魔法使いが迫害される世界で賢者の弟子になります!

ユーガ

第4話『目的』

「仲間にして、ってどういうこと?  君、ここの子供だろ?  さっきもお嬢様って呼ばれてたし……」


「ここの家にいると聖教会で神官になりなさいっていう圧が凄くて……でも私には夢があるの!」


「どんな夢?」


「私はミリア=レコードって言うんだけどこのレコード一族には代々受け継がれていた秘密があるの。五代目まではちゃんと受け継いでたらしいんだけど五代目が六代目に受け継ぐ前に亡くなっちゃって……」


「ちなみに今何代目?」


「私のお父さんで17代目だよ」


「十一代もあったのにまだ分からないのか?」


「うん、それに関する資料とかも残ってなくて……」


「そりゃ大変だな……」


「だから、私が絶対に見つけるの!  家の事はお姉ちゃんに任せれば大丈夫だし!」


「それでいいのか……?」


「絶対足でまといになんかならないから、だからお願い!」


「……考えさせてくれ」


「分かった……まだ怪我治ったばっかりなんだからゆっくりしててね」


  そう言ってミリアは部屋から出ていった。
  はぁ、どうしたものか……


  別にミリアと一緒に行きたくない訳では無い。
  だが、俺はこれから魔法を使って冒険者をしていく予定だ。
  そして、それは"魔法狩り"の対象になる事でもある。
  リスクを負って生きていく俺と一緒に冒険するとミリアが大変な目に遭うかもしれない。


  それに、ミリアの家庭は話を聞く限り聖教会側の人間だ。
  魔法を使った途端にミリアが告発する可能性も無いとは言いきれない。




「はぁ……難しい事はまた今度考えよっと……」


  俺はかなり疲れていたのでそのまま食事も取らずに眠りについた。




――翌朝――




「起きて、もう朝だよー!」


「ん?  ミリアか……」


「ねぇ、昨日の話考えてくれた?」


「あぁ……その前に聞きたい事がある」


「いいよ、何でも聞いて!」


「魔物と戦える?」


「うん!  小さい頃から槍の稽古をしてたから戦えるよ。実戦経験もあるよ」


「夢のために命を懸ける覚悟は?」


  この質問をした途端、ミリアの表情が真面目なものに変わった。




「ある」


「夢のためならば法や掟なども破れるか?」


「人の道から外れた事はしないけど、できる」


「分かった。とりあえず仮合格だ。よし、じぁ実際に森に出てみるか。行くぞ」


「待って、朝食は?」


「あ……食べます……」


  それから俺は朝食をご馳走になって森に向かった。
  ミリアは彼女の身長程ある槍を持ってきた。




「とりあえずミリアがどれだけ戦えるか見せてくれ」


「うん、分かった!」


  そう言ってミリアは目の前にいたウサギの様な魔物に近づく。
  確かあいつはかなり素早かったはず……
  あんな大きな槍であの動きに対応出来るのか?




「よっ!  衝撃槍インパクトスピアー!」


  ミリアは一瞬でウサギの近くに移動する。
  あれは身体強化か……


  そしてウサギ目掛けて突きを繰り出すが素早い動きで避けられてしまう。
  しかし、ミリアの槍の先端から衝撃波が発生し、ウサギを吹き飛ばす。




「キュー!!」


  ウサギは吹き飛ばされて木にぶつかり、絶命する。
  凄い勢いで飛んでったな……




「どう?」


「ああ、十分だ。というか思ったより強かった」


「じぁ仲間にしてくれる!?」


「最後に、俺の戦い方を見てから決めてくれ。それと、この事は誰にも言わないでくれ」


「う、うん……?  って、あれはグレイベアー!?  大丈夫なの?」


「大丈夫だ。見ていてくれ」




  俺はそう言ってグレイベアーに近づいた。
  前にリベンジ出来なかった分、今ここでさせてもらうぞ。




「フレア!」


  俺は無詠唱魔法を発動すると、目の前に魔法陣が現れ、炎が吹き出す。
  

  炎は一瞬でグレイベアーを包む。
  そして、グレイベアーは何もすることが出来ぬまま燃え上がり、灰になる。




「え……?  今のって?」


「ああ、魔法だ。俺は最後の魔法使い、アンドレ=ウェルナードの弟子として魔法使いになった」


「でも魔法使いって聖騎士に捕まるんじゃ……」


「ああ、だから俺と冒険するなら聖騎士に捕まる可能性もある。このリスクを背負ってまで俺と一緒に冒険する覚悟はあるか?  別に俺と組まなければならない事もない。嫌なら別の冒険者を探せばいいだけだ」


「覚悟ならある。決めた、ダイゴと一緒に冒険者になる!」


「本当にいいんだな?」


「えぇ、もちろん!  強い人と一緒だと安心だしね!」


「分かった。じぁ俺は冒険者登録してくるけど、ミリアはどうする?」


「私も行く!」


「家族に伝えたりしなくていいのか?」


「いいの、家出だから……」


「だったら置き手紙くらいは置いてこい。家族だろ」


「分かった。じぁギルドで待っててね」


「あぁ、で一つ聞きたいんだが……」


「どうしたの?」


「ギルドってどこだ?」


「知らないの!?  」


  俺はその後ミリアにギルドまで案内してもらった。
  ミリアは家に戻るので一度別れた。


  ギルドはかなり大きな建物で見たところ5階建てだ。
 

  街から少し離れた所にあるのでミリアの家が一番大きいと思っていたがギルドが一番だったな。


  一階二階がクエスト関連、三階四階が酒場、五階が職員用のフロアといった所か。


  俺は扉を開け、冒険者登録はこちら、と書いてある所に行った。




「あの……冒険者登録をしたいんですけど」


「新規登録の方ですね?  それではこちらに必要事項を書いて下さい」


  俺は受付嬢さんに一枚の紙を渡された。
  名前、年齢、職業(武器種)の三種類を書く欄があった。
  よく見てみると魔法がかけられてあって嘘が書けないようになってある。




「書けました」


「えっと、カミヤ=ダイゴさん、職業は剣士、年齢は18……はい、大丈夫です。こちらが冒険者カードになります」


  俺は受付嬢さんに銅のカードを貰った。




「それでは冒険者について説明しますね。まずそちらのカードが冒険者という証です。身分証明にも使えますのでなくなさないようにしてください。無くすと再発行の際に罰金が発生します」


  なるほど。この冒険者カードにも魔法が掛かっていて偽装が出来ないようになってるな……
  こういう魔法は魔法狩りの対象にはならないのか。




「次にクエストについて説明します。
あそこにあるクエストボードに貼ってあるクエスト用紙を外して隣のクエストカウンターに持って来て頂くとクエストが受注できます。
受注制限がついているクエストもあるのでよく注意してください。
また、失敗しても特に罰はありませんが失敗が続くとランクダウンもありますので身の丈に合ったクエストを受注してください。ランクはその冒険者カードで分かります。
これで説明は以上です。何か質問はございますか?」


「いえ、大丈夫です」


  あー、説明長かった……
  とりあえず俺はこの銅ランクからのスタートという事だな。
  ミリアが来たら適当なクエストを受けてみようと思うんだが……




「お待たせー!」


「お、ちょうどだな。ちゃんと挨拶は済ませてきたか?」


「えーっと、神官にならないなら家の子じゃない、って家を追い出されちゃって……はは」


「寂しいか?」


「ううん、自分の夢のためだもん!  後悔は無いよ!」


「そうか……ミリアも冒険者登録してきたらどうだ?」


「私はもうしてあるよ。15歳の時にもうしたんだ!  それよりダイゴ、パーティー組むよね?」


「パーティー?」


「仲間になるって事だよ!」


「ああ、組む」


「じぁ一緒に来て。パーティー申請するよー」


「あ、ああ……」


  俺はミリアに言われるままパーティー申請を済ませた。
  パーティーを組むと何かいい事があるらしい。
  詳しくはよく聞いてなかったが報酬金が増えたりするらしい。




「で、これからどうするの?」


「俺は師匠を助けに行く。それと、魔法狩りを止めさせる」


「師匠って確か最後の魔法使いだったっけ?」


「ああ、何か賢者とか言われてたな」


「え、知らないの?  アンドレ=ウェルナードさんは三大賢者の一人だよ?」


「三大賢者?」


「三大賢者は勇者の魔王討伐に大きく貢献した三人の魔法使いの事だよ。知ってるよね!?」


「そうだったのか。知らなかった」


「知らなかったって……有名な話でしょ?」


「まぁ、知らなくたって損する訳じゃ無いだろ。さぁ、行こうか」


「うん!」


  こうして俺は師匠を助けるため、ミリアはレコード一族の秘密を解き明かすための冒険が始まった。

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