No title

(´・ω・`)

7.演技

目の前で倒れている少年は、いつからこの状態なのか知らないがピクリとも動かない。

「どうする?」
「どうするってお前......助けるんだろ?」
「わかってんじゃん!」
花を散らしたような笑顔をこっちに向ける。
本当にお人好しだよなぁこいつ…。

カイは早速倒れている少年を抱えようとしたが、俺はそれを止めた。
面白いことになるかもしれない。

「いや、そいつは俺が連れていく。カイはそいつ用に何か’’食料と水’’を買ってきてくれ。病み上がりでも食べられるぐらいのもの買ってこいよ?」
「おっけー!じゃあさっきのとこで集合な!」

カイが見えなくなってから、もう一度俺は少年の方を見た。
相変わらずぐったりとしている少年はピクリとも動かず、生気が全く感じられない。

「ちょーっと待っとけよ。すぐ助けてやるからな」
そう言って俺は少年を抱きかかえた。
「随分とまぁ軽いんだなお前...」

踵を返して歩きだす。
夏の生暖かい風を受けて、少年の白髪が静かに揺れていた。



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