ドラゴンフライ

ノベルバユーザー299213

第二十三話 ガレア奇襲に成功セリ

「やあ、たつ、元気かい?  昨日はUSJに着いた所までだったね」


「うん、パパ今日も聞かせてくれるの!?」


「もちろんさ、けどここから少し激しい話になるからビックリしないで欲しい」


###


僕達四人は誰もここから始まる楽しい時間を疑う者なんか居なかった。


USJ入り口の前。
十字路に差し掛かった時。


蓮が消えた。


正確には蓮の体がもの凄いスピードで左から右へ消えていった。


「蓮!?」


異常を察知した僕が叫んだ時はもう遅かった。
僕は急いで右側を見たら猛スピードで車が走り去っていった。


その場に取り残された僕と竜二人。
最初は理解出来なかったよ。
僕は取り乱した。


「どどっどうしよう!」


【あらん、蓮さらわれたわね】


ルンルがあっけらかんと答える。
その瞬間僕のスマホが着信を知らせた。
すぐにスマホ画面確認。


新崎 蓮


スマホの画面にはそう表示。


「もしもし……?」


恐る恐る電話に出た。


「もぉしもぉ~し、アタシィ蓮よぉ?」


明らかに男の声だった。


「誰?」


「何やぁ? すめらぎぃ。ワイやワイ」


昨日聞いた声だ。
僕は生唾を呑みこんだ。


鮫島さめじま……げん……」


「ピンポンピンポォ~ン、せぇかぁーい」


「蓮を返せ! 蓮をどうする気だ」


「安心せい、眠っとるだけやし、指一本触れとらへん。
すめらぎがワイの願いを叶えてくれるんなら、綺麗なまま返したってもええ」


「何だ……?」


「ワイとケンカせい。すめらぎ


僕は体全体で拒否したかった。
昨日、げんから漂ってきた暴力の空気は半端無かったから。


「何でだよ。嫌だよ」


「ダボかおのれ! そう言わさんために誘拐しとんのやないけ」


「あ……」


「お前に選択権は無いんや観念せい」


「わかった、どこに行けば良い?」


僕は腹をくくったよ。


「舞洲っちゅう人口島がある。
連絡橋渡ってまっすぐ行くと廃ビル群があるからそこにきぃ」


「どう行ったらいいんだよ」


「それぐらい自分で何とかしぃ。
そこから歩きで三十分ぐらいや。あ、後自分の竜も連れてきぃや」


「何でだよ」


「今日のケンカは竜河岸たつがしとしてや。ほな待ってるで」


ツーツー


【竜司ちゃん、行くのね】


「うん」


僕は走り出した。


【オイ竜司。待てよー遊園地どうすんだよー】


僕とカレア、ルンルの三人は何とか連絡橋まで辿り着いた。
ここでひとまず立ち止まり作戦会議だ。


【で、どうすんの? 竜司ちゃん】


僕は走っている内に思いついた考えを述べた。


「まずここから僕が全方位オールレンジを使う。
蓮の居場所を突き止めたら、ガレアが飛んで行って蓮を助ける」


【でも、さっきの話だとガレアも連れてこいって言われてなぁい?
そこらへんどうすんの?】


「そこも考えてある。
だからルンルが僕の使役している竜だと思わせるんだ」


【なるほど、騙すってわけね。
竜司ちゃんやるじゃない】


「ガレア」


【何だ竜司】


「お前に最重要ミッションを遂行してもらう。
これはお前にしかできない任務だ。出来るな?」


これはアステバン十八話「最重要ミッション」の回の総司令官の言葉だ。


【はっお任せください!】


そう言うと思った。
だんだんガレアの扱いも解って来た。


「じゃあ、使うよ。イメージ……イメージ……キタ!」


僕の視界が変化した。全て緑のワイヤーフレームに見える。
蓮! どこだ!


「見つけた! 一番手前のビルの四階だ。
そこの左隅の部屋に蓮は居る」


そして僕は探索を続けた。


げん? 奥の広場にげんもいる」


僕は疑問に思った。
なぜげんが見える。
蓮が見えるようになった時、手を繋いだら見えるようになった。
もちろんげんにそんな事はしていない。


「ぷはっ!!」


時間切れだ。
僕の視界は元に戻った。
げんの事は後回しだ。


「じゃあ、行くぞ。
ミッションスタート」


【はぁい】


【はっお任せ下さい】


ガレアはビシッと敬礼した。


僕ら三人は連絡橋を渡り、廃ビル群まで辿り着いた。


第八物流センター


錆び付いた看板にそう書いてあった。


「ガレアよろしく頼むぞ。くれぐれも静かにな」


【わかった】


飛び立つガレアを見送り、ルンルと僕はげんの居る広場まで来た。


「遅いわっ!」


気付いたげんが立ち上がった。
やはり大きい。


「なら改めて。
ワイの名は鮫島元さめじまげん! 竜河岸たつがしや。
そしてこいつは……」


脇に居た竜がのっそり起きた。
体は灰色。
瞳はオレンジ色で、翼が無い所を見ると陸竜タイプだろうか。


「こいつはベノム。
本名はベンダ・ノ・ムール。
震竜や」


震竜?
聞き慣れない言葉に戸惑う僕。


「こいつは凄いでぇ。
まあどんな力かはおいおいな、ほれお前の番や」


すめらぎ竜司りゅうじ竜河岸たつがしだ。
僕の竜はルンル。
本名はルヒャル・ン・ルルー。
雷竜だ」


【よろしくねぇん】


【……ルヒャル】


【あらん、ベノム、久しぶりねえ】


特にベノムは喋らない。
するとげん


「何や、お前ら知り合いか。
悪いなコイツ無口でなあ。
喋りよらへんねん」


げんは立ち上がりウォーミングアップを始めた。
お互いの間合いはおおよそ五,六メートル。
僕は勝利を確信した。


「さあ! そろそろおっぱじめよーかぁ!」


げんの目が血走った。
物凄く怖い。
げんがこちらに向かってきた。
そこで僕は叫んだんだ。


「ガレアーー!!」


キュオッ!


太い白光が空からげんの辺りに突き刺さった。
耳をつんざく大きな爆音と爆風が起きた。


「何やぁー!?」


げんとベノムは後方に吹っ飛んだ。
僕とルンルも同様だ。
煙も収まり音も収まり、周りは静寂になった。


「いてて」


僕の方が先に起きた。
相変わらずガレアの魔力は凄い威力だ。
僕の前に出来たクレーターがそれを物語っていた。


「よし奇襲成功」


まだ起きないげんを見て拳を握った。
飛び立つ前ガレアにもう一言告げていた。
僕が大声でガレアの名前を叫ぶから聞こえたら魔力をげんの辺りに打ち込めってね。


「おーい、ガレアー」


【おお竜司! 上手く行ったな!】


脇に蓮を抱えガレアが空から降りてきた。


降りた蓮は僕に抱きついてきた。


「竜司!! うっうっ……怖かった……」


顔は見えなかったけど蓮は泣いていた。
僕は蓮の綺麗な青緑の髪を撫でていた。


「もう大丈夫、大丈夫だから」


【あらん、ステキねこうゆうの。
映画のハッピーエンドって感じぃ!】


【こうゆうシーン、アステバンでも見たな。
何話だっけ……】


二人はお互い勝手な事を言っている。
落ち着いた蓮は僕の腕から離れた。
そして僕は自分の今やってた事を冷静に見つめなおし、顔が赤くなった。
それを見た蓮も赤くなった。


「……蓮、無事で良かったよ」


「うん、ありがと……竜司も……カッコよかったよ……」


お互い顔を赤らめながらそっぽを向いてる。
恥ずかしくって顔を見れなかったよ。


【また始まったわよ。ラブラブフィールド。
ガレアちゃんじゃないけどこりゃマジで結婚した方がいいかもねん】


【竜司は蓮がスキなんだなー】


空気も和やかになり、そこから離れようとした時


「待てやすめらぎ


僕は背筋が凍りついた。
げんの方を見るとゆっくり起き上がって来た。


「あ~いったぁ~、すめらぎィやるやないけ。
って事はおのれの竜はそっちか」


「そうだ、ルンルの主は蓮だ」


「なるほどなぁ、確かにアメ村で会った時はどっちがどっちや言わんかったもんなあ」


げんは完全に目覚めた。


「まぁさか、このまま帰るなんてつれない事は言わんわなぁすめらぎィ」


これで終わったらどんなに嬉しかったか。


「はい、イチャイチャタイムは終わりぃ。
こっからはデンジャラスタイムや。行くでっ!」


僕の初めての殴り合いが始まったよ。


###


「さあ、今日はここでおしまい」


「えー、良い所だったのにー」


最近では話す時、次が楽しみになるような所で終わるよう考えた。
たつの反応を見ると効果は上々だ。


「パパ、ホント赤面してばっかだね」


たつも好きな子が出来たらわかるよ」


「そんなのいねーし」


じゃあ、また明日ね……おやすみ




バタン

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