No title

(´・ω・`)

4.始動

「らっしゃーい!」
「おばちゃんこれ3つお願いー」
「毎度ありがとうございました!」

飛び交う住人の声と、溢れんばかりの人の多さが、この街の活気の良さを物語っている。
「しかしまぁえげつない光景だな...」
あの王都と同じぐらいの人の数にげんなりしていると

「君達ここは初めてかい?」

後ろの方で声がした。
振り返ってみると、そこには人の良さそうな小太りのおっさんが、ニコニコしながら立っていた。
「まぁ、はい…そうですけど…」
どう見てもそこら辺のおっさんAなんだが...
「やっぱり?私はニック。もう少し先に行ったところにある料理屋の料理長をやってる者だよ。才能はもちろん料理。君達は?」

(おっさん料理長かよ...!)

とてもそうとは思えない見た目に驚きを隠せない。汗とかめっちゃかいてそうだが衛生的に大丈夫なんだろうか...?

「俺はレイス。才能は器用貧乏です」
「カイです!才能は御庭番!」
カイがペこっと頭を下げる。
「レイス君とカイ君かぁ。それにしても初めて聞く才能だね。どんな才能なんだい?」

確かに料理に比べれば俺達の才能は珍しいものだろう。
「俺のは言葉通りです。なんでもできて何もできません」
「俺のは俺が決めた主に尽くすための力が得られます。主はレイスです」
「へぇ……よく分からないけど凄そうな才能だ。若者2人の旅は何かと不便だろう。私はこれで失礼するけど、何か困ったことがあればうちの料理屋を訪ねるといい。何か役に立てるかもしれない」

それだけ言い残してスタスタと歩いていくニックの後ろ姿を見送る。
「行っちゃったな」
「な。あと訪ねるといいって言われたけど店の場所は教えてもらえなかったな」
「な」
溢れる人混みの中、去り行くおっさんとは逆方向に歩きだす。

「カイ、お前ちょっと情報集めてこいよ」
「了解ー。何について?」
「とりあえず魔王に関して一通り頼む。あとはこの国についてかな。政治とかその他諸々。俺は資金調達してくるから終わったら俺を探してくれ」
「オッケー了解任せとけっ!」

サラッととんでもない内容の会話を交わし、俺達はそれぞれに動きだした。

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