ドラゴンフライ

ノベルバユーザー299213

第二十八話 ガレア今度こそUSJに行く 前編

「やあ、こんばんは、今日も話して行こうか」


「うんっパパ! 僕もスキル使えるようになるのかなあ?」


嬉しそうにたつが話す。


「そうだね、でも使うためにはいい子にしてないと駄目だよ」


「うんっいい子になるっ」


こういう事を使ってたつを教育するところに罪悪感を感じた。
スキルなんて使えるはずがない。
だってこの世界には竜はどこにもいないのだから。


###


僕とガレアは大阪駅で蓮を待った。


【だからぁ、ゴムぐらいは持っときなさいって】


「だから外でゴムとか言うなっ」


【全くしょうがない子ねぇ、知らないわよデキちゃっても】


地下へと続く階段からそんな話声が聞こえる。
蓮とルンルだ。
僕は手を振ってこちらに呼び寄せた。


「おはよ竜司」


「おはよ蓮」


蓮の格好はこの前と一緒だったが、やはりアイドルみたいに可愛い。


「さ、行きましょ竜司」


僕と蓮、あと竜二人は電車に乗り込んだ。


(ユニバーサルシティ、ユニバーサルシティ)


車内アナウンスが流れ、僕らは再びここへ舞い戻って来た。
僕とガレアはキョロキョロ周りを見ている。


「ぷっ竜司ったら、この前と同じ」


「え? そうかな? ハハハ」


【なあなあ竜司! この建物の中にクルコロが売ってるぞ! 買ってくれ!】


空を飛んで見物していたガレアが戻って来た。


「クルコロ……ああ、たこ焼きか。
ガレア、そうゆうのはねいっぱい遊んでお腹を空かして食べるもんなんだよ。
後で絶対買ってやるからな」


【そうなのか!? わかった! 我慢する!】


時々見せるガレアの素直な所は可愛いと思う。


十字路まで来た。
何となくトラウマになっているのだろうか。
僕は蓮を右手で押さえながら左右危険が無いかチェックした。


「竜司……もう大丈夫だってば……」


「いや、だってげんはもう無いにしても他に狙ってくる奴が居るかもしれない。
だって蓮は……」


前と同じ失敗をしてしまった。
そう思ったね。


「私が……なあに?」


「いや……凄く……可愛いから……」


ぱっと蓮を見たら頬が赤くなっている。


「ほほっ……ほら行きましょ。
正面ゲートよ」


照れ隠しに先を急ぐ連。
やはり可愛い。
僕はチケット売り場に並ぼうとしたら蓮が


「待って竜司。はいこれ」


なにやらチケットを渡してきた。
そこには“ロイヤルパスポート”と書いてある。


「これって」


「ロイヤルパスポート。
これがあれば中に入れるし、アトラクションも待たなくて入れるよ」


僕に差し出したって事は僕用なのだろう。


「でもいいの? 高いんじゃない?」


「これママが定期購入してるやつ。
いつもは二人とルンルで来てたんだけど、ママ研究が忙しくて当分帰って来れないみたいだから」


そう言えば竜が昭和よりももっと前に来ていた証拠が見つかったって言ってたな。


「じゃあ、遠慮なく……でもガレアとルンルはいいの?」


竜河岸たつがしが居れば竜は無料よ」


(いらっしゃいませ~、お二人とも竜河岸たつがしですね?こちらへどうぞ)


竜用に作ったのか大きな扉をくぐったらそこはもう別天地だった。
左右をハリウッド風の店舗が並び、着ぐるみが辺りを闊歩している。
街灯、ベンチまで全てハリウッド色だった。


「すっげぇ……凄いぞ! ハリウッド!」


ガレアもほぼほぼ同じ反応だった。


【すっっっげぇ~!! 何だここ日本か!? 日本なのか!? ここ! なあ竜司!?】


「ああもしかしてここは日本じゃ無いのかも知れない」


僕はテンションが上がり過ぎておかしなことを口走った。


【なにっ!? 人間はもう時空転移を使えるのかっ!? ムムム】


すると蓮が呆れ顔で


「そんなわけないでしょ。ここは大阪よ」


テンション急上昇で我を忘れた自分に恥ずかしくなった。
まず僕らが訪れたところはここだ。


ニューヨークエリア エリミネーター2:3D


「さっ入りましょ」


結構人が並んでいたがロイヤルパスを見せたらすぐに入れた。
真っ暗な中僕はガレアの、蓮はルンルの手を持ちながら転ばないように中に入った。
スポットライトが前方に当たる。


(初めましてみなさーん、ようこそサイバーダロン社へ。
私は伊集院麗華いじゅういんれいかと申します。
今日は皆様のコーディネータを務めさせていただきまぁす)


なるほどエリミネータの敵側の会社に社会見学に来たって設定か。


(おやぁ? 竜もおられるようで。
そこの竜河岸たつがしのお客様ぁどこから参られましたぁ?)


「加古川です!」


僕は大声で叫んだ。


(それはそれは、そんなクソ田舎からご苦労様です)


場内がどっと沸いた。
笑い声である。
アトラクションは続き、入場前に渡されたメガネを着用しろとの事。
ちゃんと竜用のがあったのが微笑ましい。


3D用メガネを付けた僕らは画面を見た。
サイボーグがこちらを狙って来たり弾が飛び交ったり3Dなだけあって見応えは充分だ。


「うわわわっ!」


液体金属の突起が僕らを狙うシーン。
恥ずかしくも目の前で手をワキワキさせてしまった。


【うわわわっ!】


ガレアもワキワキ。


最後バイクが飛び出すシーンは3Dでは無くスタントで行われた。
思わずメガネを取る僕とガレア。
そんなこんなでUSJ初アトラクションは終了した。
外に出ると何か異世界から帰って来た感覚だった。


隣を見ると蓮とルンルが笑っていた。


「竜司ったらおっかしいの。
ガレアと同じ行動するんだからっ」


【ガレアちゃんも情けないわねえ。あんなのは虚構よ虚構】


「そんな事言ってルンルも初め来た時は“何アンタやんのう!?”って3Dにびっくりしてたじゃない」


【もうっ蓮!
それを言ったら今まで築いてきたクールビューティなアタシのキャラが崩れちゃうじゃないのう】


誰もクールビューティとは思ってないだろと心の中でツッコミを入れつつ僕はまだ呆けていた。


「なあガレア……USJ……凄いね……」


【ああ……凄いな……】


日もだいぶ上まで登りそろそろ暑くなってきた。


「そろそろかな……竜司、行きましょ!」


時計を見た蓮が歩き出す。
大分歩いただろうか。
辿り着いた先には


SEA WORLD


基本僕は洋画はそんなに見ない。
だからUSJは新鮮な気持ちで入れるんだ。
席に着いた僕ら。
カウボーイハットを被った案内役の人が客を煽る。


「イエーー!」


【いえーー!】


ガレアも叫んでいる。
ステージと思しき所に水が張ってたり水がふんだんに使われている。
なるほどシーワールドか。
僕は妙に納得した。


ショースタート。
あらすじは味方の基地に敵が侵入したというものだ。
ショーはジェットスキーや爆破を使ったそれは見事なものだった。


「ジェシカー!」


ヒロインが高い所から水へダイブするシーンで思わず叫んでしまう僕。


【ピーーコーーン!】


主人公がこれまた高い所から水へダイブするシーンでガレアも叫んでいる。
アトラクションも終盤に差し掛かった時、ジェットスキーの水しぶきが僕らを襲った。


サバーーン


まともに水を被った僕らは全身びしょびしょになってしまった。


「ぷわっ」


【うわぁっ】


「びっくりしたね蓮?」


僕は蓮の方を向いた。
そしたら蓮もびしょびしょで下着が透けて丸見えだった。


「……赤……」


「へ……きゃあっ!」


僕は今日の電話を思い出した。
つまり蓮は今日、僕とそういう行為に及びたいと。
鼻からまた鉄の匂いがした。


蓮は慌てて胸元と下腹部を隠す。


「竜司っ! 見ちゃダメッ!」


耳まで真っ赤な蓮が僕を見ながらそう言う。
僕も鼻を押さえながらそっぽを向く。


「見た……?」


僕はそうゆう行為に及ぶのかとか。
僕とかそう言えばフネさんが恥をかかすなとか言ってたとか。
ピンク色の妄想が頭を駆け巡りまともに返答できない状態だった。


「……赤……」


「こここっ! これは違うのっ!
ルンルが赤を付けてけって言うからっ!
セクシーな方が竜司も喜ぶからっって!
私も迷惑かけたしっ喜ぶんならって思ってっ!
でもそうゆう行為に及びたいとかじゃないからっ!!」


察した蓮が耳まで赤い状態で焦りながら否定した。


【YES! 計画通りっ!】


ルンルが喚いている。


「計画……?」


鼻血も止まり落ち着いた僕が聞いてみた。


【いやね、赤を付けさせるところは上手く行ったけどさぁ。
見せなくちゃハナシになんないじゃない?
何かいい手はって考えたらシーワールドがあったじゃないってね。
ううん、我ながらグッジョブ】


そういえばこの席に座りたいって言ったのルンルだった。
この竜の世知に長けてる具合は何なんだろう。


「……それでまんまと濡れて蓮の下着を僕に見せることが出来たって言う事……?」


【そうよん。
自分も濡れるけど蓮が幸せになるんならどって事無いわん】


【ピーコン、かっこいいな!】


ガレアだけ違う話をしている。
当の蓮はプルプルしている。
これは来るな。
僕は咄嗟に耳をふさいだ。


「ルンルーー!!」


会場に蓮の怒号が響き渡ったとさ


###


「さあ、きょうはこれでおしまい」


「ねえパパ、セクシーってなあに?」


「色っぽいって事さ」


「色っぽいって?」


たつも大人になればわかるよ、さあ今日はもうおやすみ……」


僕は説明がめんどくさくなり説明を避けた。


話の続きはまた明日……



バタン

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