魔法使いが迫害される世界で賢者の弟子になります!

ユーガ

第9話『小さな勇気』

「すみません、クエスト完了報告をしたいんですけど」


「はい、ギルドカードを確認します。えっと、古代遺跡の発見・探索でしたね、ってもう見つけたんですか!?」


「はい。見つけましたし探索もしてきました」


「じょ、冗談ですよね……?」


「いたって真面目です」


「わ、分かりました。では、こちらの住所に向かってください。ここに依頼者がおられるので依頼者の指示に従ってください」




  俺達は渡された住所に向かった。
  そこは街のはずれにある、古びた建物だった。


  中はガラクタだらけで足場もない程散らかっていた。
  中には見た感じ誰もいない。




「ごめんくださーい。冒険者の者ですけどー?」


「助けてくれー」


「え?  どこにいるんですか?」


「そこじゃー!  もう少し前、そうそこの下!」




  俺は言われたようにそこのガラクタをどけていった。
  すると小柄の老人がガラクタの中に埋まっていた。




「大丈夫ですか?」


「おぉ、ありがとう。寝てたら一気に倒れてきてな……」


「これは何ですか?  沢山ありますけど」


「これは古代魔道具じゃよ」


「古代魔道具!?  そんなのがこんなにいっぱい!?」


「知ってるのか、ミリア?」


「うん。とっても有名な物だよ。今の魔道具とは比べ物にならない程強力なんだよ!」


「その通りじゃ。じゃが、この古代魔道具は壊れていて動かないから貰ったんじゃよ」




  古代魔道具か……
  どれもガラクタにしか見えないがそんなに貴重な物なのだろうか……?




「で、要件はなんじゃ?」


「古代遺跡を発見しました。それと探索も行いました」


「何と!?  後数年はかかると思っていたがまさかこんなに早く見つかるとはな……今すぐ連れて行っておくれ」


「分かりました。案内します」


「それと自己紹介がまだじゃったな。わしはメギル。考古学者じゃよ」


「俺はダイゴです」


「私はミリアです!」




  俺はそれから古代遺跡があった場所へメギルさんを案内した。
  道中、凄くワクワクしていて本当に考古学が好きなんだな、と思った。




「着きましたよ。もしかしたらまだ魔道兵器とかいるかもしれないんで気をつけてください」


「何!?  魔道兵器がいるのか!?」


「はい、確かあの辺に……あった!  これです!」




  俺は倒したまま放置しておいた魔道兵器をメギルさんに渡す。
  俺が持ってても使い道がよく分からないし、専門家に渡すのが一番だろう。




「これは素晴らしい!  今までに見た魔道兵器の中でもかなり高性能な物じゃ!」


「全部壊しちゃってすみません……」


「いや、壊しておいてくれないと困るよ。暴れられたらわしなんかひとたまりもないからな」


「なら良かったです。あ、その扉の先が最後の部屋です」




  そこは俺達が巨大石像と戦った場所だ。
  またあいつが出てこないか気が気じゃなかったが巨大石像の破片がまだ転がっていて安心した。




「おぉっ!  この破片はなんじゃ!?」


「この遺跡を守る最終システムだとか言ってました。これも壊しちゃいましたけど」


「古代遺跡の最終システムを倒すとは、お主なかなか強いな……その宝箱には何が入っていた?  中身は空のようだが」


「あ、このペンダントです」


「ふむふむ……こんな魔道兵器が守っていた位だからかなり重要な物なんじゃろうが……それはお主がそのまま持っていていい」


「本当ですか!?」


「ああ。特別報酬という事で貰ってくれ。後は記述通りに報酬を渡す、とギルドには伝えておく。それじゃ、帰ろうか」


「もう良いんですか?」


「ああ、ある程度は見たしな。また来たくなったら護衛でも雇って来るよ」


「分かりました。では、戻りましょうか」




  それから俺達はクエスト用紙に書いてあった通り、15万Gを受け取った。
  そのうち1万G程度がマックスへのご褒美で無くなってしまった。
  あの魚めちゃくちゃ高かったけどめちゃくちゃ美味かったな。




「全部で10万G以上あるね。どうする?」


「んー……収納ボックスの大を買うか?」


「それが良いにゃ。でももっと貯金してから余裕がある時でも良いかもにゃ」


「まぁ今絶対に必要、って訳じゃないもんな……」


「まぁもう少し考えてからにしようか。とりあえず明日は皆でクエスト受けよっか」


「そうだな。じぁおやすみ」


「おやすみにゃ」


「おやすみー」




  お金がこう一気に貯まるとパァーっと使ってしまいがちだから慎重に使わないとすぐに無くなるからな。
  

  あ、俺もうちょっといい宿に泊まりたいなぁ。
  俺だってベッドで寝たいなぁ……




  翌朝、俺達は3人揃ってギルドに向かった。
  何か良いクエストは無いかとクエストボードを眺めていると気になるクエストを見つけた。




「行方不明者の捜索?」


「行方不明者なんて出てるのかにゃ?」


「人が多いと悪い人もいるんだろうね」


「これ、受けるか」


「え?  やめときなよ。そうそう見つからないよ?」


「でも、こいつらを探している人がいるんだ。絶対に見つけてやらないと」


「ダイゴは優しいにゃ」


「分かったよ。そのクエスト受けてきて。全力で探すよ!」


「おう」




「すみません。このクエスト受けたいんですけど」


「ギルドカードを拝見しますね。はい、クエスト受注完了です」


「ありがとうございます」


「ダイゴさんって、普通の冒険者とは違いますね」


「どういう事ですか?」


「普通の冒険者って討伐クエストとかをよく受けるのにダイゴさんは古代遺跡とか行方不明者とかそういうクエストばっかりじゃないですか」


「やっぱり討伐クエストとかを沢山受ける方が男としてかっこいいんですかね……ハハ」


「いえ、困っている人を助けようとする姿勢は単に力を見せつけようとする人よりも何倍も素敵ですよ」


「そんな事言われると照れるな……あっ、あの!」


「どうしました?」


「お名前……聞いても良いですか……?」


「セーラです。今まで何か言おうとしていたのはこれだったのですね、ふふ」


「あ、いや、まぁ……」


「青春にゃ」


「青春ね……」


「止めろ!  それじぁ行ってきます、セーラさん!」


「はい、行ってらっしゃい」


__________________________


「珍しいわね。セーラが冒険者に名前を教えるなんて」


「そう?  でも、あの人には何か他の人とは違うものを感じる」


「ベタ惚れじゃない。良いわね、若いって」


「惚れてるとかそんなものじゃないわ。ただ、若いのは否定しないわ」


「セーラはエルフだから私の何倍も歳いってると思うけど……」


「エルフに歳の話はNGよ」


「あら、ごめんなさいね」


__________________________






「えっと、行方不明者は何人なの?」


「全部で12名。年齢も性別も職業も何もかもがバラバラで共通するものが無い」


「これは僕の勘で何とかなるかにゃ?」


「勘で行方不明者は探せても犯人とかがいる場合、勘だけを根拠に戦うことは出来ない」


「じぁしっかり証拠とかも集めないとにゃ」


「その通りだ。だから、路地とか人目に付きにくい場所を徹底的に探そう」


「分かった。でもまずは聞き込みをしたら?」


「確かにそうだな。依頼者達にも聞いてみるか」




  それから俺達は行方不明者と関わりのあった人達に聞き込みをした。
 数日間 聞き込みを続けていると無いように思われた共通点が見つかった。


  行方不明者は全員、深夜に買い物に行った際に帰ってこなくなったらしい。
  その買い物に行った先が最近出来た人気商店『仮面の男』らしい。
  その店は激安価格で日用品から食品まで取り扱っていて開店してすぐに大人気商店となったらしい。




「とりあえず今日は深夜に『仮面の男』に突撃する。危険な目に遭うかもしれないから十分に準備して行こう」


「分かった!」


「何とも怪しげな店名にゃ。絶対に犯人にゃ」




  マックスの言う通りだ。
  『仮面の男』だなんて名前、店の名前にはあまり向いてないと思うけど何か裏があるのか……

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