魔法使いが迫害される世界で賢者の弟子になります!
第18話『再来』
「グルォォォォン!!」
狼が吠え、私がマックスに突き飛ばされた直後、横を高速で何かが通り過ぎた。
「え……?」
後ろを振り返ると建物に突っ込んでいる狼の姿があった。
その額は溶けた鉄のように赤熱している。
私マックスに助けられた……?
もしマックスが助けてくれなかったら私今頃……
私はそう考えて身震いする。
「怖気付いちゃダメにゃ! 構えて、次来るにゃ!」
「そ、そうだね! どんと来い……!」
私は再び槍を構えるが、槍を持つ手の震えが止まらない。
仕方ないと思う、たった今死にかけたのだ。
いつもは守ってくれるダイゴも今はいない。
「あ、あれ? おかしいな……止まれ! 止まってよ! 私も戦わなくちゃいけないのに!」
狼は賢く、戦意喪失している私に向かって牙を見せた。
「ひっ……!」
「ミリア、立つにゃ! 戦えないにしてもここで止まっちゃダメにゃ! ミリア!」
「グルルァァ!!」
狼は再び額を赤熱させる。
そして、消える。
来るっ! 避けないと……!
何とか動こうとするが足は一向に動こうとしない。
その間にも狼の額はどんどん赤くなっていく。
「グルォォォン!!」
狼は遠吠えをし、その姿を消す。
今度はこちらの恐怖を煽るためか、真っ赤な軌跡は縦横無尽に動き回る。
「ぎゃぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
少しづつエルフの弓兵達が倒れていく。
その気になれば一気に倒せるはずなのに一人づつ、それも即死しないように倒していく。
「くそっ! 当たれ!」
「待て! 指示を聞け!」
弓兵はヤケになって隊長の指示も聞かぬまま矢を放つ。
しかし適当に射ても当たる訳もなく、ただ矢が少なくなっていくだけだ。
「ミリアは僕が守るにゃ! うおおおおお!!」
マックスが私の前に立ち、雄叫びを上げる。
狼もそれに反応してか大きく助走を付ける。
「ダメ! マックス! 逃げて!」
「どんな手を使っても僕はミリアを守るにゃ。だから安心してにゃ」
そうマックスが言うと目の前が赤く染まり、皮膚が焼けるような熱が襲ってくる。
狼が来た……!
ダメ……死んじゃう……!
誰か助けて……
そう思っていると、金色の光が視界を埋めつくし、私は目を閉じる。
空気を裂く音が聞こえ、時々金属がぶつかり合うような甲高い音も聞こえてくる。
「キュルオオオオオン!!」
聞き慣れない鳴き声と共に爆発が起こる。
その衝撃で周りの木々は爆ぜる。
「何が……起きたの……?」
ゆっくりと立ち上がると地面が抉れている所にマックスと狼が血まみれで倒れていた。
「マックス!!」
私は走ってマックスのもとへと向かった。
マックスは肩で息をしている。
生きてはいるようだ。
「マックス! 大丈夫?」
「うにゃ……ミリア……狼は?」
「隣で倒れてる。マックスは何をしたの?」
「僕でもよく分からないにゃ……うっ……!」
「誰か! 回復魔法が使える人は!?」
「村の中心に回復術士を集めてある!」
「分かった! マックス、移動するよ?」
「分かったにゃ……優しくしてにゃ」
「分かってる」
私はマックスをゆっくりと持ち上げた。
よく見ると体中が傷だらけだ。
幸い出血量はそこまで多くないので輸血は必要なさそうだがやはり見ていて痛々しい。
「私が情けないから……ごめんね……」
「ミリアは悪くないにゃ……」
私が歩き出すととてつもない殺気を背後から感じた。
ま、まさか……
「ガルルルルル……」
なんと狼もまだ生きていたのだ。
全身から血を流しながらこちらを睨んでいる。
その目には怒りと憎しみがみてとれる。
逃げないと! マックスが危ない!
そう思うも体が上手く動かない。
私はジリジリと後退りをする。
「バウッ!!」
狼は鋭い牙を剥き、飛びかかってきた。
私は逃げる事も出来ず、目を閉じる。
「大丈夫か? ミリア」
「ダイゴ!」
◇◆◇◆ダイゴサイド◇◆◇◆
「大丈夫か?」
「ダイゴ!」
こっちに来てみて正解だった。
マックスもボロボロだし、ミリアも目が完全に怯えている。
狼も全身から血を流していてまともに立つことすら出来ていない。
「こいつは俺に任せろ! お前達は怪我人の救助を!」
「わ、分かった! 怪我人を村の中心まで運べ!」
隊長の指示でエルフ達は重症を負った兵士達を運んでいく。
この世界にトリアージという考えがあるのかは分からないが重症の者から運んでるようなので優先順位はきちんと分かっているみたいだ。
「さて、狼よ。お前の飼い主は倒した。さっさと諦めた方が身のためだぜ?」
「ガルルルルル……」
「まぁ通じないよな」
俺は飛びついてきた狼を剣で受け流す。
狼は勢い余ってそのまま倒れる。
「んでもって【連続火炎弾】」
俺は倒れている狼に大量の火の玉をぶつける。
ドドドドドという巨大な音が辺りに響き、焦げ臭い臭いが鼻をつく。
「さすがにやったか?」
フラグだとは自覚しつつも言ってしまう。
狼は中々しぶとく、まだ息をしている。
「グルルル……」
その目はまだ死んでいない。
まだ戦う気だ。
「……俺を食えぇ!」
すると、さっき倒したはずの男がボロボロになりながらも狼のもとへとやって来ていた。
魔力感知にも引っかからない上、狼しか見えていなかったので全く気づかなかった。
こいつ、何をする気だ!?
狼が吠え、私がマックスに突き飛ばされた直後、横を高速で何かが通り過ぎた。
「え……?」
後ろを振り返ると建物に突っ込んでいる狼の姿があった。
その額は溶けた鉄のように赤熱している。
私マックスに助けられた……?
もしマックスが助けてくれなかったら私今頃……
私はそう考えて身震いする。
「怖気付いちゃダメにゃ! 構えて、次来るにゃ!」
「そ、そうだね! どんと来い……!」
私は再び槍を構えるが、槍を持つ手の震えが止まらない。
仕方ないと思う、たった今死にかけたのだ。
いつもは守ってくれるダイゴも今はいない。
「あ、あれ? おかしいな……止まれ! 止まってよ! 私も戦わなくちゃいけないのに!」
狼は賢く、戦意喪失している私に向かって牙を見せた。
「ひっ……!」
「ミリア、立つにゃ! 戦えないにしてもここで止まっちゃダメにゃ! ミリア!」
「グルルァァ!!」
狼は再び額を赤熱させる。
そして、消える。
来るっ! 避けないと……!
何とか動こうとするが足は一向に動こうとしない。
その間にも狼の額はどんどん赤くなっていく。
「グルォォォン!!」
狼は遠吠えをし、その姿を消す。
今度はこちらの恐怖を煽るためか、真っ赤な軌跡は縦横無尽に動き回る。
「ぎゃぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
少しづつエルフの弓兵達が倒れていく。
その気になれば一気に倒せるはずなのに一人づつ、それも即死しないように倒していく。
「くそっ! 当たれ!」
「待て! 指示を聞け!」
弓兵はヤケになって隊長の指示も聞かぬまま矢を放つ。
しかし適当に射ても当たる訳もなく、ただ矢が少なくなっていくだけだ。
「ミリアは僕が守るにゃ! うおおおおお!!」
マックスが私の前に立ち、雄叫びを上げる。
狼もそれに反応してか大きく助走を付ける。
「ダメ! マックス! 逃げて!」
「どんな手を使っても僕はミリアを守るにゃ。だから安心してにゃ」
そうマックスが言うと目の前が赤く染まり、皮膚が焼けるような熱が襲ってくる。
狼が来た……!
ダメ……死んじゃう……!
誰か助けて……
そう思っていると、金色の光が視界を埋めつくし、私は目を閉じる。
空気を裂く音が聞こえ、時々金属がぶつかり合うような甲高い音も聞こえてくる。
「キュルオオオオオン!!」
聞き慣れない鳴き声と共に爆発が起こる。
その衝撃で周りの木々は爆ぜる。
「何が……起きたの……?」
ゆっくりと立ち上がると地面が抉れている所にマックスと狼が血まみれで倒れていた。
「マックス!!」
私は走ってマックスのもとへと向かった。
マックスは肩で息をしている。
生きてはいるようだ。
「マックス! 大丈夫?」
「うにゃ……ミリア……狼は?」
「隣で倒れてる。マックスは何をしたの?」
「僕でもよく分からないにゃ……うっ……!」
「誰か! 回復魔法が使える人は!?」
「村の中心に回復術士を集めてある!」
「分かった! マックス、移動するよ?」
「分かったにゃ……優しくしてにゃ」
「分かってる」
私はマックスをゆっくりと持ち上げた。
よく見ると体中が傷だらけだ。
幸い出血量はそこまで多くないので輸血は必要なさそうだがやはり見ていて痛々しい。
「私が情けないから……ごめんね……」
「ミリアは悪くないにゃ……」
私が歩き出すととてつもない殺気を背後から感じた。
ま、まさか……
「ガルルルルル……」
なんと狼もまだ生きていたのだ。
全身から血を流しながらこちらを睨んでいる。
その目には怒りと憎しみがみてとれる。
逃げないと! マックスが危ない!
そう思うも体が上手く動かない。
私はジリジリと後退りをする。
「バウッ!!」
狼は鋭い牙を剥き、飛びかかってきた。
私は逃げる事も出来ず、目を閉じる。
「大丈夫か? ミリア」
「ダイゴ!」
◇◆◇◆ダイゴサイド◇◆◇◆
「大丈夫か?」
「ダイゴ!」
こっちに来てみて正解だった。
マックスもボロボロだし、ミリアも目が完全に怯えている。
狼も全身から血を流していてまともに立つことすら出来ていない。
「こいつは俺に任せろ! お前達は怪我人の救助を!」
「わ、分かった! 怪我人を村の中心まで運べ!」
隊長の指示でエルフ達は重症を負った兵士達を運んでいく。
この世界にトリアージという考えがあるのかは分からないが重症の者から運んでるようなので優先順位はきちんと分かっているみたいだ。
「さて、狼よ。お前の飼い主は倒した。さっさと諦めた方が身のためだぜ?」
「ガルルルルル……」
「まぁ通じないよな」
俺は飛びついてきた狼を剣で受け流す。
狼は勢い余ってそのまま倒れる。
「んでもって【連続火炎弾】」
俺は倒れている狼に大量の火の玉をぶつける。
ドドドドドという巨大な音が辺りに響き、焦げ臭い臭いが鼻をつく。
「さすがにやったか?」
フラグだとは自覚しつつも言ってしまう。
狼は中々しぶとく、まだ息をしている。
「グルルル……」
その目はまだ死んでいない。
まだ戦う気だ。
「……俺を食えぇ!」
すると、さっき倒したはずの男がボロボロになりながらも狼のもとへとやって来ていた。
魔力感知にも引っかからない上、狼しか見えていなかったので全く気づかなかった。
こいつ、何をする気だ!?
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