傷心ヘタレが異世界無双!?~ユニークスキル【臆病者】って馬鹿にしてる?~

ユーガ

海神の神殿

エリーナを助けるため、僕達は海神の神殿へ行くことになった。


「ところで町長、その海神の神殿はどこにあるのですか?」


「実はな、それは海の中にあってな……」


「海の中、ですか……」


「どうやって行けばいいでしょうか」


「確かどこかに転移の門があったはずだが……」


「家の書庫に場所が書いてある本があるはずだ。二人とも探してきてはくれないか?」


「わかりました」


僕達は転移の門の場所を知るために書庫に向かう。


「本がいっぱいだぁ……」


「ハル、手分けして探そう。私は右側から探すね」


「わかった。なら僕は左だね」


僕達は手分けして本を探した。
しばらく探していると歴史を感じられる本があった。


「海神の書……?」


僕はその本を開いてみる。


「何も書いてないじゃないか」


その本は白紙で何も書いていなかった。


「はぁー転移の門なんて見つかるのかな」


そう言って本を閉じようとしたその時、何も書いていなかった本に文字が浮かび上がってきた。


――海神の神殿に行かんとする者よ。
森の奥にある石碑の裏を調べよ。
さすれば転移の門が現れよう――


「ちょっとレイナ!来て!」


「何!?見つかった?」


「森の奥の石碑……?」


「どこだろう?」


「もしかしてエリーナのお母さんのお墓?」


「そうかもしれない!町長さんに確認してみよう」


「町長さん、奥さんのお墓ってもともとあの場所にあったものですか?」


「あぁ、彼女が死ぬ前にそこをお墓として欲しいと言われてな。それがどうかしたか?」


「そこに転移の門があるかもしれません!」


「本当か!?」


「明日の朝、行って確かめて来ます!」


「わかった。ギルドから協力が受けられたらそこに向かわせるとしよう」


「レイナ、今日は帰って休もうか」


「うん」


僕達は宿屋に戻った。


「あらおかえり。今日は早かったわね」


「まぁね。おばちゃん、海神って知ってる?」


「海神かい?そりゃ有名だからね。なんでそんなこと聞くんだい?」


「別に意味なんてないよ。ただどんなものか知らなかったから」


「そうかい」


「じぁおやすみなさい」


「ゆっくり休みなよ」


部屋に入って、僕はステータスを確認する。


「新しいスキルの説明は見てなかったしな。ステータス」


―――――――――――――――――――――――――






名前:ハル






称号:【虎殺し】






スキル:【臆病者】【スラッシュ】【明鏡止水】




ランク:鋼






―――――――――――――――――――――――――


「明鏡止水の説明を見せて」


【明鏡止水】:発動すると攻撃を受け流し、カウンターをする。
相手の攻撃が強い程、攻撃を受け流す程、カウンターの威力が上がる。
目が赤くなる。


「目の色の説明いるか?まぁ、ギガントタイガーが倒せた理由がわかった。これは結構使えそうだな」


「さ、明日も早いし寝るか」




――翌朝――


「ハル、早く行こう!」


「レイナ、焦りすぎだよ。焦りは判断力を鈍らせるよ」


「だって……」


「わかってる。さぁ行こうか」


僕達は宿屋でて急いでエリーナのお母さんのお墓に向かう。


「着いた。確か石碑の裏を調べよ、だったよね」


「うん」


僕達は本に書いてあった通りに石碑の裏を調べた。
すると何かでっぱりのようなものを見つけた。


「これじゃない?」


「押してみよう」


僕はでっぱりを押してみた。
すると


ゴゴゴゴゴ……ガチャン!


と音がして石碑が横にズレた。
そして階段が現れた。


「よし、行こう!」


「エリーナ、必ず助けるからね」


階段を降りると広い部屋に着いた。
その先に光る扉があった。


「あれが、転移の門……」


「行こう!」


ドォン!


「何!?」


部屋を進もうとすると、いきなり地面が揺れ、部屋の真ん中に巨大な鬼らしきものが現れた。


「俺、魔術師様に呼び出された、オーガ、お前達、通さ、ない」


「オーガですって!?」


「そんなにヤバいものなのか?」


「おそらくCランク下位よ、でもギガントタイガーよりパワーは上ね」


「まじか……」


「お前達、倒す」


「来るぞっ!」


僕はオーガの棍棒を左にジャンプすることで避ける。


そしてすぐに体勢を戻し、反撃に転じる。


「スラッシュ!」


僕は脇差を全力で振り下ろす。
だがオーガは棍棒を振って僕を弾き飛ばす。


僕は壁に叩きつけられた。


「ハル!くっ……ファイアーボール!」


レイナの放った魔法がオーガの頭に直撃する。
が、全く聞いていなさそうだ。


「そんな……」


「レイナ!諦めちゃダメだ!エリーナを助けるんだろ!」


「う、うん!」


僕は痛む体を無理矢理持ち上げ、立ち上がる。


スラッシュが通用しないなら明鏡止水しかない!
とりあえず攻撃を受け流し続けないと


「明鏡止水!!」


僕は明鏡止水を発動する。目が赤くなる。
充血してる訳じゃないぞ!


「おいオーガ、まだまだ僕は立てるぞ。僕を倒すんじゃなかったのか?」


僕は攻撃を誘うためにオーガを煽る。


「なら、立てなく、なるまで叩いてやる!」


オーガが突進してくる。そして棍棒を振り回す。一振り一振りが当たれば致命傷に思える程迫力がある。


僕はそれをスキルの効果で淡々と受け流していく。


「クソっ、当たらない!避けるな!」


「ほらほら当ててみなー!」


十分威力は上がったはずだ。
あとは隙を見つけてカウンターだ!


「そろそろ終わりにするぞ」


僕は左から右への攻撃を受け流しつつ、左にステップ、そしてカウンターに転じる。


「おおおおおおおおおっ!!!」


スキルで威力を上げたカウンターはオーガを横に真っ二つにする。


「魔術師様、申し訳、ございま、せん……」


オーガはそう言って黒い霧となった。


「痛た、結構効いたな……」


「ハル!今治すからね」


「汝の傷を癒せ、ヒール」


レイナの回復魔法で傷を治す。
痛みも引いてきた。


「大丈夫?」


レイナが心配そうにこちらを見てくる。


「大丈夫、さぁ行こう」


僕達は光る扉に向かった。


「よし、行こう」


僕は光る扉を開けた。


視界が真っ白になる。


視界が戻るとそこは壁も床も全体的に青い場所だった。


「ここが、海神の神殿……」


「さぁ、エリーナを助けに行かないと」


「うん」


僕は目の前の大きな扉を開ける。


ゴゴゴゴゴ……


と大きな音がして扉が開く。


するとそこにはピエロとエリーナがいた。


エリーナは四本の柱の真ん中に拘束されていた。


「エリーナ!!」


「道化の魔術師!エリーナを放せ!」


「おっと、ここまで辿り着いてしまいましたか。ですがもう手遅れです。封印を解く準備は出来ました」


「なんだと……!」


「ふふっ、そこで大人しく見ていて下さい」


「エリーナ!!」


僕はエリーナの元へと走る。
が、見えない壁に阻まれて柱で囲まれている内側に入れない。


「無駄ですよ。さぁ!始めましょう!」


ピエロが謎の呪文を唱え始めるとエリーナの足元に魔法陣が出現する。


「うわあああ!!」


エリーナが悲鳴をあげる。


「エリーナに何が起こっているんだ!」


「彼女から魔力を吸い取っているんですよ。封印を解くためにね」


「やめろ!」


「ファイアーボール!!」


レイナがピエロに魔法を撃つ。
しかし、避けられてしまう。


「ハル……レイナ……助けて……」


「クソっ、どうしたら……」


「そろそろ封印が解けますよ……」


「ああああああああぁ……」


突然エリーナの足元の魔法陣が消えたと思うと


ドオオオン!!


ドオオオン!!


神殿の奥から音が響いてくる。


「遅かったか……」


「ユウさん!」


「鳴雷だと?まぁいい、海神が復活したのだからな!」


「やっぱりか……」


「エリーナ!」


レイナがエリーナに駆け寄る。


ドガアアアン!!


「海神のお出ましだ」


「グルオオオオオ!!」


神殿の奥から現れたのはドラゴンと言うよりはアジアの龍のような見た目のモンスターが現れた。


「あれが……海神……」


「素晴らしい!あれが伝説の海神リヴァイアサン!さぁあの者達を始末しろ」


「我ニ指図スルナ、人間ノ分際デ」


「え?」


リヴァイアサンはそう言ってピエロにブレスを撃つ。


「そんな、そんなあぁ!!」


さっきまでピエロがいた場所には何も無くなった。


「あのブレス、当たったら終わりだな」


「ヤット封印ガ解カレタ、今度コソ世界ヲ我ガ物ニ……」


「止めないと……ハル!手伝ってくれるか?」


「え?まぁそうするしかない見たいですね……」


「レイナ!後方支援は任せた!」


「はいっ!」


「さぁ、行くぞ!」


「「はい!」」

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