気分は下剋上 chocolate&cigarette
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祐樹もつかの間の鬱屈を忘れたような感じで芳醇な感じの赤いワインと表面はカリッとしているのに、歯で噛むと柔らかい上にジューシーな肉汁が口の中に弾ける感じを楽しんでいるようだった。
「美味しいですね。二人で味わうからこそ、より一層美味しさが引き立つような気がします。ガーリックのカリッとした感じが口の中のアクセントになっていて……。
ガーリックチップスは製薬会社の営業マンに提案してみようかな?と思います。
ほら、今時は製薬会社でも薬だけでなくて栄養補助食品とかそういったモノも作っているので乗り気になってくれるかもしれませんし……」
確かに岩塩と思しきモノを振りかけたガーリックスライスはとても美味で、肉の存在感に負けていない。
そして、何より「商品化」の――実際にされるかどうかは未知数だが――話を交わしている方が、二人の間にわだかまる「事件」の余韻を払拭出来るのが有難い。
「話してみるのは良いだろうが……ポテトチップスと違ってガーリックはそんなに大きくはないだろう?その点をどうクリアするかだな」
ジャガイモとニンニクの大きさの違いがネックになりそうな気がして、赤いワインを飲みながら感想を告げた。
「ああ、確かにそれは有りますね。ただ、久米先生が大好きなポテチはジャガイモをスライスしたのを揚げているのが主流ですが、いったん摩り下ろして適当な大きさにした段階のを揚げているお菓子もありますよね。そういう風にすればその問題も解決出来るのではないかと思います」
祐樹ならではの発想の転換に感心してワインのグラスを掲げた。
「そういう柔軟な発想に乾杯」
肉を焼く良い香りが店内に程よく漂っている。その中で食する肉の味は格別だった。
グラスの触れ合う音が先ほどの鈴虫の鳴き声のように澄んでいたのも、興を添えてくれた。
「ただ『K大附属病院の医師が絶賛』とかの煽り文句はタブーですよね?」
祐樹が幸せそうにワインを呑みながら自分に微笑んでくれるのも赤ワインの濃厚な煌めきで心の中を満たしてくれる。
「ああ、それはやめておいた方が良いだろうな。一応の権威にはなるだろうが、それは一般人から見た場合だけだから。ああいうのに出てしまうと学会からは顰蹙を買ってしまうので」
職人さんが大きなマツタケを手でザクザクと割っていく。高価な食材をぞんざいに扱う――勿論その方が美味しいからだろうが――贅沢さと独特の香りが秋の気配を濃厚に感じる。
先ほどの金木犀とか鈴虫の声を感じた時にも思ったが、「夏」があらゆる意味で終わってくれたことを実感した。
そして。
「美味しいですね。二人で味わうからこそ、より一層美味しさが引き立つような気がします。ガーリックのカリッとした感じが口の中のアクセントになっていて……。
ガーリックチップスは製薬会社の営業マンに提案してみようかな?と思います。
ほら、今時は製薬会社でも薬だけでなくて栄養補助食品とかそういったモノも作っているので乗り気になってくれるかもしれませんし……」
確かに岩塩と思しきモノを振りかけたガーリックスライスはとても美味で、肉の存在感に負けていない。
そして、何より「商品化」の――実際にされるかどうかは未知数だが――話を交わしている方が、二人の間にわだかまる「事件」の余韻を払拭出来るのが有難い。
「話してみるのは良いだろうが……ポテトチップスと違ってガーリックはそんなに大きくはないだろう?その点をどうクリアするかだな」
ジャガイモとニンニクの大きさの違いがネックになりそうな気がして、赤いワインを飲みながら感想を告げた。
「ああ、確かにそれは有りますね。ただ、久米先生が大好きなポテチはジャガイモをスライスしたのを揚げているのが主流ですが、いったん摩り下ろして適当な大きさにした段階のを揚げているお菓子もありますよね。そういう風にすればその問題も解決出来るのではないかと思います」
祐樹ならではの発想の転換に感心してワインのグラスを掲げた。
「そういう柔軟な発想に乾杯」
肉を焼く良い香りが店内に程よく漂っている。その中で食する肉の味は格別だった。
グラスの触れ合う音が先ほどの鈴虫の鳴き声のように澄んでいたのも、興を添えてくれた。
「ただ『K大附属病院の医師が絶賛』とかの煽り文句はタブーですよね?」
祐樹が幸せそうにワインを呑みながら自分に微笑んでくれるのも赤ワインの濃厚な煌めきで心の中を満たしてくれる。
「ああ、それはやめておいた方が良いだろうな。一応の権威にはなるだろうが、それは一般人から見た場合だけだから。ああいうのに出てしまうと学会からは顰蹙を買ってしまうので」
職人さんが大きなマツタケを手でザクザクと割っていく。高価な食材をぞんざいに扱う――勿論その方が美味しいからだろうが――贅沢さと独特の香りが秋の気配を濃厚に感じる。
先ほどの金木犀とか鈴虫の声を感じた時にも思ったが、「夏」があらゆる意味で終わってくれたことを実感した。
そして。
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