No title
39.月夜にて
青白い光を放つ月を浮かばせた水面をぼんやりと眺める。
夜の少し冷えた空気に身を包まれながら、近くの小石を水面上の月めがけて投げる。
大きく歪んだ月は、間もなくして元の形に戻った。
「今日は月が綺麗ですね」
凛とした声が耳を貫き、声のする方へ視線を向ける。
そこにはルミスが立っていた。
月の光を身に受け、長い銀髪をなびかせた最強の女騎士が。
「......そうだな」
「日中は色々とありがとうございました。魔獣から助けてくださっただけでなく豪勢な食事まで作っていただいて」
「お互い様だろ。というかこんな時間に何してたの?」
「鍛錬です。鍛錬はいくらやっても足りることはないので!」
よくもまぁボロボロの体で夜中に一人で鍛錬なんかするな...。
正に騎士の鏡だ。
「俺は寝付けないから暇潰しがてら散歩してた。・・・今日は色々あったから」
「そう...ですか」
俺の返答を聞いたルミスは、そう言って哀しそうに目を俯かせた。
何か嫌なことでも言ってしまったのだろうかと思ったが、それを尋ねるより先に彼女が口を開いた。
「よければ鍛錬に付き合っていただけませんか?一人でやってもやはり限界があるものでして」
自分にどこまでも厳しい人なんだろうきっと。最強の騎士団長というのも相当な負荷が掛かっているはずだ。
「別にいいけど本気ではやんないよ?ニビが診たといっても治ってはないんだから」
「あ...その節は本当に助かりました。ありがとうございます」
「本調子じゃないなら無理はしない方がいいよ。......じゃあ始めようか」
「お手柔らかにお願いします...!」
持っていた愛刀を静かに抜く。
月の光を受けて怪しげに光る刀身を横目に、いつでも動けるような構えをとる。
眼前には隙のない姿勢で俺を見据える金色の瞳があり、それらは’’洗練’’の二文字を連想させた。
大きく息を吸い込み、ゆっくり吐き出す。
冷たい空気が全身に巡り、眠りかけていた脳が慌てて目を覚ます。
「行くぞ!」
それだけ言って地面を蹴った。
1mほどあった距離はすぐに無くなり、刃先はルミスの首を狙う。
・・・ウルクラグナの最強クラスがどれくらいの強さか、身をもって体感してみよう。
夜の少し冷えた空気に身を包まれながら、近くの小石を水面上の月めがけて投げる。
大きく歪んだ月は、間もなくして元の形に戻った。
「今日は月が綺麗ですね」
凛とした声が耳を貫き、声のする方へ視線を向ける。
そこにはルミスが立っていた。
月の光を身に受け、長い銀髪をなびかせた最強の女騎士が。
「......そうだな」
「日中は色々とありがとうございました。魔獣から助けてくださっただけでなく豪勢な食事まで作っていただいて」
「お互い様だろ。というかこんな時間に何してたの?」
「鍛錬です。鍛錬はいくらやっても足りることはないので!」
よくもまぁボロボロの体で夜中に一人で鍛錬なんかするな...。
正に騎士の鏡だ。
「俺は寝付けないから暇潰しがてら散歩してた。・・・今日は色々あったから」
「そう...ですか」
俺の返答を聞いたルミスは、そう言って哀しそうに目を俯かせた。
何か嫌なことでも言ってしまったのだろうかと思ったが、それを尋ねるより先に彼女が口を開いた。
「よければ鍛錬に付き合っていただけませんか?一人でやってもやはり限界があるものでして」
自分にどこまでも厳しい人なんだろうきっと。最強の騎士団長というのも相当な負荷が掛かっているはずだ。
「別にいいけど本気ではやんないよ?ニビが診たといっても治ってはないんだから」
「あ...その節は本当に助かりました。ありがとうございます」
「本調子じゃないなら無理はしない方がいいよ。......じゃあ始めようか」
「お手柔らかにお願いします...!」
持っていた愛刀を静かに抜く。
月の光を受けて怪しげに光る刀身を横目に、いつでも動けるような構えをとる。
眼前には隙のない姿勢で俺を見据える金色の瞳があり、それらは’’洗練’’の二文字を連想させた。
大きく息を吸い込み、ゆっくり吐き出す。
冷たい空気が全身に巡り、眠りかけていた脳が慌てて目を覚ます。
「行くぞ!」
それだけ言って地面を蹴った。
1mほどあった距離はすぐに無くなり、刃先はルミスの首を狙う。
・・・ウルクラグナの最強クラスがどれくらいの強さか、身をもって体感してみよう。
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