チート過ぎてチート(語彙力)な異世界転移

樹(いつき)

第21話 ありえない存在

 俺が亜空間から出ると真っ黒な刀が壁にぶっ刺さってカタカタ動いていた。

 「おっ!そこのかっこええあんちゃん!わいのことこっから引っこ抜いてくれへんか!助けてくれたら飴ちゃんあげるで!」

 他にも人が居ないか見渡したが、どう探しても大阪のおばちゃんみたいな言葉に合わせてカタカタ動く刀しかない。

 「なぁなぁそこのあんちゃん気づいとるんやろ?見たとこ武器も持ってへんみたいやしなぁ。助けてくれたらあんちゃんの武器になったるのになぁ」

 しかもやたら馴れ馴れしいうえにちょっと腹立つんだが…とりあえず鑑定だけでもしてみるか





霊魂刀

【レア度】神話級
【付与スキル】
吸収、進化、武器変形

 霊魂が込められた刀。込められる魂は異質な存在とされ自我がある。





 レア度が神級だと!?しかもスキルも初めて見るものだ。

吸収:鉱石、他武器、魔物の死体など様々なものを吸収し、その能力が自分の物となる。

進化:一定の条件をクリアすると飛躍的に能力が上がる。

武器変形:どんな武器にでも変形出来る。

 …めっちゃ強いぞおい。しかも俺が悩んでたこと一瞬で解決するんだけどどうしよう…。

 「おっ!その顔はわいのこと鑑定してめちゃめちゃ強いわ!かっこええ!こいつ助けたらなあかん!って思とる顔やろ!わかるでぇその気持ち!」

 そこまで思ってない上に相変わらずうるさいので

 「折られたくなかったら黙れ」

 割と真顔で言うと

 「飴ちゃんあげるから許して…」

 どこまでも大阪のおばちゃんみたいだ。

 そして、

 「お前のことを助けてやる」
 
 「ほんまか!?やっぱわいの強さに惚れt「ただし」あっはいなんでしょう…」

 「俺の武器になれよ」

 「そんなん当たり前や!武器っちゅうのは使われてなんぼやねん!」

 「なら壁から抜いてやるから黙ってじっとしてろ」

 「しゃあないなぁ。そんなに言うんやったら「ダマッテジットシテロ」冗談やん…」

 うるさい刀を黙らせて俺は壁からその刀を抜き出した。

 「ふぉぉぉ!やっと壁から抜け出せたわー!ほんまありがとうな!相棒!」

 「相棒?」

 「これからあんちゃんの武器になるんやったらあんちゃんは相棒やろ?」

 「そうだな。じゃあ俺はお前のことをベクトって呼ぶわ」

 「おう!ほなよろしく!」




 こうして、俺は馴れ馴れしい武器と共に生きていくことを決めた。

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