No title

(´・ω・`)

48.呼び出し

 翌朝。
俺たちを起こしたのは鳥の囀りでも夏の暑さでもなかった。

「レイスくん開けてー。俺だよ俺。ブラギだよー」

ドンドンと扉を叩く音が、まだ覚醒しきってない頭に響く。
あれ……俺昨日は確かウルクラグナに着いて城行ってなんやかんやあって宿まで来て…。

「!!」

隣にはまだ寝ているカイとニビ。
部屋に置いてある時計を見ると、針は一時を指していた。

「レイスくーん?…いないのかな」
「ごめんブラギさんちょっと待ってて!」
「うぉ!?……あ、あぁ。大丈夫だよ急がなくて!」

俺の大声に2人が跳ね起き、何が何やら分からぬ顔で揃ってハテナマークを浮かべている。
窓から差し込む日光が眩しいようで、もう一度布団に入ろうとしていたが無理矢理はぎ取る。

「お前ら早く支度しろ」
「「あ…うっす」」

俺の睨みで彼らがのそのそ動き出したのを見届け、急いで身支度を済まして荒い息でドアを開ける。
そこには壁に寄りかかって腕を組むブラギさんの姿があった。

「よく眠れた?」
「お陰様で」

そう言って俺の寝癖を指さし、悪戯っぽく笑われる。
久々のベッドだったし遅くまで起きてたのも相まって寝すぎてしまった。

「あー……おはようございます?レイス、いつの間に知り合いできたのお前?」
「あれブラギさんじゃん。おはよう」
「二人共おはよう」

遅れて支度を終えたらしいニビとカイも、それぞれにブラギさんと挨拶を交わし、彼はそれに笑顔で応じる。

「カイ君にはまだ自己紹介してなかったね。俺はあの時君たちに救われた騎士の一人でブラギっていうんだ。よろしく」
「ご丁寧にどうも…。カイです。よろしくお願いします」

彼はカイに礼儀正しい自己紹介をした後、小さな咳払いを合図に話題を元に戻した。

「フォルセティア様が君たちをお呼びだ。理由は知らされてないから話せないけど、とりあえずついて来てくれる?」
「?……わかった」

(ブラギさんに言ってないってことは才能関連か?それとも他に何かあるのか…)

真意の読めない呼び出しに少し身構えるが、当然断れるはずもなくブラギさんの背中を追って宿を出る。

にしても、イディオの時といい今回といいやけに国王に呼ばれるな俺は…。
前世でどんな悪事を働けばこんな事になるんだ?

知りもしない前世の自分を少し恨みながら、軽装の彼を追って俺達は城へと出発した。

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