神の使徒
第十四話「獄域」
周囲の惨状はヒドイの一言で尽きる。
生い茂っていたあの背丈の高い大樹は根こそぎ吹き飛ばされていてもう何もそこには残っていない。地肌一色となっている。
男は言った《獄域》と、魔法の類いだろうが、まさか…自爆型とは…。確かにリリエールのことがあの男が情緒不安定になるほど脅威に感じられていることから、なりふり構わない技になったのだろう。
それにしても…こんな惨状で俺はよく無事だったな。
いや、まぁ、既に答えは目の前にあるのだが…。
「危なっ!だから嫌なんだよ人間はね!?」
わざとらしく少女が声をあげる。
両の掌には黒い円盤が回っており、それで先の爆発を防いだようだ。いつもながらにデタラメな奴だ。
とにかく、危機は去った…な。
そう俺はリリエールに近づいていくと、また、あの音が響く。彼等騎士団の使っていた高性能バイクのエンジン音。
「………っ、戻って来たのか!」
「仕方ないかな」
ブゥン…と、空気が震えるような音と共に黒の稲妻を出現させ、リリエールはそれをおもむろに投げ放つ。
すると、その瞬間、彼の目が紅く妖しい光を放ち、宙に浮いた稲妻が意思でも持つようにして不規則で変速的な軌道で飛び出した。
バイクに乗る騎士団、その重厚そうな鎧に穴を空けて…周辺の向かって来た数十ものバイクの集団はそこで操る者を失い力なく転倒していく…。
その様子が周囲が開け、また、稲妻の光の影響か、よく見えた…。
たった一本の稲妻、それで向かってきた集団全てを殲滅してしまった。
最後の一人、仲間達が斃れいく様を見せつけられて、それでもなおも向かって来る相手を彼は容赦なく、その目を妖しく輝かせてその背中から稲妻を穿く…。
「う………」
あまりの光景に俺は口もとを押さえる。
「殺す必要があったのか…?」
「勿論だよ? 僕は彼等に警告したからね、それでも彼等は向かってきた、だったらもう殺すしかない、最初に相対して敵の実力を測れなかった時点で彼等は戦いに負けたんだ」
リリエールの信条とも言うべきだろうか、彼はそう持論を展開した後に、ぐっと身体を伸ばす。あの天幕での一幕と同じ、猫のようなしなやかな身体の伸びをする。
「さあ、行こうか…夜はまだまだ長いよ。こんな平原で遮蔽物もないんじゃ安心して寝れないし、森にまた入ってから休もうか。まだまだ先は長いけど、もう邪魔な連中はいないから安心して辿り着けると思うよ」
そう彼はにこやかな笑みで説明した。
「そう、だな…」
俺は当然彼の意見に首を縦に振るしかなかった…。
そして、それから丸4日…俺達は森の野生動物を食べながら進み、途中、リリエールの知る食べられる山菜や木の実も食べて飢えの心配はなく、目的地の周辺までやってきたのだった。
目的地、そこは小さな村…推定人数20人ほどの小さな農村だった…。
生い茂っていたあの背丈の高い大樹は根こそぎ吹き飛ばされていてもう何もそこには残っていない。地肌一色となっている。
男は言った《獄域》と、魔法の類いだろうが、まさか…自爆型とは…。確かにリリエールのことがあの男が情緒不安定になるほど脅威に感じられていることから、なりふり構わない技になったのだろう。
それにしても…こんな惨状で俺はよく無事だったな。
いや、まぁ、既に答えは目の前にあるのだが…。
「危なっ!だから嫌なんだよ人間はね!?」
わざとらしく少女が声をあげる。
両の掌には黒い円盤が回っており、それで先の爆発を防いだようだ。いつもながらにデタラメな奴だ。
とにかく、危機は去った…な。
そう俺はリリエールに近づいていくと、また、あの音が響く。彼等騎士団の使っていた高性能バイクのエンジン音。
「………っ、戻って来たのか!」
「仕方ないかな」
ブゥン…と、空気が震えるような音と共に黒の稲妻を出現させ、リリエールはそれをおもむろに投げ放つ。
すると、その瞬間、彼の目が紅く妖しい光を放ち、宙に浮いた稲妻が意思でも持つようにして不規則で変速的な軌道で飛び出した。
バイクに乗る騎士団、その重厚そうな鎧に穴を空けて…周辺の向かって来た数十ものバイクの集団はそこで操る者を失い力なく転倒していく…。
その様子が周囲が開け、また、稲妻の光の影響か、よく見えた…。
たった一本の稲妻、それで向かってきた集団全てを殲滅してしまった。
最後の一人、仲間達が斃れいく様を見せつけられて、それでもなおも向かって来る相手を彼は容赦なく、その目を妖しく輝かせてその背中から稲妻を穿く…。
「う………」
あまりの光景に俺は口もとを押さえる。
「殺す必要があったのか…?」
「勿論だよ? 僕は彼等に警告したからね、それでも彼等は向かってきた、だったらもう殺すしかない、最初に相対して敵の実力を測れなかった時点で彼等は戦いに負けたんだ」
リリエールの信条とも言うべきだろうか、彼はそう持論を展開した後に、ぐっと身体を伸ばす。あの天幕での一幕と同じ、猫のようなしなやかな身体の伸びをする。
「さあ、行こうか…夜はまだまだ長いよ。こんな平原で遮蔽物もないんじゃ安心して寝れないし、森にまた入ってから休もうか。まだまだ先は長いけど、もう邪魔な連中はいないから安心して辿り着けると思うよ」
そう彼はにこやかな笑みで説明した。
「そう、だな…」
俺は当然彼の意見に首を縦に振るしかなかった…。
そして、それから丸4日…俺達は森の野生動物を食べながら進み、途中、リリエールの知る食べられる山菜や木の実も食べて飢えの心配はなく、目的地の周辺までやってきたのだった。
目的地、そこは小さな村…推定人数20人ほどの小さな農村だった…。
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