傷心ヘタレが異世界無双!?~ユニークスキル【臆病者】って馬鹿にしてる?~

ユーガ

風神の神殿へ

  ――翌朝――


  コンコン……


「ん?  はーい!」


  僕が起きて準備をしていると誰かがノックをするのが聞こえた。


  ガチャ


  ドアを開けるとグランと一緒にいたヒロがいた。


「えっと、ヒロさんでしたっけ?  何の御用ですか?」


「朝早くからすまない。昨日の雪崩の原因を探りに行くのを手伝って欲しい」


「何で僕に?」


「恐らく封印龍が関係している。二体も倒している君が最適」


「買いかぶりすぎですよ。あれも七大冒険者の方達がいたから勝てたんですよ」


「ここにもいる」


「あっ」


「手伝ってくれるか?」


「はい……」


「ちなみにグランは?」


「王国に行くって昨日の夜出た」


「なるほど」


「じぁ北の門集合で」


「わかりました」


  僕は急いで準備をし、北の門へと向かった。






「お待たせしました」


「大丈夫。とりあえず神殿に行こうか」


「わかりました」


「場所はわかるか?」


「昨日たまたま見つけました」


「なら道案内頼む」


「知らないのかよ!」


  僕達は昨日神殿を見かけた所まで歩いた。




「着きましたよ」


「ここが風神の神殿か」


「ん?  風神なんですか?  てっきり雪の神とかそんなのかと」


「ああ、ここに封印されている龍はここじゃ無いとダメだったみたいなんだ」


「どういうことですか?」


「ここに封印されているのは神龍フェンリルドラゴンなんだ」


  フェンリルドラゴン?  フェンリルとドラゴンを混ぜたのか?


「フェンリルドラゴン?  なんか混ざってません?」


「ああ、昔とある龍が神獣フェンリルを倒して食ってな。そしたらフェンリルドラゴンになったらしい」


「フェンリルを倒したのか。それでここじゃ無いといけない理由って?」


「ああ、そいつは速すぎて誰も手が出なかったんだ。だが、この雪山だと寒さに弱いのか速さも落ちてな」


「だからここなのか……」


「そういう事だ。さっ、入るぞ」


「入っちゃうんですね」


  僕達は神殿の扉を開き、中に入っていった。




「うわー。結構続いてるなぁ」


  奥を見るが全く行き止まりが見えない。


「ん?  何か書いてあるな……」


  奥の壁によく分からない文字が書いてあった。


「ここは風神の迷宮なり。覚悟して挑め、だってさ」 


  ヒロがその文字を読んだ。


「読めるんですか?」


「これは古代文字だな。昔勉強したんだ」


「凄いですね。迷宮ってことはこれより先は危険ですね」


「そうだな。誰もいなさそうだし帰るか」


「そうですね」


  ドォン!!


  帰ろうとした時、奥の方から爆発音が聞こえた。


「誰かいるな」


「そうですね……」


  僕達は奥へと進んで行った。


「いつも封印を解いている魔術師達は何がしたいんだろう……」


「分からない……」


「止まって」


  急にヒロがそう言う。


「どうしたんですか?」


「しっ!  何かいる……」


「ほほう、よく気づいたな」


  すると突然声が聞こえて、何も無いところから人が現れた。


「うわっ!」


「誰だ!」


「我が名は霞の騎士。この階層の番人なり」


「俺達より前に誰か来なかったか?」


「来たが我を倒して先に進んだぞ」


「やっぱりか……ハル、行くぞ!」


「はい!」


「おっと、ここを通りたければ我を倒してからにしろ」


「やるしかないみたいだな……」


「ですね……」


  僕達は構えた。


「ふふふふ」


  霧の騎士は不気味に笑い、姿を消す。


「どこに行った!」


「ヒロはさっきみたいに分からないの?」


「どこにかは分からない!」


「ここさ!」


  霧の騎士は後ろから現れて槍で突きを繰り出す。


「うわっ!」


  僕はそれを何とか避ける。


「ふふふふ」


  再び霧の騎士は消えていく。


「また消えた!」


「こうなったら……明鏡止水!」


  僕はスキルを発動し、霧の騎士の攻撃を受け流し、カウンターに転じる。


「ぐっ!」


「当たった!」


  カウンターは透明な霧の騎士に当たる。


「ぎゃあああああああああ!  痛いいい!」


  霧の騎士は大声を上げてのたうち回る。


「え?」


「とどめ!」


  ヒロがのたうち回っている霧の騎士にとどめを刺す。


「ぎゃあああ!」


  霧の騎士は黒い霧になって消えていった。


「一発しか当ててないよな?」


「恐らく痛いのが嫌だから姿を消してたんじゃないか?」


「そうなんですかねぇ……」


「先に進むぞ」


「はい!」


  僕達は扉を開け、次の部屋へと向かう。


  途中、罠やモンスターに出くわしたがヒロが全て一瞬で処理してくれた。


  僕の出番?  そんなのある訳無いじゃないか。
 

「また部屋についたな」


「何かいそうですね……」


「その通りだ!!」


  ドォン!!


  天井からモアイが降ってきた。


「うわっ!」


「ここを通りたければ私を倒して行け!!」


「行きましょう!」


「ああ!」


「モアー!!」


  モアーって言うのかよ。
 

  モアイは飛び上がり、急降下する。


「危なっ!」


「よっと!」


  僕達は落下点から逃げる。


  ドスゥン!!


  直撃は間逃れたが振動で動けなくなる。


「モアー!」


  モアイはその隙にヒロに目からビームを放つ。


「ヒロ!」


「何だ、体が……」


  ヒロのビームに右腕はどんどんと石になっていく。


「石化だと!?」


「振動で足止めしてから石化ビームか。しんどいな……」


  僕は動けるようになったのでヒロを少し移動させる。


「ここは任せてください!」


「すまん……」


「モアー!!」


  モアイが再び飛び上がり、急降下する。


「よっ!」


  僕はジャンプし、振動を受けないようにする。


  よし、スーパーマ○オの知識が活かされた!


「モアー!!」


  そして目からビームを放ってくる。


「ほっと!」


  もっと!  じゃなかった。やっぱり振動が無かったらただ直線のビームは避けられる。


  僕は避けると同時に近づき、剣を振り上げる。
  

「くらえっ!」


  僕はモアイに剣を突き刺す。


「モアッ!?」


  モアイは避けようとするが石なのでか動きは遅い。


    僕の剣は魔石らしいものがある眉間を捉える。


「モアモアモアモアモアモアー!!」


  うわ、気持ち悪……


  モアイは黒い霧になって消えていった。


  やっぱりあそこが弱点だったな。


  ヒロは?  よし、モアイを倒したから石化が解かれてる。


「すまない、助かった」


「お互い様ですよ。さ、次に行きましょう!」


「おう!」


  僕達は更に先へと進む。

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