転生したら防御チートを手に入れたのでので死亡予定の悪役令嬢を守ってみせる

ユーガ

王子

  俺達フロウはオーク達の剥ぎ取りを済ませ、村へと戻った。


「子供たちが帰ってきたぞ!!」


「どうなったんだ?」


「みんな無事か?」


「ガルムさん、オークは?」


  「ほっほっほ、この子達が全部倒しましたよ」


「本当ですか!?」


「本当よ!」


  セリィが自信満々だ。他のみんなもそうだ。


「やったー!!」


「この村は救われたぞー!!」


「宴の準備だー!!」


  村人達は大喜びして、宴の準備を始めた。


「君達も参加してくれるかな?」


「もちろん!」


「やったぁ!」


  フロウとナージャは嬉しそうだ。


「どうします、セリィ?  お父様に確認しないと行けませんね……」


「そうね……」


「それなら私がしておきましょう」


「なら、良いわね!」


「そうですね!」


  それから俺達は宴を楽しんだ。


  途中ボレアスお父様とミラお母様も来て若干パニックになったがすぐに馴染んでいた。


  貴族ってあんま良いイメージ無いけどこの家は庶民にも寄り添ってて、なんか良いな。


  

  

――数日後――


  ドタドタドタドタドタドタ!!


  何だ朝から大騒ぎだな……もっと寝かせてくれよ……


  ドタドタドタ、ガチャン!!


「アル、私達、王国に呼ばれちゃった!」


「王国?」


「うん。こないだオークを私達だけで倒したのが国王の耳に入って興味を持つたらしいの」


「まじか……で、いつ出発なんだ?」


「今からよ!」


「うそん!!」


  今からって早すぎやしないか?
  それならもっと早くに起こしてくれよ。


「すぐに準備します!」




  それから高速着替えを発動し、その他諸々の準備を終えて外にでる。


「おはよう、アル!」


「よう、アル!」


  馬車にはフロウとナージャも乗っていた。


  そうか、あいつらも一緒に倒したからか。


「さぁ行きましょう、皆さん」


  俺達は王国へと向かった。


  王国ってことは王子もいるよな……
  まずいな、セリィが悪役令嬢に目覚めてしまうじゃないか。


  そうしていると王国に着いた。
  それから衛兵達に連れられて王城へと案内された。




「わぁー!」


「でっけぇー……」


  俺達が案内された部屋は客人をもてなすための部屋らしいがエリアス家の居間より大きい。


「俺はちょっと王城を散歩してきます」


  王子に会えたらもしかしたらセリィとの接触を未然に防げるかもしれないしな。


「国王への謁見は1時間後だ。早めに帰ってこいよ?」


「わかりました、お父様」


  そう言って俺は部屋を出る。


「さぁ、王子はどこかなー」


  とりあえず適当に歩くか。




「お待ちくださーい!!」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁー!!」


  しばらく歩いていると向こうの方からイケメンが走ってくる。


  なんで追っかけられてるんだろ?


  あ、やべ、目合った……


「ちょっと隠れさせて!」


  そう言ってイケメンは俺の着ているローブの中に潜り込む。


「どこに行った!」


「探せ!!」


  メイドっぽい人達は通り過ぎて行った。


「ふぅ、助かったよ」


「なんで追っかけられてたんだ?」


「この服を着ろだとかこれの方が似合うだとかうるさくて逃げてきたのさ」


「とゆーか、誰なんだ?」


「おお、自己紹介がまだだったな。俺はレイン。この国の王子だ!」


  王子!?  やべぇめっちゃタメ口だった!


「失礼致しましたー!!  まさか王子とは知らず……」


「ああ、良いんだよ。さっきのままで」


「でもそれは……」


「戻さないと逆に不敬罪で捕まえるよ?」


  ハハ、王子ジョーク……


「わかった。俺はアルバート。よろしくな!」


「ああ!  よろしく!」  


  そう言ってレインが笑う。チッ、王子でイケメンとか勝ち組もいいところじゃねぇか。


「ちなみにアルバート、お前は何の用で王城に来たんだ?」


「ああ、俺はオークの群れを倒したって事で呼ばれてな」


「あれか?  子供だけでオークの群れを倒したってやつか?」


「ああ、そうだ」


「すげぇな!」


「まぁな、伝説の冒険者に鍛えて貰ったんだ。てか、お前の職業ってなんなんだ?  やっぱり王家独特のとかあるのか?」


「俺は勇者だ」


「勇者!?」


「まぁな、ふふ、どうだ?」


  ちょっといい気になってた自分が恥ずかしい……


  それからしばらくレインと話したが話せば話すほど良い奴だ。


「そろそろ戻らないと……じぁな、レイン」


「おう、またな!」


  それから俺は部屋に戻った。




「おかえり。ちょうどだな、行くぞ」


「わかりました!」


  俺達はすぐに玉座の間に向かった。




――玉座の間――


「呼んでいただきありがとうございます、陛下」 


  基本的な応対は俺がすることになった。


「お前達がオークの群れを倒したのだな?」


「はい。その通りでございます」


「どうやってそこまで強くなったのだ?」


「実は元Sランク冒険者のガルムさんに鍛えて頂いてここまで強くなることが出来ました」


「ガルムだと!?  懐かしいな、昔はよく一緒に冒険したものだ」


「ガルムさんと冒険していたのですか?」


「ああ、若い頃にな。あいつは本当に化け物みたいな強さだった」


「ちなみに国王陛下の職業をお聞きしても?」


「知らんのか?  我の職業は王、だ」


「そんな職業あるのですか?」


「即位するとなぜか変わるのだ」


「なるほど……」


「それでな、お前達に村を救ったとして褒美をやろうと思うのだ」


「有り難き幸せ」


「とりあえず金と……何がいい?  後ろのお前達も決めて良いぞ」


「え、私達も?」


「そう、ですね……」


  フロウは敬語苦手なんだな。何だかぎこちない。ボロを出さなければいいのだが。




「国王陛下、我々は装備が欲しいです」


「そうだな!  それが良い!  あ……」


  言ってる側から口調が元に戻ってるぞ、フロウ。


「はっはっは!  良い良い。装備だな?  お前達もそれでいいか?」


「はい!」


「お願いします!」


「わかった。ならこの国1番の鍛冶師に作らせよう。完成するまでこの国に滞在していてくれ」


「わかりました」


「謁見はここまでだ。下がって良いぞ」


「失礼しました」


  ふぅ、緊張した。結構気さくな国王だったな。


  それに金と装備をくれるって気前が良すぎだろ。


  俺達は全員揃って玉座の間を出た。


「よっ!」


  客室に戻ると部屋の前にレインがいた。


「レイン……」


  なんてことしてくれるんだ。セリィは?


「はぁ……」


  やっばいぞ、一目惚れしてる気がする……


「知り合い?」


  セリィが聞いてくる。


「たまたま会ってな。王子のレインだ」


「王子!?」


「失礼しました!」


「やめてくれ。普通に接してくれ」


「でも……」


「王子だし……」


「逆に不敬罪で捕まえるよ?」


  普段から使ってんだろうな。その言葉


「わかりました……」


「レインさん!  私、セリーナ・エリアスです!  以後お見知り置きを」


  セリィがレインにグイグイ寄っていってる。


  あぁ、もうだめだ……


「そ、そうか。よ、よろしくな!」


  レインが助けを求めるようにこちらを見てくる。


  俺は首を振る。


  すまんな、運命の歯車は動き出してしまったようだ。


  何とかしなければ……


「アルバートォ!!  助けてくれぇ!!」


  とりあえず今日はレインに犠牲になって貰おう。

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