ある夏の怪談!
『病棟にて』の怪
あれは何年か前の春頃だった。
ものすごく簡単に説明すると、俺は悪霊にやられた。
あまりにも強い悪霊は本当に存在するんだなと痛感した。
その場に居るだけでまるで空間を歪められたかのように体が動かなくなってしまうのだ。
金縛りの状態だ。
幸いにも俺は麗之助と同じように金縛りを破る事ができる体質で、ある程度は奴と一戦を交える事ができた。
しかし、その時は、意識のレベルが下がっていて悪霊と戦うにはあまり良い状態ではなかった。
その悪霊は俺の幼い頃のトラウマが作り出した悪霊で一種の生き霊、ともいえるモノだった。
俺の霊能力が強ければそれに比例して奴もまた強くなっていくのである。
いつかは奴と戦う運命にあった。
さっきは、やられたと言ったが実際は相討ちであった。
そして中盤に差し掛かろうとしたとき、俺は少しばかり敗北を意識した。
次の瞬間、肉体にもダメージがやってきた。
俺は吹っ飛ばされる。
仲間たちは俺の携帯のGPSを便りに探し回ってくれた事を覚えている。
そして今の八雲悟一はこうして生きていけることとなったのだが、今回はその一部始終を話そうと思う。
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