業と光の交差に冒涜された地獄よ
業と光の交差に冒涜された地獄よ
「一緒に行こうね」
と、彼女から誘いを受けたのは、私が奇妙な体験をしてから三日後の出来事であった。
と、言うのは私はかの三日前、夢の中で地獄にいたのである。
だがその感触は確かなもので、痛みも恐怖も同時に存在し、苦痛を感じていた。
何の攻め苦を受けていたかは忘れたが、肉体を持って感じてるわけでは無かったのでさほど苦しくは無かった。
こう言うと矛盾しているようではあるがこの他に言い表す表現が存在しない訳であるから仕方がないのだ。
しかし、あの狂気の光景だけは忘れる事が出来ぬ。
罪人共の絶叫を。
業火の畝を。
赤黒く染まった巨大な針山を。
私は絶叫した。
罪人と共に苦悶の叫びを発した。
さらに追い討ちを掛けるが如く罪人の奇怪な容姿。
眼球の代わりに黒い穴が2つ、顔面にぽっかりと空いているだけである。
骨と皮のみの彼らは舌をだらんと垂らし、血塗れの白装束を纏っていた。
無数に存在する、元は人間。
と、ここまで地獄の凄惨な情景を目の当たりのしてきた訳であるが。私は幸いにも目を覚ました。
「…………いつもと同じか」
私はこう一言呟いた。
いつもと同じなのは息切れ、口の渇き。
そして私の全身を包む倦怠感だ。
そういった脱力感と倦怠感をそのままに、私は何の変哲もない日常という修羅を歩き歩き、
仕事へと出向くのだ。
嗚呼、この凄惨な絵画。日常という情景。
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