさっと足元を誰かに払われた。
姿勢を崩しそうになる。
「きたか!」
四方八方に白い影が表れる。
それがだんだん人の顔となって悟一に襲いかかるのだ。
彼はすかさず写真を撮った。
その後、カメラを置き、軽く呼吸をする。
悟一の周りはもうどうしようも無いほどの霊に囲まれていた。
だが
「…………エンライトメント」
呪文を唱えた。
すると、今まで襲ってきた全ての悪霊が、爆発的な勢いで飛ばされた。
奴らは光となって成仏していったのである。
その直後、悟一はシャッターをきった。
「よし、良い写真だ。麗之助に見せよう」
新幹線の中で、彼は心臓に手を当てた。
鼓動を感じられた。
「まずは一安心。死んでましたあっとかなったら、もとも子もねぇからな」
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