No title

(´・ω・`)

34.束の間の安らぎ

 皆の手伝いもあり、カイの手当てが思いの外早く終わった。
今はルミスが持っていた包帯でぐるぐる巻きにして寝させている。

「皆さんありがとうございました。助かりました」
「とんでもないです。先に助けてもらったのは我々ですから」

俺の礼に反応したルミスの言葉に、部下の騎士達がそれぞれに頷いていた。

「多少危ないかもしれないけど、今日はここで野宿しようと思う。俺らは野宿慣れてるけど騎士の皆はそれで大丈夫?」

そのままカイを担いでウルクラグナまで行こうかとも思ったが、ルミス達の具合を考えるとそうもいかない。
獣もまだいるだろうし、先程のような輩がもう居ないとも限らない。
多少危険ではあるが致し方ないだろう。

「分かりました。では食料調達など必要なことは我々がします。貴方はカイさんの傍にいてあげてください」
「そう?じゃあ俺はそうさせてもらうけど、ニビを連れて行ってやってくれないか?その代わり部下を一人置いてってほしい。...無理かな?」
「いえ大丈夫です。では少しの間ニビ君をお預かりします。ブラギ、ここに残っていてくれるか?」
「了解しました!」

突然の無茶振り要求にも関わらず、ルミスはあっさり承諾してくれた。
喋り方も変わり、雰囲気もどこか威厳のようなものが感じられるようになった。

(まぁルミスだって団長だもんなぁ...威厳があるのは当然か...)

ニビを含めたメンバーにそれぞれ指示を出す彼女の姿を見て、密かに失礼なことを考える。

「じゃあニビ、あわよくば騎士様の戦い方を学んでこいよ!すいませんブラギさん、少しの間よろしくお願いします」

少し不服そうなニビの睨みを受けながら、笑顔でブラギさんに握手を求めると彼は快く応じてくれた。

「こちらこそよろしくお願いします。手伝えることがあれば何でも言って下さい」
「ありがとうございます。助かります」

(・・・まぁ別に手伝ってほしいことなんて無いんだけど)

わざわざ残ってもらったブラギさんに多少の罪悪感を感じていると、ルミスから声がかかった。

「では行ってきます。何か希望される食料などありますか?」
「強いて言うならニビが作りやすいやつがいいな。あと水と薬草があったらついでにとってきてほしい」
「分かりました」

そうして彼らは食料調達へ出発した。
「気をつけてー!」と叫んでみたら、律儀に礼を返してくれた。


彼らを見送った後、数秒そこに立ち尽くす。
さて、ニビ達が帰ってくるまでどうやって暇を潰そうか。


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