傷心ヘタレが異世界無双!?~ユニークスキル【臆病者】って馬鹿にしてる?~

ユーガ

決着、そして

  僕達はサラマンダーを睨みつけた。


「とりあえず俺がやるぞ!」


「風の牢獄!!」


  ソーマがそう叫ぶとサラマンダーの周りに風が集まる。


  サラマンダーは空を飛んでいるので風の牢獄からは出られない!


「行け!  ハル!」


「水柱!!」


  ドラムの魔法でサラマンダーの近くまで持ち上げられる。


「村正、壱の型!!」


――魔力を全力で注ぎ込め!


  どうやって!


――気合いさ。とりあえずやってみろ!


「グヌヌヌヌ……」


  お、体の中で何かが流れている、これか!


  これを村正に流し込む!


――いいぞ!  その調子だ!


「最大出力!!  崩れろおおお!!」


  僕はサラマンダーを斬る。
  するとサラマンダーの肉が全て崩れて骨だけになる。


「グァァァァァ!!」


「うおおお!」


「おい、あれを見ろ!」


  骨だけになったサラマンダーの胸に怪しく光るものがあった。


「おそらくあれが復活する理由だな!」


「あそこを狙うぞ!」


  サラマンダーはすぐに霧となり、復活した。


「チッ、間に合わなかったか……」


「だが弱点はわかった!」


「行きましょう!」


「弱点ガワカッタ所デ更ニ強クナッタ我ニハ敵ワンワ!!」


  サラマンダーは突進してくる。


「さっきよりも断然速い!!」


「避けきれんっ!」


水壁ウォーターウォール!!」


  ドラムは咄嗟に水の壁を出す。


  しかし、サラマンダーはそれをブレスで蒸発させ、そのまま突っ込んでくる。


  僕達は吹き飛ばされる。


「グッハァ!!」


「さっきと速さが桁違いだ……」


「クソっ!  風刃ウインドスラッシュ!」


  ソーマが胸に風の刃を放つ。


  しかし、全くダメージが通らない。


「鱗も硬くなってやがんのか……」


「こんなんどうすれば……」


「フハハハハ!  言ッタデアロウ、貴様ラニハ我ハ倒セン!  ン?」


「ピュオオオオオ!!」


  突然空から白い巨大な竜が現れてサラマンダーを爪で攻撃する。


「何ヲスル!  人間ニ味方スルト言ウノカ!」


「ピュオオオオオ!!」


  白い竜は攻撃を止めない。


「コレデモクラエ!!」


「連続火球!」


  サラマンダーは口から火球を高速で放った。白い竜はそれを避ける。


  するとその火球はこちらに向かってくる。


「明鏡止水!」


  僕は高速で迫り来る火球を全て受け流す。


「カウンターだ!!」


  僕はサラマンダーに近づき、胸に向かって斬りあげる。


  サラマンダーは少し横に移動し胸の石を守った。


「ピュオオ!」


  白い竜は乗れとばかりにこちらを見てくる。


「そうさせてもらうよ!」


  僕は白い竜に飛び乗った。


  サラマンダーも空を飛ぶ。


「俺も!」


  ソーマも風邪を纏い、空を飛んでくる。


「サラマンダーに近づいて!」


「ピュオ!」


  僕の指示を聞いて竜はサラマンダーに近づく。


「うおおおお!」


  僕はタイミングを見計らい、竜から飛び降り、サラマンダーの上に乗る。


「グオッ!!  降リロ!!」


  サラマンダーは暴れて振り落とそうとしてくる。


「落チヌカ……ナラバ燃ヤシ尽クシテヤルワ!!」


  これを待っていたのさ!


「明鏡止水!」


  スキルを発動させると剣が火を攻撃とみなし、受け流す。


  受け流しきれてないのだがそれでもスキルは受け流そうとする。


「おいハル、どういうことだ……」


  ソーマは僕が何をしているかさっぱりわからないようだ。


「そろそろ溜まったかな」


「ドラム、火消して!  滝で!」


「それじゃお前も巻き込んじまう!」


「策はある!」


「分かった!  」


「神界の大瀑布!」


  ドラムは巨大な滝をサラマンダーの上に生み出す。


  僕はそれをスキルの効果で受け流す。


  サラマンダーの火も消えた。


「ドラゴン!  乗せてくれ!」


  僕は滝を受け流したので落ちていく。


  それを竜は拾ってくれる。


「下からサラマンダーの元へ!」


  そう指示すると竜は垂直にサラマンダーに向かって飛ぶ。


「小癪ナアアア!!」


  サラマンダーは上からブレスを放ってくる。


「これで終わりだああああ!!」


  僕はカウンターでサラマンダーの胸を斬る。


  ズバァン!!


  スキルで威力がとても上がった僕の斬撃はサラマンダーを胸の魔石ごと斬った。


「魔石ガ!  マズイ、復活、デキ……ナイ……」


  サラマンダーは落ちていき、黒い霧となって消えていった。


  竜はゆっくりと降下していき僕を下ろしてくれた。


「ありがとう、助かったよ。君は?」


  バシュン!!


  そう言うと竜は煙を上げた。


「ゴホン!  ゴホンゴホン!」


  視界が戻るとそこには森で助けた白い子供ドラゴンがいた。


『恩返ししたの!』


  こいつ……直接脳内に……!?


  なんで頭の中に話しかけられるの?


『俺は従魔になったの!』


  従魔?  僕に従うってこと?


『そうなの!  よろしくなの、主!』


  なんか照れるな……でもこのドラゴンめちゃくちゃ強そうだしちょっと怖いかも。暴走とかしたらどうしよう……


『それはないなの!  従魔は主に危害は加えられないなの!』


  そうなのか。じぁよろしくな!


『よろしくなの!』


  名前つけないとな……


『名前つけてくれるなの?  主がつけてくれるなら何でも嬉しいなの!』


  そうだな……ピィってなくからピィな!


『ピィ……とっても良い名前なの!  ありがとうなの、主!』


  喜んでくれて良かった。


「おい、さっきからどうした?」


  おっと1人で話しすぎてドラムが心配している。


「このドラゴンが従魔になったみたいなの」


  あ、うつっちゃった。


「なの?  まぁいい、それよりサラマンダーを倒せたな!」


「俺には何をしていたか全く分からなかったがな……」
  

  ソーマは困惑してたもんな。誰だってそうなるよ。


「まさか、サラマンダーも倒すとはな。流石は英雄だぜ」


「やめてくださいよ。英雄なんて柄じゃないです」


「ま、とりあえず町に戻るか」


「って言っても火砕流でほぼ壊滅しちゃったんですけどね……」


  僕達は町の方を見る。建物はほぼ全てが半壊か全壊している。


  復興にはかなりの時間がかかりそうだ。






――ドワルゴン――


「やっぱりひでぇな……」


「町民は大丈夫でしょうか……」


  あの短時間で逃げ切れたのだろうか。


「お?  ギルドだけなぜか無傷だぞ?」


「行ってみるか」


  ギルドは本当に無傷だった。


  中に入るとたくさんの人がいた。


「これは……どういうことだ?」


「おお、君達か」


  ギルドマスターが奥からやってきた。


「ギルドマスター、これは?」


「避難させるのには時間が無かったからギルドに全員入れて結界をはったのだよ」


「なるほど……」


「それで、サラマンダーはどうなった?」


「ハルが倒したぞ!」


「結構苦戦したけど最後はこう、スパッとな!」


「流石は英雄だな。報酬はやれんが出入り禁止解除で許してくれんかの?」


「それで十分です。あ、ちなみにレイナはどこに?」


「あの後王国に向かうと言っていたな」


「王国?」


「ああそうじゃ。まぁとりあえずは次の町に行ってみたらどうだ?  必ず通っていることだろう」


「わかりました。そうします」






「ドラム、ソーマ、ありがとう」


「こちらこそありがとうな!」


「お前がいなかったら勝てなかったよ」


「そんなことないですよ。では」


「じぁな」




  僕はドラムとソーマと別れ、次の町へと向かうのであった。




――ハル、次はどこに行くんだ?


『主、この剣喋るんですか!?』


  村正とピィと3人で旅するのか。楽しくなりそうだ。

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