No title

(´・ω・`)

37.心配~ニビ目線~

 ルミスが落ち着くのを見計らって、俺は彼女の傷を見せてもらった。
むせ返るような血の匂いと惨たらしい傷に吐き気すらしたが、構わず手を動かした。


言葉を発さず淡々と傷を隠し続け、暫くしてそれも終わる。
彼女にその旨を伝えると、疲れたような笑顔で俺に礼を言ってきた。

「ありがとうニビくん」
「別にいいけど、あんまり無理すんなよ」
「あはは...。というか私達も狩りしないとね!どうする?カトラ達なら沢山狩ってくると思うけど...」
「じゃあ魚とるか。肉は川の近くの小動物を適当に狩ればいいし」
「了解。じゃあ早速行こう!」

そう言って彼女は何事も無かったかのように俺の先を歩きだした。

(無理すんなって今言ったはずなんだけど......まぁ言っても聞かないか)

軽やかな足取りで進む彼女にため息をつき、俺も後を追った。
ついさっきまで死人のように動かなかったくせに、今では生気に満ち溢れている。
まぁ死人みたいな状態でいるよりは全然いいけども。

「...?どうかした?」
「なんでもないでーす」

俺の心配など露も知る由のない彼女は、呆けた顔で首を傾げた。
・・・また傷が開いたら俺が隠せばいいし。

コメント

コメントを書く

「冒険」の人気作品

書籍化作品