アンラッキーな少年勇者

(´・ω・`)

47.決意~ルミス目線~

 レイスさん達に宿の場所を教え、後ろ姿を見送る。
あの騒ぎの後だし気遣いも有難かったけど、本当にこれでよかったのかな…。

「そんなに心配しなくてもいいんじゃない?」

姿が見えなくなっても城に入ろうとしない私に声をかけたのは、薄い笑みを浮かべたフォルセティア様だった。
慌てて膝をつこうとしたが、寸前で止められる。

「俺そういうのは嫌いって言ってるだろう!やめてくれよいい加減!」
「しかし貴方は…」
「国王ですが!?ウルクラグナ国王フォルセティアですが!?」
「立場を越えて貴方は皆から慕われている方です。それにこれでは他国に示しが…」
「俺は皆と仲良くしたいだけなんです。他国なんて知りません」
「えぇ…」

とても国王とは思えない言葉遣いと話の内容に、私は苦笑を禁じえなかった。
世界中探してもこんな国王はいないだろう。

「そういえば」

微かに聞こえる街のざわめきを羨ましそうに聞く彼は、不意にそう呟いた。

「今回の標的はブラックベアだった筈だろう?報告ではレイスくん達に助けてもらったとあったけど何かあったの?」
「…」

ブラックベア。
その名の通り、黒い体毛に覆われたクマのような獣。図体は大きいが動きが遅いという訳ではなく、騎士団によれば倒せない所もある。
が、私達にとっては敵ではない……はずだった。

「ブラックベアといえど任務は任務です。武器の手入れも準備も怠ってはいません。が、依頼のあった場所に向かう道中に遭遇した獣たち含め、普段より格段に強さが増していました」

夕刻が近いにも関わらず、未だ賑やかさを見せる街に視線を移し、独り言のように呟く。

「更には数も増えており、到着した頃には体力も物資もかなり消費していました。私の鍛錬が足りていない証拠です。民の為にも貴方の為にももっと頑張らなければ…」

神妙な顔の私に、フォルセティア様は少し明るい声音で言った。

「調査と護衛を増やす必要がありそうだな…。まぁなんにせよ、君らが全員無事でよかったよ。レイスくん達には感謝しないとね」
「そうですね…」

昏睡状態になるまで私達……否、私を守ってくれたカイさん。
部下達と私に留まらず、ニビくんまでも救ってくれたレイスさん。
料理や看病だけでなく、団長という立場を汲み取って密かに傷を手当してくれたニビくん。
本当に感謝してもしきれない程の恩ができてしまった。

「そういえば普段の貴方、レイスさんに気付かれましたよ?」
「え!?いつの間に…。まぁでも…これで変な演技いれなくて良くなったわけだし……いっか!」

口の利き方が悪くて打首にされた者がいるという国もある中、逆に敬語すら嫌がり、威厳が仮のものと気付かれて焦るより喜ぶ国王。
その反面、常に民のことを考え、少しでも尽力することをやめない。
本当に誰よりも国王らしく、誰よりも国王らしくない方だ。

「僕ら騎士団と国は民の為にあり、その為ならばどんな苦労も惜しまずやるべきだ。でも、それで体調を崩したり命を落としてしまえば元も子もない。そこは注意してお互い頑張ろう」
「はっ!」

城に戻っていく国王に心からの敬礼をする。
ウルクラグナ騎士団長として、あの方の部下として……もっともっと強くなろう。

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