No title
41.ウルクラグナ
「次の方ー」
暇潰しにやっていたしりとりで俺が圧勝している中、役員から声がかかった。
持っている全ての荷物を渡し、容赦なく晒されていく私物たちを眺めて質問タイムへ突入する。
「どういった理由で入国を?」
「ここである決闘大会に参加したいんだ」
「決闘大会に?...そう、君は?」
「俺もこいつと同じ」
「え!?あ、そう...」
明らかに動揺したあと、役員は俺達に一枚の紙を渡して門を通してくれた。
終始カイを担いだままだったが、ルミスのおかげで何も詮索されずにすんだ。
その代わり役員は最後まで心配そうに俺達を見ていた。
しかし、後ろにはまだまだ入国希望者が並んでいたのですぐに業務に戻っていた。
「そりゃあ驚くだろうよ。ガタイのいい男とか騎士しか参加しない大会に俺らみたいなのが出場するっていうんだ」
外と国を繋ぐ細長い通路でニビが呟く。
ふと顔を見てみると、そこには小悪魔的な笑みを浮かべる彼がいた。
こいつも大概悪い顔するようになったよな...。
「そいつがあのルミスと互角に戦えるなんて夢にも思ってないだろうなぁ」
通路の薄暗さが2人の不気味な笑みを隠す。
少しして、足音の聞こえない通路から彼らは顔を出した。
「へぇ...」
全身に陽の光を浴び、俺達はウルクラグナという国をその目に映す。
民は笑い、文化は栄え、老若男女問わず幸せそうな光景。
(こんなでもどこかに苦しんでる奴がいるかもと思ってしまう俺はひねくれてるんだろうなぁ...)
デイディスの一件以来、疑いの目が強くなった自分に少し嫌気がさす。
「気に入ってもらえた?」
歩み寄ってきたブラギさんが尋ねてくる。
その表情からは国への誇りと愛国心が伺えた。
「うん。予想と全然違ったけど、いい国だねウルクラグナ」
「予想って…。逆にどんな国だと思ってたの」
「こう…殺伐とした?Dead or Aliveみたいな」
「あはは…。まぁ戦士の国なんて言われてるから仕方ないけどね。でもここはそんな場所じゃないし安心して」
「ありがとう。ところでブラギさん一人?他の皆は?」
先程からルミス含む騎士の皆の姿がない。
あわよくばフォルセティアに会わせてもらう交渉をしようと思ったんだが、今日は難しいだろうか…。
「そうだった。君たちをフォルセティア様…ここの国王様に紹介するから城に連れてくるよう言われてるよ。早速で悪いけどついてきて」
思わぬ返答に驚く。
交渉と捜索の手間が省けた上、王に会う機会が既に用意されていた。
そうだ、ルミスは必要以上の気遣いができる奴だった。
「わかった。あ、俺たちこんな格好だけどいいのかな?カイも担いでるし」
「大丈夫だよ。あまりそういうのに厳しくないから」
「そう?じゃあ行こう」
これもルミスの気遣いか?
身なりで威厳や気品がどうのこうの言う国は珍しくないんだが…。
少し疑問に思うこともあったが、兎にも角にも俺達はブラギさんの案内のもと、ルミス達とフォルセティアの待つ王城へと足を踏み出した。
暇潰しにやっていたしりとりで俺が圧勝している中、役員から声がかかった。
持っている全ての荷物を渡し、容赦なく晒されていく私物たちを眺めて質問タイムへ突入する。
「どういった理由で入国を?」
「ここである決闘大会に参加したいんだ」
「決闘大会に?...そう、君は?」
「俺もこいつと同じ」
「え!?あ、そう...」
明らかに動揺したあと、役員は俺達に一枚の紙を渡して門を通してくれた。
終始カイを担いだままだったが、ルミスのおかげで何も詮索されずにすんだ。
その代わり役員は最後まで心配そうに俺達を見ていた。
しかし、後ろにはまだまだ入国希望者が並んでいたのですぐに業務に戻っていた。
「そりゃあ驚くだろうよ。ガタイのいい男とか騎士しか参加しない大会に俺らみたいなのが出場するっていうんだ」
外と国を繋ぐ細長い通路でニビが呟く。
ふと顔を見てみると、そこには小悪魔的な笑みを浮かべる彼がいた。
こいつも大概悪い顔するようになったよな...。
「そいつがあのルミスと互角に戦えるなんて夢にも思ってないだろうなぁ」
通路の薄暗さが2人の不気味な笑みを隠す。
少しして、足音の聞こえない通路から彼らは顔を出した。
「へぇ...」
全身に陽の光を浴び、俺達はウルクラグナという国をその目に映す。
民は笑い、文化は栄え、老若男女問わず幸せそうな光景。
(こんなでもどこかに苦しんでる奴がいるかもと思ってしまう俺はひねくれてるんだろうなぁ...)
デイディスの一件以来、疑いの目が強くなった自分に少し嫌気がさす。
「気に入ってもらえた?」
歩み寄ってきたブラギさんが尋ねてくる。
その表情からは国への誇りと愛国心が伺えた。
「うん。予想と全然違ったけど、いい国だねウルクラグナ」
「予想って…。逆にどんな国だと思ってたの」
「こう…殺伐とした?Dead or Aliveみたいな」
「あはは…。まぁ戦士の国なんて言われてるから仕方ないけどね。でもここはそんな場所じゃないし安心して」
「ありがとう。ところでブラギさん一人?他の皆は?」
先程からルミス含む騎士の皆の姿がない。
あわよくばフォルセティアに会わせてもらう交渉をしようと思ったんだが、今日は難しいだろうか…。
「そうだった。君たちをフォルセティア様…ここの国王様に紹介するから城に連れてくるよう言われてるよ。早速で悪いけどついてきて」
思わぬ返答に驚く。
交渉と捜索の手間が省けた上、王に会う機会が既に用意されていた。
そうだ、ルミスは必要以上の気遣いができる奴だった。
「わかった。あ、俺たちこんな格好だけどいいのかな?カイも担いでるし」
「大丈夫だよ。あまりそういうのに厳しくないから」
「そう?じゃあ行こう」
これもルミスの気遣いか?
身なりで威厳や気品がどうのこうの言う国は珍しくないんだが…。
少し疑問に思うこともあったが、兎にも角にも俺達はブラギさんの案内のもと、ルミス達とフォルセティアの待つ王城へと足を踏み出した。
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