神話回帰の現代幻想

空の星

プロローグ -4-


「は、嵌められてた…………だと……」
「うぅ……情けない…………」

 現在、雫釈と少女……みなとはインドラに殺し合いを止められて、こってり叱られたのだ。
そして、両者共に事情説明をした結果、お互い同じ形で嵌められていたのだ。

「ったく、これだから最近の血の気が高い奴は面倒臭い。俺ですら最初は語り合うが…いきなり飛び掛ることなんてねぇっつうの。んで、俺らは17年前から邪龍ファフニールについて探っていたが……お前は何時から探って、どれくらいの情報を得てんだアキレウス・・・・・?」
「っえっ!?」

同じ目的を持っているから協力した方が楽だと感じたのか、インドラは雫釈に声をかけた。
この名を聞いた秦はとんでもないビッグネームにフリーズ。
それに伴って雫釈は立ち直り向かい合うように立つ。

「ンなのだいたい2000年前から敵対してる。あとその名はもう永眠だ・・・・・、今は刻覇雫釈。雫釈と呼べ。」
「へいへって、敵対!?どんだけ長引いてんだそりゃ!」
「邪龍の本部みっけるまで3000年かかった挙句、17年前のあの露見の2秒前まで邪龍のリーダーと対面してたんだがな。転移魔術でロシア外に追い出されて露見阻止が出来ないかったんだよ。」
「うへぇ、未練タラタラだな。ありがちな罠で国外とか。それで、話題をそらそうとする程の何を隠そうってんだ?」
「ちっ、逸らせんかったか。邪龍のリーダーは悪戯神ロキの娘であるヘル。目的は死者の増殖。その目的の為の課程は地球と異星の接続と戦争。要するに異世界巻き込んだ神々の黄昏ラグナロクを起こしてしまおうって考えてやがる。本部があったここまで戻るのに17年かかるとかどんだけ手間かかってんだよあぁクソ。」

雫釈は1人愚痴りながら親子から少し離れて倒れ込む。

「え、えぇと、父さん……どゆこと?彼奴アキレウスなの?え?マジで!?」
「あぁ落ち着け秦。順に説明するから。」

 秦は物凄いキラキラとした目でインドラを見る。
それもそうだろう。彼女は数々の神話を読んだ中で、1番羨望しているのがアキレウスなのだ。
勘違いとはいえ、本人と殺り会えた事に感銘していた。

「彼奴はアキレウスだった男だ。アキレウスとして戦場を駆け抜けたが、死を偽造することで戦争を終わらせた。そのあとは転々と旅をしている。まさか邪龍と敵対していたとは思わなかったがな。っと、話し込む前にずらかるぞお前ら!野次馬共が集まり出した。説明は移動中にする。」

 アキレウスについてを秦に少し話したら、倒れ込んだ雫釈の襟首と秦の襟首を掴んで雷転という雷を介した転移でそこから移動した。



………………………………日本に。



 インドラを先頭に日本の東京にある柴又帝釈天の寺内を歩く俺と秦。

「なんでインドじゃなくて日本なんだよ?」
「そりゃおめぇ、邪龍の連中が彼処から日本に密入国して行方を眩ませたからだろう。17年前からコソコソと日本に入っては出てを繰り返してたと思ってたら今度は邪龍のメンバーが挙って日本に移ってたからな。日本に移動したことは分かってた。まぁ、日本に本部を移籍して彼処にも何かあるだろうと思って秦に行かせたんだがな。」
「もぬけの殻……だった。」
「あぁ、情報屋の情報を鵜呑みにして敵対もしたしな。」
「「うっ……」」

インドラに嵌められたことを弄られながら本殿の奥にインドラは座り、俺と秦は並んで座る。

「それで、俺らはどう動けばいいんだ?」
「確かに……日本に潜伏しそうな場所が多すぎて分からないんだけど…」
「なぁお前ら、地球と異星を繋ぐに持ってこいな地がこの国にはある。どーこだ?」
「っ!!!!」

雫釈は何か直ぐに分かったのか、かなり苦々しい面持ちとなった。

「…………千葉県星綱市、か。」
「おぉ、当たり。魔術ん中には地名を利用したそれもあるだろう?いや、逆にそれを利用するかもしれん。だから先にそこにいればいい。」
「先にって、俺は特殊な先祖返りだから刻覇雫釈としては御免蒙りたいところだな。色々と面倒い事情があるからな。」
「それは出来ねぇよ。お前らのような年齢の奴は大体が皆学校に通っている。そこでなんだが、お前らも星綱市にある異能を扱うための学園に通え。あそこにいれば合法的に邪龍の計画を妨害出来るからな。」

 インドラは一方的に決めつけていき、雫釈と秦は星綱市にある異能を扱うための学園に通う事となった。


 それは奇しくも刻覇雫釈が神隠しの日に神隠しにあった日から約半年、丁度入学式がある日であった。

……どうやって捩じ込んだかは、企業機密との事だ。

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