転生したら防御チートを手に入れたのでので死亡予定の悪役令嬢を守ってみせる

ユーガ

事件勃発!?

「とりあえずギルドだな」


  俺達は新世界の情報を集めるため、ギルドに向かった。
  ギルドでアイギスのアルバートと名乗るといきなりギルドマスターの部屋まで案内された。


  なんかVIPみたいでちょっと嬉しいな。




「よくぞおいでなさった。さて、今日はどんな御用で?」


  王国のギルドマスターは耳が長くて背が小さい老人のような見た目だった。




「先日、騎士団が魔族に襲われたのは知っていますか?」




「ええ、巡回中に奇襲されたと聞いていますが、何か?」




「王城または国内に内通者がいる可能性が高いんです」




「何ですと!?」




「それで第一の候補として新世界という団体があるんですがご存知ですか?」




「新世界……噂程度なら聞いたことがあるがあまりいい情報は無いですぞ?」




「なんでもいいから教えてください」




「最近の事なんだが一昨日くらいに大臣が怪しいヤツらと会っていたという噂が流れていますね。本人は否定しているんですが」




「それはどこですか?  特徴は?」




「詳しくは分かりせん。目撃者の住所を教えるので直接聞いてみてください」




「分かりました。ありがとうございます」


  俺達はギルドマスターに教えてもらった場所に向かった。
  そこは八百屋をやっていて地域の人から人気らしい。




「おい、衛兵を呼べ!  誰か回復魔法を使えるやつはいないのか!」


「おいおい、いったい誰がこんな酷いことを……」


「お願いします!  主人を助けてください!  誰か!」


  俺達が八百屋に着くと店がぐちゃぐちゃに荒らされていて店の前には血を流して倒れている男性がいた。




「ナージャ!  回復!」




「わかってる!」


  ナージャは男性に駆け寄り、回復魔法をかけ続ける。
  傷は塞がっているが血を流しすぎたせいかどんどん弱っていっている。




「血が足りない。奥さん、この人の血液型は?」




「血液型……?」


  くそっ!  血液型自体分からないのか……
  適当に輸血しても逆効果だしどうすれば……




「わたしに任せなさい」




「サンドラ!?」


  後ろから俺達に声をかけたのはなんとサンドラだった。
  買い物袋を持っているので買い物の途中に騒ぎに気づいてやって来てくれたようだ。




「どういう状況なのかしら?  傷は無いのにどんどん衰弱していってるわ」




「血を流しすぎたらしい。輸血しようにも血液型も分からないしどうしたら……」




「血液型?  とりあえず血を増やせばいいのね。ライフブースト」


  サンドラが魔法を男性にかけると少しづつ男性の顔色が良くなっていき、意識を取り戻した。




「……うぅ、あれ?  傷が消えてる……!」




「あなたー!!」


  奥さんが男性にダイブする。




「おおっと!  心配かけたな。お前達が助けてくれたのか?」




「主人を助けていただきありがとうございます……私、どうしたらいいか分からなくて……主人が死んだら、ぐすっ、どうしようって……」




「当たり前のことをしただけですわ。それより元気になって良かったわ」




「本当にありがとう。お前達は命の恩人だ。何かお礼がしたいんだがとりあえず中に入ってくれ。荒らされていてぐちゃぐちゃで悪いな」




「お邪魔します」




「とりあえずお名前を伺っても?」




「ああ、俺はダンだ。ここで八百屋をやっている」




「僕はアルバートです。で、こっちがパーティーメンバーのナージャ、そっちが聖女のサンドラです」




「聖女様!?  無礼な発言お許しください!」




「いいのよ、気にしなくて。楽にして」




「で、ダンさん。何があったか教えてください」




「ああ、奴らだ。新世界の奴らが口封じに気やがったんだ……!」




「ダンさん、良ければ新世界の事について教えていただけませんか?  安全は補償しますから」




「それなら安全だな。俺が見たのは大臣のメイルなんだがそいつが俺を襲った奴らの仲間に金を渡している所を見たんだ。確かスラムの近くだったな」




「メイル?  サンドラ、知ってるか?」




「ええ、メイルは確か魔族対策本部のトップだったはずですわ」




「対策本部のトップが魔族に情報を流しているとしたらこの国はかなり危険だな……ダンさん、怪しいヤツらの特徴を教えていただけませんか?」




「暗かったうえに黒いローブを着ていたからな……あっ、こんな顔だったぞ」


  そう言ってダンさんは近くの紙に似顔絵を描いてくれた。
  八百屋とは思えないほど上手い。




「こんな顔で、髪の毛は赤色だったな……目は黒で……うん、こんな感じだな」




「ありがとうございます。お上手ですね?」




「昔絵描きを目指していてな。諦めて八百屋になったんだがチラシとかの絵はまだ自分で描くようにしてるのさ」




「そうだったんですか。じぁこれを参考に探しますね。ありがとうございました」




「おう、いつでも来てくれよな」




「よし、じぁ安全確保のために結界を張って……行くか」




「私はこれから用があるのでここで失礼しますわ。また何かあれば頼ってくださいね。あなたは助けませんけど」




「ふん!  別にあんたなんかの助けが無くても自分で出来ますよーだ」




「こらこらセリィもサンドラも喧嘩しないで。ほら、行くよ」




「はーい」


  俺達は似顔絵片手にスラムに向かった。




「なんかガラの悪い人達がいっぱいだね……」


  スラムに着くと城下町の綺麗な街並みとは違ってかなり汚い。
  そしてそこにいる人は皆目をギラつかせていて今すぐにでも襲ってきそうな雰囲気だ。




「ビビっててもしょうがないだろ。とりあえず聞き込みだな。よし、こっからは二手に分かれて探そうか」




「そうだね」




「じぁフロウ、私達は東側のスラムに行こう」




「おう」




「じぁ俺達は西側だな。セリィ、行こうか」




「そうね」




「じぁみんな無理はしないように」




「はーい」


  俺達はスラムの中へと入っていった。


  そして最初に見つけた青年に声をかけた。




「新世界っていう団体知ってるか?」




「新世界?  何か調べてるのか?  言っとくがあいつらには関わらない方がいいぜ」




「それでも調べなきゃダメなんだ。どこにいるかとか教えてくれないか?」




「言えるわけないだろ。言ったら俺が殺されちまうぜ?」




「そっか。ありがとう」


  それから何人にも聞き込みをしたが、全員知ってはいるが何も教えてくれなかった。


  今日はもう諦めようかな……


  そう諦めかけていると、曲がり角の先から怒鳴り声が聞こえてきた。
  魔法の反応もあった。




「セリィ!」




「うん!」


  俺達は急いでその場所に向かった。




「ビンゴだ」


  そこには黒いローブを着た男達がいた。
  その前には火傷をしたチンピラ達がいる。




「全く……俺達新世界に逆らうとどうなるか分かってないのか?」




「うるせぇ!  このスラムじゃ俺達が一番強いんだ!  行くぞ!」


  チンピラ達は一気にローブの男達に殴りかかった。
  しかし、男達はそれを軽々と避ける。




「わかんねぇなら教えてやんないとなぁ?  オラッ!!」


  直後、粗雑な魔力が感じられる。
  すると真ん中にいた男が持っていた石が光り、炎が吹き出した。




「ぎゃあああああああああ!!」


「あちぃー!!」


「死ぬぅ!!」


  チンピラ達は全身大火傷してスラムの奥の方へと逃げていった。




「ん?  誰だお前ら?  いつからいた?」




「お前達が新世界だな。ちょうど探してたんだ。質問に正直に答えたら何もしない。質問させてくれ」




「は?  何言ってんだ、お前。さっきの見てたんだろ?  それでよくそんな口がきけるな!!」


  また魔力が流れ、石から炎が吹き出す。
  俺は距離を取ってそれを避け、剣を抜く。




「じぁちょっと痛い目にあってもらうぜ?  おおっ!」


  俺は真ん中の男の懐に一瞬で潜り込み、剣を振りかぶる。




「ぐっ……!」


  男はそこから離れようとするがもう遅い。
  俺は下から斬りあげようとしたその時、




「仲間には手出しさせん」


  突如、左右にいたローブの男が剣を抜き、俺に斬りかかってきた。


  速いっ!  




「っ!  アイギスの盾!!」


  俺は両サイドにアイギスの盾を発動し、その剣を防ぎ、一旦距離をとる。




「ちっ、帰るぞ!」


  そう言ってローブの男達はどこかに消えていった。




「追わなくていいの?」




「大丈夫、魔力反応で分かるようにしておいたから」




「そう。なら良かったわ。それにしてもあの二人、只者じゃないわね」




「うん……本当にギリギリだったよ……さぁ、帰ろうか」




「そうね」


  俺達は新世界も気になるが今日はスラムを出て、王城へと帰った。


  明日、四人みんなで行こう。
  あんな敵が沢山いたら流石に二人じゃ無理だ。


  それにしてもなぜあんな強いやつが誰かの下についているんだろう?


  その日の夜は疑問に思うことがありすぎてよく眠れなかった。

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