魔法使いが迫害される世界で賢者の弟子になります!
第21話『威圧』
「着きましたよ。これがその石碑です」
「でっけぇー!」
村長に案内された場所にあったのは3メートル程ある巨大な石碑だった。
そこには太陽の紋章が左上に、レコードの紋章が中央下に、後から削られたような跡が右上に三角形のように彫られていた。
「これは……凄い……」
「何が凄いんだ? 俺は大きさしか分からないんだが」
「レコード一族が太陽神と何らかの関係があることがわかった。これは行くしかないね、聖教国に!」
「何だか分からないけど旅の目的地が一致したにゃ!」
「村長さん、ありがとうございました! おかげで秘密に近付けそうです!」
「それは良かった。では、月も綺麗に見えることですしここらでどうかな、一杯?」
「では、いただきます」
村長が持っていた鞄の中から酒を出す。
酒は常備してんのかよ。
すると、森の奥から微かな殺気を感じた。
こちらを狙っている!?
「みんな伏せろ!!」
「え?」
キラリと何かが月の光を反射させながら通り過ぎる。
「きゃー!!」
ボトリと村長の首が落ちる。
地面には短剣が突き刺さっている。
「敵襲だ!」
「お父さん……」
「大丈夫だ……お父さんの後ろに隠れていろ」
「……そこかっ!」
俺は気配の感じられる方に地面から引き抜いた短剣を投げつける。
カキィンと金属のぶつかり合う音がして短剣が返ってくる。
「見つかってしまうとは予想外だ。まぁ良い貴様らに用はない。用があるのはそこの村長の息子だけだ」
「俺に用だと?」
「ああ、お前は危険因子だ。そこの村長もな。だから殺した」
「させない!」
俺はエインさんと相手の直線上に立つ。
前に結界も張っている。
「もう遅い」
「は?」
後ろでボトリと音がして、首筋に生暖かい液体がべっとりとつく。
俺は恐る恐る後ろを向く。
「エイン……さん……?」
「お父さん!!」
エインさんの胸には深深と苦無のような刃物が刺さっている。
ミリアは急いでリーゼロッテの目を塞ぐがもう手遅れだろう。
「お前達」
「貴様ぁ! よくもエインさんを!」
「止まれ」
凄まじい殺気を孕んだその声で俺は立ち止まってしまう。
息が上手く出来ない……何だこと圧倒的なプレッシャーは……!
「貴様らは今回は見逃してやる。だが、これ以上首を突っ込むものなら必ず始末する。覚悟しておけ」
そう言って謎の人物はどこかに消えていった。
ぷはっ、と詰まっていた息を吐き出す。
「リーゼ……」
「ダイゴさん……あたし……」
リーゼは震えた声で話す。
すると、突然雰囲気が変わる。
「あいつに復讐する……!」
リーゼの目は憎しみに染まっていた。
拳は血が滲む程強く握りしめられ、震えている。
俺はエインさんも村長も守れなかった。
なら、今すべき事は一つだけだ。
「ダメだ」
「なんで!? あいつはお父さんとおじいちゃんを……!」
「ああ、でも復讐なんてしちゃダメだ」
「ここで私が復讐しないと村が危険に晒される!」
「村を思うならそうじゃないだろ!」
俺はリーゼの両肩を掴む。
そしてリーゼの目を見つめる。
「憎しみからは憎しみしか生まれないんだ! お前が復讐なんてしたら必ず誰かがやり返しに来る。それこそ村に危険が及ぶんだ!」
「でも……」
「だからお前は強くなれ。強くなって村長やエインさんが守ってきたこの村を、お前が守るんだ。憎しみなんて跳ね除けてやれ」
「私が……?」
「そうだ。エインさんは言っていたぞ。リーゼロッテは強い子なんです、あいつならこの村を任せられるって」
「お父さんが……」
「分かってくれたか?」
「うん……」
「今は泣いていい。沢山泣いて流してしまえ」
「うぅ……うわぁぁぁぁぁん!」
それから一晩中、リーゼは俺の腕の中で泣いていた。
ミリアとマックスは村の人達を呼んで事情説明やら何やらを全てやっておいてくれた。
それから2日後、村長とエインさんの葬式が行われた。
俺達も参加させてもらって花を供えた。
リーゼはすぐに村長の座について復興作業を再開させた。
指示もかなり的確かつスピーディーで住民達からの信頼も厚い。
リーゼが村長をやることには何の問題もないようだ。
「じぁ俺達はもう出発するから」
「もう少しいても良いんですよ?」
「あんまりのんびりもしてられないからね。また来るよ、リーゼ。頑張ってね」
ミリアがリーゼを抱きしめる。
何か姉妹みたいだな。
「ありがとう……馬を用意したから使ってください」
「それは助かる」
「じぁ五日後ぐらいには帝国都市に着けるにゃ」
「おーい! あんた達ー!」
声のした方向を見てみると村の人々が走ってやって来ていた。
その表情はどれも明るい。
「俺達を助けてくれてありがとう!」
「俺、人間のこと見直したよ!」
「また来てちょうだい!」
「良かった……俺達、嫌われてるかと……」
「恩人を嫌う訳無いじゃないかー!」
「あんたらのことは忘れないぜー!」
「ありがとう、みんな。じぁ行ってくる」
「元気でなー!」
「頑張れよー!」
こうやって大勢の人達に見送られながら俺達は帝国都市へと出発した。
「でっけぇー!」
村長に案内された場所にあったのは3メートル程ある巨大な石碑だった。
そこには太陽の紋章が左上に、レコードの紋章が中央下に、後から削られたような跡が右上に三角形のように彫られていた。
「これは……凄い……」
「何が凄いんだ? 俺は大きさしか分からないんだが」
「レコード一族が太陽神と何らかの関係があることがわかった。これは行くしかないね、聖教国に!」
「何だか分からないけど旅の目的地が一致したにゃ!」
「村長さん、ありがとうございました! おかげで秘密に近付けそうです!」
「それは良かった。では、月も綺麗に見えることですしここらでどうかな、一杯?」
「では、いただきます」
村長が持っていた鞄の中から酒を出す。
酒は常備してんのかよ。
すると、森の奥から微かな殺気を感じた。
こちらを狙っている!?
「みんな伏せろ!!」
「え?」
キラリと何かが月の光を反射させながら通り過ぎる。
「きゃー!!」
ボトリと村長の首が落ちる。
地面には短剣が突き刺さっている。
「敵襲だ!」
「お父さん……」
「大丈夫だ……お父さんの後ろに隠れていろ」
「……そこかっ!」
俺は気配の感じられる方に地面から引き抜いた短剣を投げつける。
カキィンと金属のぶつかり合う音がして短剣が返ってくる。
「見つかってしまうとは予想外だ。まぁ良い貴様らに用はない。用があるのはそこの村長の息子だけだ」
「俺に用だと?」
「ああ、お前は危険因子だ。そこの村長もな。だから殺した」
「させない!」
俺はエインさんと相手の直線上に立つ。
前に結界も張っている。
「もう遅い」
「は?」
後ろでボトリと音がして、首筋に生暖かい液体がべっとりとつく。
俺は恐る恐る後ろを向く。
「エイン……さん……?」
「お父さん!!」
エインさんの胸には深深と苦無のような刃物が刺さっている。
ミリアは急いでリーゼロッテの目を塞ぐがもう手遅れだろう。
「お前達」
「貴様ぁ! よくもエインさんを!」
「止まれ」
凄まじい殺気を孕んだその声で俺は立ち止まってしまう。
息が上手く出来ない……何だこと圧倒的なプレッシャーは……!
「貴様らは今回は見逃してやる。だが、これ以上首を突っ込むものなら必ず始末する。覚悟しておけ」
そう言って謎の人物はどこかに消えていった。
ぷはっ、と詰まっていた息を吐き出す。
「リーゼ……」
「ダイゴさん……あたし……」
リーゼは震えた声で話す。
すると、突然雰囲気が変わる。
「あいつに復讐する……!」
リーゼの目は憎しみに染まっていた。
拳は血が滲む程強く握りしめられ、震えている。
俺はエインさんも村長も守れなかった。
なら、今すべき事は一つだけだ。
「ダメだ」
「なんで!? あいつはお父さんとおじいちゃんを……!」
「ああ、でも復讐なんてしちゃダメだ」
「ここで私が復讐しないと村が危険に晒される!」
「村を思うならそうじゃないだろ!」
俺はリーゼの両肩を掴む。
そしてリーゼの目を見つめる。
「憎しみからは憎しみしか生まれないんだ! お前が復讐なんてしたら必ず誰かがやり返しに来る。それこそ村に危険が及ぶんだ!」
「でも……」
「だからお前は強くなれ。強くなって村長やエインさんが守ってきたこの村を、お前が守るんだ。憎しみなんて跳ね除けてやれ」
「私が……?」
「そうだ。エインさんは言っていたぞ。リーゼロッテは強い子なんです、あいつならこの村を任せられるって」
「お父さんが……」
「分かってくれたか?」
「うん……」
「今は泣いていい。沢山泣いて流してしまえ」
「うぅ……うわぁぁぁぁぁん!」
それから一晩中、リーゼは俺の腕の中で泣いていた。
ミリアとマックスは村の人達を呼んで事情説明やら何やらを全てやっておいてくれた。
それから2日後、村長とエインさんの葬式が行われた。
俺達も参加させてもらって花を供えた。
リーゼはすぐに村長の座について復興作業を再開させた。
指示もかなり的確かつスピーディーで住民達からの信頼も厚い。
リーゼが村長をやることには何の問題もないようだ。
「じぁ俺達はもう出発するから」
「もう少しいても良いんですよ?」
「あんまりのんびりもしてられないからね。また来るよ、リーゼ。頑張ってね」
ミリアがリーゼを抱きしめる。
何か姉妹みたいだな。
「ありがとう……馬を用意したから使ってください」
「それは助かる」
「じぁ五日後ぐらいには帝国都市に着けるにゃ」
「おーい! あんた達ー!」
声のした方向を見てみると村の人々が走ってやって来ていた。
その表情はどれも明るい。
「俺達を助けてくれてありがとう!」
「俺、人間のこと見直したよ!」
「また来てちょうだい!」
「良かった……俺達、嫌われてるかと……」
「恩人を嫌う訳無いじゃないかー!」
「あんたらのことは忘れないぜー!」
「ありがとう、みんな。じぁ行ってくる」
「元気でなー!」
「頑張れよー!」
こうやって大勢の人達に見送られながら俺達は帝国都市へと出発した。
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